何か書きたい。

同情

色々と「危機感の彼」の動画について考えたが出てくるのは基本的に反論になる。

けど彼の話は「正論」である以上、重箱の隅をつつくような反論になるし、彼の言いたいことも分かる。

なぜなら「正論」だから。

別の見方をすれば誰もが分かっている事を主張した以上、「何も主張していない」という話になる。

では何故バズったのか。

結局はその「相手を煽る構文」という話の中身ではなく外側が受けた。

実際、検索をかけてみると「危機感」の動画の文言に沿って各々が自分の好きな事を主張するための所謂「布教」だとかに彼の顔の画像が使われていたり、彼の口調の真似をした動画が多い。

「危機感のメッセージ」については殆どスルー、考えを読み解こうとしている者がいても殆ど反論。

自分もその反論しているクチだが無意味だと悟った。

「正論」しか言っていない、「彼自身の主張」がない以上は彼の暴言にイラつくだけ。

そんな風に思っていると「情けない」という感情が出てきた。

「危機感の彼」にである。

過去の「情け」について語ったどこかのエッセイで「他人」に向けて「情けない」と口にした人間こそが「情けない人間」であると自分自身で語っている。

だから「情けない」と彼に対して思った時点でこうしてエッセイを書いている自分自身もまた「情けない」人間である。

何故「他人」に向けて「情けない」と口にした人間が情けないのか。

それは「情け」をかけてもらおう、恵んでもらおうという浅ましさをさも相手側に責任があるかのように語るからだ。

そして、自分が彼にそう思うように、彼もまた動画の中で「ダサい」「気持ち悪い」という。

彼の価値観から見たスポーツをしない男、競い合う事をしない男に対して「魅力がない」と罵倒する。

自分があの動画を見て世間一般に肯定される「正論」しか言っておらず、彼自身の主張というものがない事に「情けない」と感じた。

それと同様に彼もまたその「正論」にそぐわない者に対して「情けない」と感じているからこそ出てくる言葉だ。

同じように「情けない」と感じている。

ただ違いがあるとすれば彼は「ビジネス」の側面が強く感じられる一方、自分は単なる「趣味」のエッセイ。

彼の言葉が「正論」なら自分の言葉はそれに対する「反論」。

彼のスタンスが「多数派」なら、自分のスタンスは「少数派」。

それぞれ異なる立場にありながらお互いにお互いを「情けない」と感じている。

恐らく、この互いに「情けない」と感じる事こそが「同情」なのだ。

そして彼の危機感の動画の根っこにあるのもまた「同情」だ。

ダサい、気持ち悪いという言葉を使って反感を買ってでも正論をぶつける。

それだけ聞くと自ら進んで「汚れ役」を演じているように感じる。

だが自分はその「自ら進んで汚れ役を演じている」という彼から感じるスタンスと、

実際に動画で語っている「正論という主張のない主張」、自分のエッセイでは「普通を盾にする者」というまるで逆の事をしている事について嫌悪感を感じている。

前のエッセイでも語ったが別の動画配信者が自分の体験や教訓をもとに「正論」を語るのは特に嫌悪感は感じない。

だから自分は彼の主張している「正論」ではなく、彼の「やり方」に対する「嫌悪感」を主張するために反論しているような状態。

というより、反論ですらない。

「嫌悪感」を言語化している以上は嫌味の域をしかでない。

結局、相手の主張らしい主張がない、と自分が認識している以上、一人相撲をしていてもイライラするだけで結論は出てこない。

上から目線、というわけではないが彼の行っている事というのは結局のところかつて「自分もした」というある種の「同族嫌悪」なのだろう。

それが「普通を盾にする」という行為。

「自分もした」というか、しようとしていた。

結局のところ、「罪悪感」とか論破とかその他もろもろの事情でやらずじまいだったが。

「普通はこうだ」「皆こうしている」

まともに言語化できず、「我慢」ばかりしていた自分。

何をするにも「罪悪感」を強く感じるから、自分の行動を正当化するために「普通」や「皆」というものを引き合いに出す、出したかった。

「普通はこうだから自分もそうでありたい」

「皆はこうだから自分もそうしたい」

何をするにもそうした「普通」や「皆」という言葉を理由にしなくちゃ主張できなかった。

「自分もやってみたい」

「自分も欲しい」

それに理由などない。

やってみたい、挑戦したい、欲しいものは欲しい。

それは「我儘」だが「希望」を口にする、それすらも許さない以上、子供ながらに「理由」をつける。

それが「普通を盾にする」。

何故なら「男だから」「長男だから」「農家の子供だから」と自分が選んだわけではない部分で自分の行動を咎められ、我慢させられ、自分というものを「否定」されてきたからだ。

親の口にする「理解できない理由」で我慢してきた。

なら「子どもの自分でもよくわからない理由」で正当性を、自分の希望を口にするくらい、許されたい。

過去の自分には「理解できない理由」で「罪悪感」が生まれ、

同時に身近にいる同世代の子ども、妹を含めて許されているのに「何故自分だけ口にする事すら許されないのか」という「被害者意識」があった。

それをかつての自分が言語化できていたら、と思うが今更だ。

それを抱えながら強引に「我慢する事」と「良い子」を紐づけられてそうする他ない。

そしてどこか「危機感」の動画のには自分の子供の頃の「罪悪感」と「被害者意識」が混じったような気持ちを感じ取れる。

彼の主張している正論に至るための努力をしない「ダサい男」、「弱者」の所為で「普通の人間」、「多数派」が足を引っ張られている。

加害者は「少数派」の人間であり、被害者は「多数派」の自分。

自分は「過去」において「被害者意識」があり、彼の主張は「今現在」。

そこから既に「経験済」の自分が思う事は彼の発言や行動というのは彼自身の身を守る行為のように感じられて仕方ない。

ビジネス的な側面もあるが、それ以上に「社会はこうであって欲しい」という意志があるように思う。

結局、彼が「正論」という誰からもまともに反論しづらい盾を使いながらも求める「男らしさ」というものはこの令和において「古い価値観」だ。

それを「正論」と結びつけているが結局あの手の主張のやり方で刺さる相手というのは40代〜30代。

他の世代にも同じように「スポーツをしない」「競い合い」をしない男はどの世代にもいる。

勿論、彼と同世代やもっと若い者にも。

けど若者には突き刺さらない。

何故か、といえは「モテる」という事の価値が昔より低いからだ。

あの煽り方が突き刺さる40代〜30代の人間がいるのは「安全圏」ではなく、「危機的状況」真っ只中。

戦いの最中に「戦いに備えろ」と言っても頭の中がお花畑と言われても仕方ない。

かといって今の若者には上の世代のように「結婚しなければ半人前」、「子どもを産まなきゃいきている意味がない」という強迫観念のようなものはないだろう。

代わりに「良い学校、良い会社に行かないといけない」

という別の強迫観念はあるかもしれないが。

逆に言えば「危機感の動画」はこの辺の「強迫観念」から来るものかもしれない。

彼自身が「現代の価値観」におけるもので「挫折」し、代わりに「上の世代」に刺さるような「古い価値観」で自身の心を守り、正当化。

そのために自分と同じ価値観を持つ者を増やすために他人を煽り、迎合させる。

という事なのであればやはり、彼には「同情」する。

彼の事は動画と検索して出てきた少しの情報で見当違いかもしれない。

ただ「ビジネス」であの動画を広めたのではなく本気でアレを「自分の主張」として広めたのであれば自己防衛以外にしか自分には見えない。

ただ、「皆が自分と同じなら社会はうまくいく」なんて考えは誰しもが思いつくくらいに皆がバラバラなのが日本の社会だ。

それを「罪悪感」を刺激して他人を支配しよう、考え方を変えさせようという彼の他人を見下した主張は「道連れ」に近い。

「同情」。

自分のエッセイにおいて「情け」とは「若さ」。

彼よりも年上の自分から「同情」される、という事は「情けない」という事だ。

老いた自分と同じ若さ、同じ価値観を持ってはいけない。

自分が同情を向けた、というのが勘違いで見当違いである事を祈ると同時に「他人を道連れ」にする事は止めて欲しいとは願う。

強迫観念に挫折し、別の価値観に縋って仲間を増やすというのであれば同情はしても「応援」は出来ない。

一人で自殺するのは人の事言えないが、「道連れ」するのは流石に「無責任」だと言わせて貰う。

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とりあえず罪悪感のほうに戻るけど何か反論は色々あったんだけど、なんか考えてるうちに勝手に同情しちゃって罪悪感が生まれた。

おかげでなんか思うようにまとめられなかったな。