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何か書きたい。  作者: 冬の老人
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昔憧れた夢

昔、憧れた夢があった。

それは音楽に対して興味も殆どなかった自分が歌を聞いて初めて泣いたアーティスト、平沢進

自分はその人になりたい、というのが恐らく自分が持った夢らしい唯一の夢だった。


曲に出会った時には既に成人していたからそんな馬鹿な事は理屈では分かっていたが彼の曲を聞けば聞くほど憧れた。

とはいえ音楽に興味もなく、楽器だって音楽の授業のリコーダーくらいしか経験がない。それだって興味がないから苦手だったし。


詩を真似て作ってみたが小難しい言葉の羅列で意味不明な文章しか出てこない。

出来ない、という事実は自分の思いや考えを伝える術がない

事を自覚させた。


それは自分が術を学んでいないし、生きる上でその必要性もなかったから。

何をするにも我慢、我慢、我慢、で自分が好きな色もわからなくなる。

改めて「我慢」というのは感覚を鈍化させると確信させられる。


さてそんな彼だがツイッターで毎日1時間くらいアレコレ呟いている。

彼の曲は弱者の自分に突き刺さった。

だから、と言うか単純に「弱者に寄り添った」曲なのだと聞いていた曲がいくつもある。

しかし平沢氏はこれらを否定した。

「ありふれた応援ソングなどではない」と。

そしてこうも言った。

「お前たちが見ている平沢進はお前たちが望む平沢進であってそこに本物の"私"はいない」

正確な文言は忘れたがこのような話を呟いた。

何か自分はハッとさせられた。


そしてそれを頭の中に置きながら曲を聞くとそれまでとまるで違う曲に聞こえた。

自分にとって都合良く解釈していた、と。

3分割で考えるようになって分かるが自分はその時、若干落胆もしていた。

「弱者に寄り添っていない」だから「弱者に厳しい」と。

暫くの間、少し怖くなってその類の曲以外を聞いていたが、今となってはそれも違うのだと分かる。

「寄り添ってもいないが厳しく当たってもいない。ただ見守っている」


結局のところは平沢氏の言う通り「自分の見たい平沢進とそのように解釈したい曲」から脱してはいないと思う。

しかし、少しはかつての夢に近づいた気はしている。


個人名と言うかアーティスト名は出して大丈夫か?それだけが少し怖い。

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