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魔王の後継者候補ってマジですか!?  作者: けーちゃん
第2章 クリムゾン育成学園
19/23

19.帰り道

ブックマーク、評価のほどお待ちしております。

 「お待ちしておりました。オムニ様。」


 保健室を後にして学園の入り口に行くとシャルマンが馬車を率いて迎えに来てくれていた。

 初日に早退をして申し訳ないという気持ちが邪魔して中途半端な挨拶になってしまう。


 「うん...。ただいま。」


 だが、シャルマンは気に留めることもなくまるで現場にいたかのように話を続ける。


 「話は学園長から伺いました。まさか、初日早々決闘を申し込まれるとは運が悪かったようですね。でも気にする必要はありません。行き過ぎたことをしそうになってもミリア様やエミリー様が止めてくださいます。そのためにも同行しているわけですから。」


 確かにミリア、エミリーがいなければ俺は暴走して他の学生を巻き込んでしまっていただろう。

 シャルマンは心配無用と言っていたが注意して使う必要があると今回の決闘で学んだ。

 

 「ありがとう。シャルマン、以後気を付けるよ。二人も心配かけてごめんね。」

 「私とオムニちゃんの仲じゃない。遠慮せずに暴れまわってよね!」

 「そうですよ!それにオムニ様の初めての魔法なんだかゾクゾクしましたわ。もっと魔力を感じたかったというのに。」


 二人の冗談を交えた反応も俺を気にかけてのことだろう。

 本当にありがたいことだ。


 シャルマンは、オムニの機嫌が良くなったことを確認すると明日のスケジュールを確認する。


 「明日は、武器を用いた戦闘訓練みたいですね。今日は、いきなり決闘になりましたが明日は大丈夫でしょう。クラスメイトの方たちも小手調べにオムニ様の実力を知るうえでやっただけですし。」 

  

 (本当に大丈夫なのか…?)


 オムニは、なぜ自身を持って大丈夫といえるかは疑問であったがシャルマンの言うことを信じることにした。

 信じなければ2日目早々、不登校になることは確定だったからだ。


 (まったく、前世で高校時代にいじめらていた記憶がよみがえるよ。)

 


 オムニは、前世でいじめられていた。

 それは田中健太として生きていた頃だ。

 いじめられたきっかけは別の元々いじめられていた学生を助けたことだった。

 そのとき健太は、いじめを受けている学生が助けを求めていることが分かり止めにはいった。

 その学生は、健太からすれば友達でも顔見知りでもない、共通していることといえば同じ学校に通っているという程度だった。

 だがいじめを見て見ぬふりなどできるはずはない。

 健太は、いじめをしている複数人に対して殴りかかった。

 もちろん結果は惨敗。

 格闘技など習っているわけでもないため、大人数相手に勝てるわけない。

 いじめをしていた集団は、標的を健太に切り替えた。

 そこから、健太の学生生活はいじめをされ続けるものとなった。

 だが、健太は後悔していない。

 いじめを受けていた学生は自分自身を犠牲にすることで標的からはずれたのだった。

 (もう、いじめられるのはこりごりだけどな…。)

 

 だが前世のことを考えても仕方がない。

 ここは、魔界だ。

 しかも、前世の俺とは違ってエミリーとミリアが俺にはついてる。


  

 「オムニ様聞いてますか?」


 俺が前世の記憶にふけているとシャルマンが心配しているのが分かる。


 「ああ、聞いてるよ。まったく、明日も楽しい学生生活になりそうだよ。」 


 明日のことは明日の俺に任せよう。

 (城に帰って早く寝るとするか。)

 俺は、ネガティブ思考をやめて、明日の学生生活に備えることにした。

 オムニたちは、話を終えると馬車で城へと帰る。

  



ここは、クリムゾン王国の最果て。東側に位置するスノー村である。

 名前の由来は、一年中雪が降っていることから名付けられた。

 スノー村は、今日ものどかで平和だ、

 そのスノー村のある家で声が聞こえてくる。


 「帰ったぞ親父!飯はできてるか?」


 その声は、村の静けさにはにつかない大きな声だった。

 声の正体は、オムニに決闘を挑んだフロストだった。

 彼もまた決闘後、早退したのである。

 

 父であるレミオも迫力では負けてない。

 

 「おお!帰ったかフロスト!早かったな。どうだった、転校生は?」

 「それより飯だ!!早くしろ!!」

 

 帰宅したフロストは、とても機嫌が悪かった。

 レミオは、フロストの機嫌が悪い理由が聞かなくても分かった。

 

 「そんなに強かったのか?例の転校生。」

 「ああ、あいつは化け物だ。それも力の制御もできないようなやつだ。まったく俺のライバルがまた増えちまった。明日から面白くなりそうだぜ。」



 

 オムニたちが所属したEクラスはフロストを含め一部の生徒が普段から腕試しという形で新しくクラスに入った生徒に対して攻撃を仕掛けていた。

 今まで仕掛けられた側は、誰もが高火力な攻撃に抵抗できずにやられていた。

 今回もフロストは、いつも通り弱い奴が来るのだろうと思っていた。

 Eクラスは、ランクの通り実力が底辺な者ばかりだからだ。一部の者を除いては。

 だが、違った。

 クラス内で最も火力が高いライアンの魔法を相手に気付かれずに不意打ちで入れたはずが完全に無効化されていたのである。

 今までにライアンの攻撃を受けたものは入院もしくは退学の道のどちらかだった。


 何者だ?

 クラスには新しく3人来ると言っていたな。

 3人で防御態勢をとったのだろうか。

 それなら納得できるな。


 だが、フロストは予想を裏切られる。

 3人いるのにもかかわらず、一人の少年だけでライアンの高火力な魔法を無効化していたのである。

 3人は、それぞれヴァンパイア、サキュバス、人間に似た何かだった。

 ヴァンパイア、サキュバスのような上位の存在がなぜこのクラスに来たのかは違和感しかなかった。

 力も隠しているため実力は分からない。それに女に手を出すのは、嫌いだ。

 それに加えてもっと面白い奴がいるではないか。


 フロストにとって彼女らは眼中になかった。

 もう一人の少年があまりにも異次元な実力だったからだ。

 (おそらく、このクラスの誰よりも強いな。親父とどっちが強いだろうか。)

 少年は、オムニというらしい。

 奴を一目見て分かった。

 まれにみる天才というやつだ。

 フロストは、戦いたいという好奇心でオムニに決闘を挑む。

 

 もちろん結果は惨敗だ。

 こうしてフロストは、久しぶりの敗北を味わいイラついているというわけだ。


 レミオは、悔しいフロストに対して嬉しそうな表情をしてフロストの肩をたたく。

 

 「まあ、敗北を知れてよかったじゃないか。これでお前もまた成長できるな!」

 「うるせえ!くそ親父!俺は、この程度では落ち込まない。奴は、明日から俺のライバルだ!」

 

 フロストは、ライアンに加えてオムニをライバルとして認めた。

 対してオムニはフロストにライバルと思われていることなど知る由もなかった。

 

 




 


 

 

 

 

 


 

 






 

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