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何か書きたい。  作者: 冬の老人
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母性神話 ある動画についての考察 考察部分

前回説明した動画について考察していきます。

まず最初に掲示板に書き込んだ幼馴染から見たAの本質が「陰気な性格」というもの。

この時点で割と腑に落ちない。

もしもこの話が「小学生」ではなく「高校生」、「大学生」あるいは「社会人」が女叩きをしていたなら「ネット等に毒された」で自分も納得していた。

世間的には「◯◯歳なら子どもでも物の分別がつくから子供の自己責任。親は無関係」と言う主張があり、それに倣うなら一理ある、と考えなくもない。


しかし小学生入学当初、あるいは幼稚園、保育園の頃から小さな頃からAを知っている人間が女叩きをする前のAの性格を「陰気な性格」としていた。

まず大前提として小学生くらいの子どもは男であれ、女であれ「陰気な性格」のヤツはいない。

勿論、「大人しい性格」や「変わったヤツ」みたいなのはいるがそれも個性である。

だが「陰気な性格」というのはどこかで「エネルギーを使い果たしている」という事に他ならない。

そして「普通の子ども」というのはその「エネルギーを使う場所」というのが大抵の場合、それが学校だったり、遊びだったりする。

それが使う場所で使われず、別の場所で消費している。

つまり本来子どもの体と心を休ませる「家庭」でエネルギーを使わざるを得ない状態にAは小さい頃から追い込まれていた可能性が高いと言える。


動画のAだけでなく、統計としてそういうデータもあるし、自分も実体験として家庭で明るく振る舞ったり、ピエロとして馬鹿なフリをして親を笑わせる事もあった。

そして自分の場合、学校ではやる気が出ない癖に、変に攻撃的だった時期もあった。


家庭で心も体も休める事が出来ない以上、省エネモードにしなければ活動出来ない。

それが「大人しい子ども」とは違う「陰気な子ども」である。

勿論自分がA本人を見たわけでもなければ掲示板に書き込んだAの幼馴染がちゃんと正確に書いていたかも不明である以上、あくまで「可能性」にとどまる。


そして次は「離婚理由」だ。

動画内には「何時からモラハラが行われていたか」というのが不明だが事実として「旦那からモラハラが行われて鬱になった」、「息子のAからも女叩きをされていた」という証拠があり、その上で母親は離婚し、Aを引き取らなかった。

動画の感想を見るとそんな母親に同情する声ばかりだったが自分は同情よりも違和感を感じる事しか出来なかった。


勿論、コレが「子なしの夫婦」だとか「子どもが独立してしまった熟年夫婦」ならシンプルに同情もする。

しかし「小学校6年になる子どもとその弟」がいる「2児の母親」の離婚理由としたら「無責任ではないか?」と感じた。

勿論、「モラハラを受けて精神的苦痛を味わった」という事は証拠としてある以上、「個人」としては同情する。

しかし「母親」として見た場合、「大人の自分でも音を上げるモラハラ夫の支配環境下」に「自分」と一緒に「子ども」も置いたという事になる。

そして実際にAはモラハラ父親の影響を受けて「女叩き」を受けた可能性が高いわけである。


また「父親の影響でAは女叩きを始めた」という風に解釈は出来るがまだ小学校6年だ。

以前書いた「10〜15cm。15〜20kg」という話を書いた。

男と女が物理的な殴り合い、取っ組み合いの喧嘩をした際に両者格闘技や武道などの経験がない場合、女はこの数値だけ体格で男を上回らない限り勝つ事は難しいという話をした。

そこから逆算して「平均的な体格の成人女性」が物理的に勝てる男は「10〜11歳の男児」である。

そのくらいの年齢ならば例え平均的な成人女性といえど理屈でいえば「強者」である。

小学校6年といえばギリギリそのラインに入っている。


また先述した「まともな家庭環境の一定の年齢未満の子どもに陰気な性格は存在しない」という自分の主張が正しくないとした場合、「陰気なA」というのは家庭でも変わらず「陰気な子ども」だったという事になる。


自分が何を言いたいのかといえば、まともな母親なら「自分は女叩きの被害者」と自分の子どもを加害者だと訴えるよりも先に「女叩きなんて事をするな」と叱りつけるべきじゃないだろうか、と思わずにはいられない。

「家庭環境を支える為にエネルギーを消費しており、学校では省エネモードだった可能性」ではなく、Aの本質的な性格が「陰気なもの」だと言うのであれば精神的、立場的、そして肉体的にも3つの全ての要素で「母親の方が強い」という状態にある。


これが「Aの気性が手をつけられないほど荒っぽい」だとか「Aは高校生で親の言葉を素直に聞かない」だとか、「Aの体格が小学生ながら人並み外れて

大きく、父親でなければ手がつけられない」

と言うのであれば変わってくる。

しかしAが小学6年という年齢、書き込んだ幼馴染かはAのそうした並外れた身体的特徴についての記述もないことから、「普通の範囲内」であり、母親が強く叱りつける事が可能なギリギリのラインであり、同時に母親の責任の範疇にある時期といえる。


また「モラハラで鬱だったからそんな叱りつける事は出来なかった」というなら先述した「そんな大人でも耐えられない環境に子どもを置いた」という事になり、そもそも「子どもを悪辣な家庭環境で我慢させた」と言う事になる。

幼馴染から見たAの「陰気な性格」が「省エネモード」なのか、あるいは「本質」なのかはどっちにしても「Aの女叩きの一因」は「母親」にもある、と自分は考える。


またその「モラハラ」の証拠を掴むために近所の知り合いに頼んだ、というのも疑問に思う。

まず最初に相談するべきは「親」ではないだろうか。

「実の親」、あるいは「義理の親」でも良い。

その「親に相談するフェーズ」がもしかしたらあったのかもしれないがだとしたらそれはそれで何故「近所の人」に頼る事になるのか疑問ではある。


「夫からのモラハラで鬱状態」で極限状態になれば抵抗そのものを諦める。

風呂も入らない、飯も最低限。

母親がそうであるなら子どもも同じ事。

それとも父親は母親に対してのみモラハラをし、子どもに対しては食事や家事をして食わせてやっていた事になる。

Aは年齢的にある程度できるかもしれないがその弟となると自力でそれらをこなすのは難しい。

ならそれをAは母親の代わりにこなしていたとでもいうのだろうか。

ならAの女叩きは「共働きでもないのに家事を放棄した母親に対しての正当な批判」になってしまう。


しかし「離婚のために近所の人に協力してもらっていた」と言う事を考えるとそこまで「極限状態」とは思えない。

「モラハラで鬱」になったとはいえ「程度」にもよる。

「生きるため」に「離婚」を選択し、それを成立させるために「近所の人間」に頼った。

それくらいのエネルギーはあったと言う事だ。


そして親の離婚でAがパタリと女叩きを止めた。

止めた理由はともかく、止めたきっかけは親の離婚と見捨てられたという事実。

裏を返せばAからすると「唐突に親の離婚がつきつけられ、唐突に自分が母親から捨てられた」という事。

話し合いだとか前持って覚悟を決める事もなかったと思われる。


まともな母親なら「旦那のモラハラから子どもを守るため」に行動する。

そのためには経済的自立、つまりAの女叩きの台詞にもあったがモラハラ夫に経済的に依存した家庭で「専業主婦」であり続ける事自体も問題がある。

子なしなら離婚して実家に戻って、とある程度余裕があるかもしれないが「母親」なら「離婚」するなら尚の事パートなどでもして何らかの稼ぎを確保するのが当たり前だ。

そして少なくとも働いていれば「専業主婦」だとか「女はイージーモード」という類の女叩きはそれで止めさせられる。

特に動画のAのような「母親に捨てられて女叩きをやめる」、「中学生になってもママと叫んで駆け出す」くらいに「母親の愛」に飢えている子なら尚更。


人生相談の番組を聴いているとこうした「自分としては離婚したいが子どものために離婚するか迷っている専業主婦」からの相談が多くある。

しかし相談相手となる弁護士やエッセイスト、精神科医、教育関係の研究者、さまざまな分野の専門家が口を揃えて「離婚するにせよ、関係を再構築するにせよ、子どもがそこまで手がかからない年齢なのであれば経済的自立によって心の余裕といざという時に蓄えを持っておくためにアルバイトでもなんでもしておけ」と言う。

権威主義というのは個人的にはやりたくないがモラハラ夫に経済的に依存するからモラハラを受け入れなければならないというのなら、

・仕事する。

・家事をしっかりやった上でそれぞれの夫婦の役割について夫と徹底的に話し合う。

・せめて子どもに被害が向かわないようにサンドバッグとなって夫のモラハラを受け止める。

この3パターンしかないと思う。

けれど自分からするとこの母親は「仕事はしない」「家事も満足にやらない」「モラハラも我慢できない」だから「離婚する」というように見えるのである。


そして時が経ち、中学生となり修学旅行先で遭遇した弟と元母親の反応。

弟が「兄ちゃん」と声を普通にかけた事で親が離婚する前は普通にそれなりの仲だったと思われる。

まぁ少し思う所がないわけではないが。

問題は母親の「うわっ…」という反応だ。

トラウマが蘇って恐怖で体が震える、動けない。

あるいは「旦那のモラハラで一緒になって女叩きで攻撃されたから」と言う理由があるとはいえ、時間も過ぎて「あの時Aに対して強く説教して女叩きを辞めさせていれば」と言う罪悪感で居心地が悪くなっているわけでもない。

ただ「被害者意識」から「加害者」へ向けての「嫌悪感」から出た「うわっ…」であるように感じる。

であるならば「この母親は離婚については自分に非があるとは思っていない」と言う事になり、それはつまり「反省」していないと言う事になる。

ここまで自分が出してきた仮説が正しいならAはむしろ解放され、今度は弟が母親に振り回される可能性もある。


この弟の反応、母親の反応についてはほんの一言だけであるが、その動画の感想欄でも自分と同じように「兄弟仲はあまり悪くなさそう」と言う感想や「母親の反応が嫌悪感からくる反応でリアル」と言うようなものが多く、「兄弟仲は良い」と言う事と「母親は被害者意識のまま」と言うのは多分それはあながち間違ってはいないだろう。

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