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何か書きたい。  作者: 冬の老人
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最近バズったあの動画とワードについて

本当は罪悪感の続きを書きたかったがどうしてもコレに寄ってしまった。

結局何度も書き直ししているうちに投稿出来なくて無駄に延びているのでこの際、罪悪感とは別に書いて見る事にした。

流行り廃りが早い。

ネットのSNSで最近「危機感」というワードを使った動画でバズっていた。

その動画の主張は特に反論の余地もない「正論」だ。

誰でも言える類のもの。

ただ個人的にはその動画には不愉快な気持ちになった。


単純に「正論パンチ」というだけではなく、罪悪感について「鈍い」、というよりこれから「鈍くなろう」としている風に感じたから。

前回のエッセイで語った通り、それは勿論「優秀な獣」としての道として可能性としてはある。

人に対しての罪悪感を振り切る事でグレーゾーンのギリギリのラインを攻める。

そのために「罪悪感」に鈍くなる。

そのためにあえて「愚行」を行う。


「毒親」「親ガチャ」と言うふうに口にする事で自分が被害者である、だからその場から抜け出すための強い意志を持つ。

人生の「選択肢」で迷う自分を追い込み、消去法で選択肢を狭めて自分のしたい事に全霊を注ぐ。

褒められた行為ではないかもしれない。

だけど必ずしも「間違い」とは言えない。

その「挑戦」で「成功」して夢を叶えるかもしれない。

その「挑戦」で「失敗」してもそれを「糧」にして「教訓」ができるかもしれない。

どちらにしても「新しい世界」を知る事ができる。

その挑戦のための「助走」となるなら選択肢としては「有り」だ。

しかし、件の動画は「逆」である。


基本的に主張そのものは至極当たり前の事である。

・言い訳するな。

・スポーツしたことがない男はダサい。

・競い合ったり、怒られたりして悔しい思いをしたことがない人間は未熟。

・ボソボソ言って気持ち悪い。

動画のソレは本当に「君が言うまでもない事」である。

過去、それこそ宗教や歴史の偉人、あるいはアスリートや経営者、それこそ男女問わず口にしてきた「正論」である。

ものによっては学校の道徳の授業で習うかもしれない。

これら全てを反転させればそれは「理想的」に「カッコいい」だろう。

そんなのは分かりきった話。

だからこの動画を見た中には「自分はスポーツとか部活やったことないけど真理だと思う」みたいな事を感想として言う人間もちょくちょく見受けられた。

「未経験の人間」ですら理解している。

そのくらい誰もが小さい頃から聞かされてきて当たり前の事を言っている。


正論である、そして同時に「貴方の感想ですよね」と言う話でもある。

動画の人間の語る価値観とは誰にでも分かりきっている「普通」をもとに「普通に至らない男」を「ダサい」だの「気持ちが悪い」だのと言っている。

単純に「多数派」にいる人間が「少数派」の人間を馬鹿にしていると言うだけの構図でしかない。

先ほどの

「自分が自分の意志を持ち、挑戦するために罪悪感を跳ね除けるために敢えて愚行を決行して鈍くなりグレーゾーンを攻める行為」とは逆。

「正論をぶつけて他人の罪悪感を刺激する事で自分の意に沿わせよう」

と言う行為。


勿論、動画のような事を言われて「頭にきた、スポーツでも何でもやってやるよ!」

と奮起する者も中にはいるかもしれない。

けれど動画を通して彼が言葉をぶつけたい層、彼の言葉で言う所の「ダサい男」は昔からそんなのは受けてきていないわけがない。

ほぼ100%に近い確率で直接、あるいは遠回しに言われてきた。

もしくはテレビやネットなどで活躍するアスリートなどを見て自分と同じ人間なのに遠い世界にいる存在に少なからず感じるものもあっただろう。

その上で仮に上記のように奮起して何かに挑戦する者がいたとしてもう既に挑戦するための「準備」が出来ていただけ。

その「一歩」を踏み出す後押しをした、といえば聞こえは良いが、たまたまソレは利害が一致したともとれる。

ネガティブに見ればその人のタイミングを「ズラした」とも言える。

ただその結果は動画の人物ではなく、その行動を選択した者自身の選択である。

うまく行けば「感謝」するだろうし、失敗すれば「恨み」を買う。


「勢い」で行った行為はほぼ「運任せ」と言って良い。

勿論、時には「破れかぶれ」も選択肢の一つとして良いのかもしれないが、自分を含めて動画の彼が「ダサい男」として投げかけているのは恐らくは「成人男性」を指している。

「未成年の男」なら失敗しても「周りの大人」が手助けしてくれるかもしれない。

だが「成人男性」なら失敗したらそれは望めない。


むしろ突然バズった動画が流れてきてその主張に思う所がある人間、コンプレックスを刺激された人間はただ「罪悪感」を刺激されただけ。

それは「危機感」じゃなくて「焦燥感」。

焦って何かを始めた所で何も生み出さない。

むしろやみくもに始める事で「自分が始めた」と言う自覚がないまま失敗して余計に「内」に引きこもりかねない。


運任せといえばゲーム会社の「任天堂」は当にこの「運任せ」「人任せ」というものの見方から取った社名らしい。

しかしそれはギャンブル的な博打ではなく「人事を尽くして天命を待つ」という備えに備えを重ねた上で後は天に任せる、という「備え」の極みの考え方。

「他人に煽られて怒りに任せて」

「何もしていない事への焦燥感から」

準備も覚悟もない。

それは良くもないが悪くもない。

ただ個人的には冷静になって欲しい。

件の動画のように「煽る」事で「自分の価値観」の通りに他人を動かしたい、という人間がいる事は思考の片隅においてから自分の意志で「焦る」なり「迷う」なりしてくれ。



何話か続けてから罪悪感の話に戻る。

不愉快に感じたとはいえ、人の作ったものにケチつけるのは罪悪感があるのよね、結構。

まぁ、今までもこういうのはあったし今更か。

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