迫るタイムリミット
こちらの小説を開いて下さり
ありがとうございます。
私が日々思うこと、感じることを登場人物に投影して書いています。
この作品を通して、
時間の大切さや本当に大切なもの、愛すること
について、私の考えを感じていただけると幸いです。
僕は、独りだ。
やりたいことも無ければ、行きたい場所も
叶えたい夢すらも無い。
こんな薄っぺらい人生に意味などあるのだろうか。
まだ生まれて17年。
一度も人生に意味を見いだせなかった。
コン、コン。
ドアをノックする音が聞こえる。
「ご飯、出来たよ。」
「…うん。」
僕は学校に行っていない。一応言われるがまま
高校受験をしたが、合わなくてやめた。
中学の頃は通っていたが、行っても行っていなくても
変わらない。だから、行かない。
今日のご飯は麻婆豆腐。僕が二番目に好きなもの。
僕の好物を作るなんて、何か話があるのだろうか。
「あのね、カナタ。今度うちの病院で、
クリスマスパーティがあるんだけど
良かったら来ない?」
そういえば、もう12月。サンタが来る頃か。
ずっと部屋に篭っていたから日付なんて分からない。
でも、仲良く過ごすカップルや、サンタからの贈り物
を楽しみに待つ子どもの姿なんて見たくもない。
僕と違って幸せそうだから。
幸せに満ちたあの笑顔を見ると、
お前なんていらない。必要ない。
そう言われているような気がするんだ。
しばらく黙っていた僕に、母は
「たまには外に出た方がいいと思うの。
健康にも悪いし。楽しい患者さんが沢山いて、
お話することが好きになると思うから、
どうかな?
美味しいケーキにお菓子だってあるよ。」
行きたくない。嫌だ。だけど、言えない。
きっと母は学校に行って欲しいんだ。
僕に普通の子と同じように、生きて欲しいんだ。
だからこうやって時々、母が務める病院の催しに
誘う。けれど、僕が行ったのはせいぜい小学校3年生
の時と中学一年生の時の2回くらい。
退屈なクリスマスパーティだった。
チキンは美味しかったけれど。
読んでくださりありがとうございました。
この作品を通して、皆さんが感じたことや考えたことは沢山あると思います。
何か日常にプラスになれば嬉しいです。