8.期待を胸に
次回から主人公が学園にいきます。
そのうち戦闘シーンとか書くことになりそうです。
そのまえに魔法とは何かとか。武術や剣術とかの情報とかいろいろ書くことから始まると思います。
書くことおおすぎーーー。
ここは、クリムゾン育成学園の屋内訓練場。普段は授業で使われるのだが、場所も広く、生徒が全員集まれるスペースがあるということもあって朝の朝礼なども行っている。
ラキュースはいつも通り朝礼の挨拶を始める。
「皆さんおはよう。今日の朝礼を始める。突然の話になるのだが、午後から新入生がこの学園に来ることになった。初回は、学園の様子を見るといった意味で施設見学や面談を行う。授業については後日から参加予定だ。わからないこともあると思うから困っていたら助けてあげてくれ。以上だ。」
生徒たちはそれを聞いてざわつきはじめる。冗談じゃない。
学園に入学するには年初めの試験を受けることが必要となっており、入学のタイミングは年の初めと決まっていたのだ。
それも今年の試験はすでに終わっており、試験に落ちた者は次の年に受けることになっている。どういうことなのだろうか?
学園の生徒会長は代表して生徒の皆が思っていることを質問する。
生徒会は学園で最も優秀な成績の人材に与えられ、中でも生徒会長は教師や生徒たちによって選ばれる最上位な役職だ。
学園のカーストでは上位クラス。理事長と対等に口論する権利がある。遠慮はいらない。
「理事長!新入生とはどういうことですか?今年の入学試験はすでに終了し、次の募集は来年と聞いていましたが?その者は試験を受けていないはずです。」
ラキュースは淡々と答える。まるで聞いてくることが分かっていたかのように。
「それについてなんだが言い忘れていた。今年から推薦枠を設けてな。私の推薦を受けたものは試験を受けなくても入学できるのだよ。優秀な人材は試験を受ける必要もない。そういうことだ。」
それらしく言っているが嘘である。推薦枠など存在しない。
この学園の運営は世間では理事長が行っていると思われているが実際は軍の司令をうけて理事長が動いているという仕組みになっている。そのため、軍の都合通りに物事を運ぶことができるということ。決定権は軍にあるのだ。今回はその一例を利用したまでである。
「そうなんですか。しかし、それを聞いても私たちは認められるはずがありません。その新入生の実力を知らないのですから。自分たちの目で確かめさせてもらいます。」
「しかたない、好きにするといい。だが一つだけ忠告しておく。迷惑はかけるなよ。後悔することになる。」
「そんなの分かっていますよ。一応学園の生徒、形としてではありますが、仲間ですから。」
絶対わかってないだろうと言いたいところだが、そんなこといったところできりがないだろう
最終的にそのような結論に至り、とりあえず生徒たちは納得してくれたらしい。
内心、ラキュースは焦っていた。
(だって私も実力知らないもん。これで万が一オムニ様に怪我でもあったらシャレにならないな。私は、確実に消される..。)
オムニを迎え入れてもらおうと話をすすめたはずが、もはや逆効果で多くの学生に目を付けられることになってしまった。
(まったくこれからどうなることやら...。)
一方、オムニは学園に向かうための準備の真っ最中だった。
ミリアとエミリーがなんやらはしゃいでいる。
「オムニ様!これなんかどうでしょう。とってもかわいいですよ!誰もがオムニ様を見た途端、可愛すぎて襲いたくなっちゃいますよ~。」
「オムちゃんにはやっぱりこれよね~。ヴァンパイアをイメージとした黒と赤の組み合わせのコーデが一番よ。エミリーよりも私の選んだ服のほうが好きよねー?」
さっきからこの調子だ。クリムゾン育成学園は制服というのが存在しないらしく、好きな服を着てよいらしい。それを知ってから、エミリーとミリアは俺にどの服を着せようか真剣に選んでるというわけだ。まるで着せ替え人形だと錯覚するくらい大量の服をさっきから着せられている。
「うーん。どれも可愛すぎて選べない!とりあえず服は毎日分担して着せることにしない?
エミリーの服のセンスも見てみたいことだし。」
「そうしましょう。オムニ様に似合う服をどちらが選ぶことができるかというセンス勝負ということですね?」
この二人はいつも競っている気がする。まあ、喧嘩するほど仲が良いというだけあってライバル的な感じなんだろう。
さっきまで選ぶのに手間取っていた服は話し合いの結果、今日着る服装は、エミリーのセレクトということで落ち着いた。
しかし、この衣装一着で元の世界での俺の一か月分の給料分ぐらいありそうだ。こんなのなかなか買おうにも手は出せない。それだけ幹部はお財布に余裕があるのだろうか?
どっちみち、俺に対する愛が重すぎることは分かる。
しかもこの二人は、引率として学園に一緒に行くことになっているらしい。二人とも俺を自分の子供のように面倒を見てくれる。まあ傍からみたら少し年の離れた兄妹にしかみえないとおもうが。
幹部が学園に行って面倒ごとにならないといいけれど...。
時間はかかったもののようやく学園にいく支度が完了した。
まあ、用意したものといっても服選びに時間をかけていただけだったのだが。
あっという間に時間は過ぎ、予定している時間になった。
クリムゾン育成学園はここからは少し離れているらしく、学園までいくには馬車が必要らしい。どうやら車はまだこの世界には存在していないみたいだ。
魔法で行くことも可能ではあるらしいが、俺に外の様子を見てもらうことも大事だという結論になったらしい。ずっと引篭りだったからな....。
学園までの送り迎えは、補佐官のシャルマンがしてくれるらしい。
彼は、元々バリスタのお世話係だがバリスタは今は不在のため、面倒を見てくれるとのことだった。
俺は、ミリアにおんぶされながら、シャルマンの待っている場所まで向かった。
転生以降、彼とは直接会う機会はなかったが、裏でいろいろとがんばってくれていたみたいである。俺がこの生活を送れているのもシャルマンがいたからと言っても過言ではない。本当にありがたい限りである。
シャルマンの待っている場所に向かうと彼は、堂々とした紳士的な立ち振る舞いで挨拶をしてきた。
初めて会った動揺していた時とは明らかに別人だ。
さすが、魔王直属の補佐官といったところか。
「お久しぶりですオムニ様。お元気そうで何よりです。本日から私が送り迎えしますので安心なさってください。」
「ああいうああ」
まだ言葉は、うまく話せない。伝わらないと思うがとりあえず形だけでも言っておく。
反応するだけでもうれしいだろう。尻尾をふって反応している。
「シャルマンはいつも堅いのよね~。もっとリラックスしていいのに。」
「同意見だわ。ストレスは美容によくないわ。あなた、一応容姿だけはいいんだから。」
などと、エミリーとミリアが言っていたが、二人にそんな態度をしたらどうなるかわからない。
もし彼女たちの地雷でも触れたら灰も残らず消されるだろう。
俺がシャルマンの立場だったら命いくつあっても足りないきがする。
もはや死にすぎて死にゲー状態だろう。
(シャルマンの立ち回りは正しいと思うぜ!)
そんなやり取りをしながら俺はシャルマンやエミリー、ミリアに馬車で連れられてクリムゾン育成学園に向かう。
初日は、理事長と面談だと聞いている。
今日は授業に出ることはないらしく学生と関わるのは明日からになりそうだ。
(しかし、学校なんていつぶりだろか?かわいい子とかいるのかな?
クラスメイトはどんな奴なんだろう?久々にわくわくしてきたな。)
オムニはクリムゾン育成学園に向かう。これから始まる学園生活に期待を寄せて....。