アデルと神様
大天使のウカリアは、説明を求めたアイラに同意する
俺も含めて勇者達を天界まで転移させた。
なにか白いでかい墓石みたいなビルの中に入る、縁起が悪そう。
ウカリアとのやりとりで話がこじれたのか、エギル神はいきなり世界を
リセットとかいいだす
「やばいな、すぐ止めるぞ」俺は変身を解こうとすると
魔法使いのサリアは、目をつり上げて呪詛を展開した
「神様を殺すなよ」俺は焦る
殺した場合どんな罰があるのか推測できないからだ。
半球状の呪いは、幸い行動制御だけらしい。
空間の外側には移動できない。
結界の一種だろう
サリアは続けて、ミニスカ姿で杖を振り回すと
「ラブラブピースシャワー」と叫ぶ
「神様を浄化するのか」
どんな状態になるのか見ていると、幸せそうな顔をしながら
エギル神は塵となり消滅した。
「あああ、どうすんだよ、殺したらだめだろ」
「浄化だから殺しているわけじゃないと思う」
サリアが舌をぺろりと出すが、ぜんぜん可愛くない
半球状の結界が消滅すると、すぐ近くに男が立っていた。
「状況を確認しました」
男は上位世界の管理者と名乗る、神様の一種なのだろう
上位神は
「今回の件は、古典的な勇者物語に固執したため歪みが生じたようです」
「別にまったり系の世界でも結晶化はしません」
と簡潔に説明をすると、ウカリアの権限を大天使から臨時の神様にした
「しばらくは、これで運用してみてください」
「なにかあればメッセージで、相談しましょう」
上位神は伝え終わると消えた。
コミュニケーションは大事だな、どこの世界でも。
ウカリアは、神様になる実感はまだないようだが、
「それでは魔王への対応を伝えます」
おごそかな雰囲気を出しながら、
「魔王城にもどり、魔物を管理しなさい」
勇者達はまだ意図を理解できてない様子で
「魔王退治を続けるの?」
ウカリアは
「魔物が人間に害を与えないように管理すればいいのです」
なるほど、人間と魔物との共存を伝えているのか。
俺は魔王に戻ると
「ウカリア神の意志を尊重します」と伝えた。
俺たちは下界に転送された。
アイラは俺を見ながら、「お別れね」
ちょっと泣いてる
みながクスンクスンと泣き出して俺も泣きそうなるが
ハージウラが
「もともと、あんたあんまり仕事してなかったんでしょ?」
と冷静に突っ込みを入れた。
そういえば、俺はたまに周辺の魔物への対応しか仕事が無い。
「アデル、お茶入れて」
今も俺はアイラの館で働いている。
ガーゴイル経由で、魔物退治の要請があれば対応した。
片手間の仕事でしかない。
今の本業はアイラの小間使いだ。
終わり