天使反逆
「エギル、居ますか」
大天使のウカリアが戻って来た、そしてなんで呼び捨てなんだ。
「魔王は退治できたか?」
「勇者をお連れしました」
俺は顔を上げると、ウカリアの周りに子供達がいる
「連れてきたのか?」
「理由を説明して欲しいそうです」
見ると魔王もいる。
「なんで魔王がいる」つい叫んでしまう
ウカリアはスルーしながら
「罪があるなら償うと魔王君が言ってます」
ああああこいつは何も判ってない、罪があるから退治するわけじゃない
世界を脈動させないと、結晶化するからだろうが。
「いいか、使えない魔王は退治をして、新しく魔王を誕生させる」
「それが目的だから、まず退治しろ」
きつく叱責をすると、ウカリアの顔色が変わる
「神様は世界の平安を願いたくないのですか」
やばい、周りの子供達の怒りも感じる
「いや、うんそうだな、平和のために魔王を退治する」
「君の言ってることは間違ってないぞ」
若干しどろもどろに弁解してみた
アイラが「魔王を誕生させると言いましたよね」
「魔王は自然に発生するんだ、別に俺が作ってるわけじゃない」
言い訳が必死すぎるが、事実だ
光があれば影もできる、必要悪としての存在は常に生まれる。
「罪があるから裁くのでしょう、罪もない子供を殺すつもりですか」
ウカリアが何故か切れてる。
「魔王に生まれた時点で、罪があるだろ、こいつは魔王だぞ」
俺もガチギレした、俺だけなんで責められる
毎日毎日糞つまらん仕事をさせられて、部下にバカにされて
もういい、俺がすべてを浄化してやる。
「判った、この世界はリセットする、大洪水で浄化だ」
たしか制御室にリセットボタンがある筈だ、押してやる。
ちょっとくらい多元宇宙が歪んでも、かまわん。
俺が制御室に転移しようと立ち上げると、半球状の何かが部屋を覆い尽くす
「ん?転移できない」
見ると魔法少女が何か念じているようだ
「ラブラブピースシャワー」
少女が叫ぶと、俺に大量の桃色の光線が降り注ぐ
多幸感で自分が満たされる、この世界に来て初めてのやすらぎを得られた
走馬灯のように今までの記憶が蘇るが、不具合のエラー対応しか見えない
ちょっと情けない。