天使参戦
「買い物行くのだるい。旦那は今日もパチンコかな」
眉だけ描いてマスクをすると、軽自動車を出した
田舎道を走らせながら、夕飯の献立を考える
「鮭大根がいいかしら」
どんっと衝撃が走ると、用水路に逆さまに落ちてしまう
そのまま、私は水死をした、子供を産んでいなかったので
心残りも無い。旦那は今頃どうしているのだろう。
天使に転生した私は、エギルから魔王退治を命じられる
天使が手を下せるなら、世界は元から平和になる筈だが
何か理由があるのだろう、黙って下界に降りた。
魔王は子供に化けている、金髪の10歳くらい見える
かわいい姿に、騙されそう
「魔王なんだから、退治しないと」
私はあまり物事を深く考えない、言われた事をするだけだ
「ライジングサンダー」
天使の攻撃武器を、子供に向けて投げた。
勇者が私の方に走ると盾を生み出して防ぐ。
「ガンダムシールド」
よくわからないがロボットアニメに出てくる盾らしい
盾は壊れずに、無傷だ。
私は両手剣を出すと、試しに盾に攻撃をしてみる
盾は両断されたので、攻撃は通用するらしい
「勇者達は下がりなさい、その子供は魔王です」
魔王は勇者を騙して仲間に入り込んだのか
女の子ばかりのパーティなので、判ってくれる男性は居ないのか
旦那ならどう説得するのかな、思い出すと少し胸が痛む
勇者の子が「この子は、もう脅威じゃありません」
他の子も同意しているようだ
私は「魔王が改心したって事?」と聞いてみる。
勇者はアイラと名乗ると、説明をしてくれた。
「私たちがこの子を管理している状態です」
「でも魔王だから、退治しなくてはいけないわ」
私は大人としてきちんと道理を教える立場から説教口調になる
少女達は、納得していない様子だが
「魔王がいるから倒す、簡単な理屈でしょ?」
アイラが
「罪はなんですか」
私は答える事ができない。
「ええっと、エギルから言われたから、そこまではわからない」
理由にもならない、少し泣きそうになる自分が情けない
アイラが私に近づくと
「神様には会えますか?」
「面会はどうなのかしら、彼も忙しいから」
魔王が近づいてくると、
「別に退治するならしてもいいですよ」
倒すのは簡単に思えるが、この子達が悲しむのも嫌な気分だ
なんで私は天使に転生したんだろう。
私は考えるのをやめた、
「エギルに相談してみるわ」