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何か書きたい。  作者: 冬の老人
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自作小説の主人公の「技」について その1

一次ステータスを重視して主人公の固有スキル枠に「サクセス」を入れた。

一言で言えばキャラメイク+豪華報酬有りのミニゲーム集である。

そしてそれは現実世界で言えば「プライベートの充実」と「仕事とプライベートの区切り」を示し、安心できる「家」という意味合いでもある。

「重視したい」という事はそこに理想があり、理想があるという事は現実と離れているという事でもある。


ヒロインについてのエッセイの時に最初に語った「筋トレが好きだから基礎ステータス重視」というのは嘘ではないが「肉体の強さ」だけならば「武闘家タイプ」だとか「戦士タイプ」でも良いわけだ。

実際にヒロインに魔法系の役割を任せていたために小説内での主人公の役割は前衛タイプだった。

しかし実際に小説で描いた主人公には肉体的なステータスだけでなく、魔法のステータスも高めていた。

実戦においては対した活躍の場もないのに、能力の向上や能力の開発、改良は書き込んだ。

そこにはやはり常に戦いは「一人」というものが基準として考えていたために「何でもこなせるようにならないといけない」という不安感を抱えていたのだと思う。


順序を遡ってゼロの使い魔の二次創作を書いていた時にもその流れはあった。

あの作品は異世界ファンタジーではあるがゲーム的な数値化されたステータス等はなかった。

ゼロ魔においてステータス以外の指標として存在したのは魔法を重ねる事の出来る数。

あの世界において魔法とは火、水、風、土の4属性、そしてそれらをいくら重ねる事が出来るか。

作中では最大で4つまで重ねる事が出来る、簡単に言えば魔法のランクだ。

レベル補正やステータス等がないために例えランク1の最低ランクの魔法でも゙人間は致命傷を受ける。

とはいえあの世界の実力者というのはどれかの属性に特化した性能だ。

あの世界において魔法は戦闘のみならず生活にも密着しており、現実社会における科学、機械の役割を担っている。

だからこそ魔法は絶対的でそれを扱える魔法使い、貴族は強い権力を持つ。


ゼロの使い魔の世界では公式設定として魔法は「杖」が必要である。

魔法が使えなければ魔物使いもただの人間でしかない。

そのため「杖」というのは「最大の武器」でもあり、「最大の弱点」でもあった。

二次創作において、元日本人がゼロ魔の世界に貴族として転生した場合は「杖」に特別な思い入れを持たないからこそ、この弱点を克服する。

そのため「権威の象徴」や「信仰の対象」として「杖」を持つ必要はあるがそれはカモフラージュであり、実際には別の物を「魔法発動のキー」として身につけている。

貴族として身につけていても問題無く、簡単に取り上げられない物。

例えば「腕輪」や「指輪」、「イヤリング」などの類。


確かに戦闘だけを考えればそれで十分なのだが、「野盗」などが相手の場合はもしも捕まった時は装飾品の類は金になるために奪われる可能性があり、不安となる。

魔法使いは平民と比べて最下位のランクの魔法使いでも平民の戦士10人分とされるほど戦力差があるがその指標がある通り、やはり数で押されると限界がある。

人数だけでなく罠を張られたり、魔力切れまで耐久戦をされたり、あるいは伏兵など圧倒的戦力差はあるが絶対ではなく、原作でもそうした描写もある。


そうした事から杖でカモフラージュして本命を装飾品にしても安心しきれない。

そうした先に二次創作で行き着いた結論が「自分自身」を杖とする事。

コレに関しては作者の考え方次第で「誰も思いつかなかったが誰でもできる」とか、「限られた血筋の人間だけができる」など様々である。

ただ多くの二次創作においてやはり原作の世界のルールがあり、そのルールの穴を突く形でそれぞれの作者の二次創作で「杖以外」を魔法発動のキーにしている。

その弊害を付与することで「杖以外のものが魔法発動キーとして発達しなかった理由付け」にするわけだ。

先述の装飾品ならば普通の杖に比べて燃費が悪い、威力が低いなど、効率的ではないという弊害。

そして「自分自身」を杖とする手段を描いた作者はその多くが「魔法の伝達に耐えられるように肉体を鍛え上げる必要がある」というもの。


ゲームなどで言うならば魔法使いというのは「貧弱で紙装甲な後衛職」であり、実際に原作でも多くの魔法使いはそうだ。

別に魔法使いだからといって肉体的にマイナス補正があるとかではない。

単に普通の魔法使いは身体を張る必要がないからというだけであり、普通に軍人の魔法使いは肉体的にも強い。

しかしあくまでも魔法が主体であり、肉体を鍛え上げるより魔法を強くする優先度が高い。

実戦においても政治においても魔法優先だからこそ肉体の鍛錬は二の次。

軍人ですらそのような鍛錬スタイルだからこそ「身体を鍛え上げる」という穴をつける。

問題はその鍛え方だが筋トレが好きな自分からするとやはり二次創作で見るその表現は「甘い」。

とりあえず「肉体だけで魔法を使えるという説得力を持たせるため」だけに書いた感がある。


とはいえそんな筋トレマニアから見れば「甘さ」が残るものでも何ら問題ない。

本来掘り下げる部分でもない部分を細かく見る自分のような筋トレ好きのほうが圧倒的な少数派なのだ。

しかし同時こうも思う。

「この程度の鍛錬で肉体を杖にする、という事に納得させられるのであればガチガチに鍛え上げた肉体ならどうだろうか」という考えに至る。

そこで自分は主人公に「空手をバックボーンに持つ日本人でありながら重量級の総合格闘家」という設定を与えた。

空手→総合格闘家というのはファンタジー世界においてそのキャラクターに「アイデア」を持たせる上で楽な設定だと考えている。


打撃はやはり分かりやすい。

格闘技漫画となると打撃オンリーの格闘家の強さというのは現代では説得力にかけるがファンタジー色の強いバトル漫画では問題ない。

日本という土地で「教育的観点」から子供の頃から空手の道場に通わせる理由付けとして不自然さもない。

そしてその空手のバックボーンを持ちながら総合格闘家としての打撃、投、極の強さの理由付け。

そして日本人でありながら重量級という「身体を鍛え上げる知識」が備わっている理由付け。

この3つの理由付けを乗せた「元格闘家の転生者」を主人公に据える事で主人公に「身体を鍛え上げる理由付け」、

そこから「杖無しで魔法を使えるようになる理由付け」となり、

さらなる鍛錬で「魔法と肉体の組み合わせのさらなるアイデア」を導きだせるようになる。


ゲーム、あるいは小説家になろうでも「魔法剣」という存在がある。

ファンタジーの産物がゆえに様々な定義があるが「剣」に「魔法」の力を付与することで強さを増す力である。

ゼロ魔の原作の世界においてもソレに近い事はされている。

基本的に魔法の打ち合いなので射程の長い攻防となるが接近された際の対処として杖に風を纏わせて高速な突きを繰り出している。

原作において杖でそれを可能とするならそれを二次創作として考えれば「鍛え上げた肉体に魔法を付与する事も可能だ」というアイデアを自然な流れで主人公に連想させる理由付けに゙なる。

最終的には魔法と肉体の「組み合わせ」から魔法と肉体の「融合」

になる。

この辺は「憑依」や「神降ろし」、北欧神話の「ベルセルク」などが昔から伝承や神話として言語化されているように「魔法」と「肉体」の融合は「人の限界」を超えるという理由付けにもなる。


「魔法剣」だと「剣」に限定されてしまうため、安直ではあるがそれを「魔闘技」と呼称して一連の流れをゼロ魔SSからオリジナルの小説を書くようになった後も「一次ステータス重視」と同じように流用した。

「魔法に耐えるだけの肉体を作り上げる」

「魔法と肉体を組み合わせる事で肉体を強化する」

「魔法と肉体の融合で限界を超越する」


さて自分の小説ネタを書いてきたがつまりコレは「夢を叶える」事に近い。

「肉体」というのが自分自身。現実に存在する物。

「魔法」というのは幻、妄想。現実には存在しない物。

「魔法」を使う為には「杖」が必要だがそれを「自分の身体」で代用する。

その為には「魔法」に耐えうる「力」を身体に宿さなければならない。


「力」を肉体に宿すきっかけの理由付けとして最初は「格闘家」という物で補った。

コレは「体験」しているという事、重要性を「知っている」という「過去」から来るものだ。

現代社会においてそれは「親」を含めた「先人」達の知識となる。


「肉体」が「魔法」に耐えうるようになればより高次元の「応用」を探す。

「より強力に」

「より大きく、あるいはより小さく」

「より広範囲に」

そんな応用を繰り返して行く事で「多機能」「ハイスペック」「大量生産」を可能にしている、当に「現代」そのものだ。


そしていずれ「魔法」と「肉体」が一つになる。

「夢」が受肉して「実現」する。

SFなどで描かれる人造人間などはまだ遠い未来かもしれないが、肉体をサポートするための「かつての夢」は現実になっている。

「その病気に゙なってしまえば助かる見込みがない」とされた病気の治療法が見つかったり、

「そんな事、できっこない」とされた話を実現する人間がいる。

不便や不都合を補う為に便利で好都合な魔法が夢。


自分の主人公は「一次ステータス重視」だ。

そしてこの「魔闘技」というものを「夢」に当てはめる。

小説を含めて魔法という存在や漫画やアニメ、ゲーム、映画やドラマ。

全てが「幻」だ。

果たして自分は「夢見がち」なのか?

自分はその逆だと思う。

「夢」を見るための機会、探す為の機会、それ以前に「夢」を知る機会すらない。

いつも「現実」ばかり見ていた。「不安」ばかり感じていた。

「夢」に向かってそれを叶えるための「現実」を生きる事が出来なかった。

だからこそ「現実」の痛みを紛らわせるための「妄想」をする。

「不安」をかき消すためにコレは「幻」だと言い聞かせる。

大人は「酒」でストレスを紛らわせる、と言うがその酒の代わりに子供の頃から痛みを紛らわせるための「妄想」に酔っていた。

アルコールに限らず「依存症」は一人で乗り越えるのは不可能に近い。

そして自分のような人間はもはやその快楽無しでは立つことさえ出来ない。


「魔法」がないから「肉体」を鍛え上げるしかない。

「夢」がないから「現実」が苦痛で仕方がない。

それを忘れるために酒を飲んで気を紛らわせるように「妄想」する。

そこに見る「妄想」は「喜び」と「楽しさ」があるが酷く曖昧だ。

「夢」を感じられない、「魔法」を信じられない。

「夢なんてみないで現実を見ろ」

「魔法なんてものはない」

こう語る者達にとっての「魔法」や「夢」となり彼等に「魔法」と「夢」を授けてきた。

時に彼等の「手助け」となり、時に彼等の自尊心を保つための「弱者」となり、時に彼等の「敵」となる。

彼等が「ヒーロー」として正義の味方ごっこに付き合うための「トラブル」となり、「囚われのヒロイン」となり、「悪役」となり、「引き立て役」となる。


だから「ヒーロー」には憧れない。「引き立て役」にもなりたくない。

だから「魔法」と「肉体」が融合して「魔人」となる。

「トリックスター」として彼等の選ぶ世界を傍観する。

「多数派」の選択した世界、その不都合を「少数派」のせいにした時に彼等の寝首を掻く。

派手で格好のいい選ばれたヒーローだけが使える「必殺技」などいらない。

少数派でも、弱者でも使えるただの「攻撃」が首筋に届けば良い。


その「夢」は「誰かから認められる必要性」がない。

「魔人」となった、自分がそれを認めればそれ自体が「夢」の実現。

だから自分の小説はその後の展開が他者を見守るだけとなり書けないのかもな、と今更ながらに思う。



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