ずっと
次の日も、彼女のもとを訪ねた。
他愛のない話で盛り上がったり。
昨日の鋭い目線を送る少女とは別人みたいだ。
「友達一号くんにお願いがあります」
彼女は真剣な顔で僕を見る。
その視線に僕は不吉なものを感じた。
まさか、
「…病気が悪化した、とか?」
「ぶー!違いまーす!」
「なんだぁ、焦った」
良かった。安心して息をつく。
「ぱんけーき、というものが食べたいのです!」
「パンケーキ?」
「本で読んだの!ふわふわで甘くて…!
一度でいいから食べてみたい!お願い!」
彼女は手を合わせて首を傾げてみせた。
その仕草に僕の、心臓は音を立てる。
「…そ、それくらいなら買ってくるけど」
「違うの!お店に行って食べたいの!
私、あんまり外出れないし、出たら怒られちゃう
から。共犯がいないと、ね?」
彼女のあまりの勢いに圧倒される。
「分かったから!じゃあ近くのお店を探そう。」
そう言って僕は持ってきたパソコンを取り出した
「なにこれ!凄い!ボタンがいっぱい…」
彼女はまるで新しい玩具を買ってもらった子供の
ように瞳を輝かせている。
「何って、パソコンだけど…」
「パソコン!覚えます!」
そう言って彼女はノートを取り出しメモする。
パラパラとめくられるページには、たくさんの事
がメモされていた。
「文字は書けるんだね。」
「うん。読み書きぐらいなら覚えてる。
難しい漢字とかは分かんないけど。」
「そうなんだ。」
そんな重症じゃないのかも。
「見てみて。ほら、パンケーキあったよ」
「ほんとだ!ここにする!」
「了解。明日ね。」
「何言ってるの、今からだよ!」
「え!?」
「はやくはやくー!行くよ!」
彼女に背中を押される。
「でも、そんな格好で出たってバレちゃうよ」
「ふっふーん!これ以外の服もあるんだから!」
「はい!着替えるからでてってねー」
「はいはい…」
なんだか僕の方が振り回されてるみたい。
でも楽しいな。
友達の温かみを身に染みて感じる。
「これからもずっと一緒にいたいなぁ。」
そう呟いた。