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友達一号
「あのさ、僕、キミのこと、その、看護師さんに
聞いたんだけど、そんな子いないって言われて…」
「…うん。私が言わないでって言ってる。」
「なん、で?」
「これ以上大切な人を作りたくないの。
何も知りたくない。」
「…え?」
「私ね、3日で記憶が無くなっちゃうの。」
そう言って悲しく微笑む姿を見ると、
こちらまで泣きそうになる。
「…そんなことって、」
「ないよね。だから治療法も分からない」
「だからキミに関わって欲しくなかったの」
それでも僕は、
「キミに忘れられたっていい。
僕はキミと友達になりたい。関わりたい。」
彼女は驚いたように笑った。
「そんな風に言われたの初めて。なんだか嬉し
い。」
「よろしくね。私の友達一号さん」
そう言って彼女は僕の手を取り微笑んだ。
相変わらず冷たいけれど。