10.俺の魔力
二人の水晶は、透き通った赤色を示し、魔力に耐えられなくなったのか燃えながら崩壊していく。
壊れるってどういうことだよ。
ほら、予想外な結果にラキュースも驚いてるじゃないか。
もう、驚きすぎて口を開けたまま放心状態だよ!
「久しぶりにやりましたが、こんなに脆かったかしら。もう少し段階を細かくして耐久力もあげないと使い物になりませんね。これなら鑑定スキルを使用したほうがよっぽど正確ね。」
「本当よね。私の鑑定スキルのほうがよっぽど正確よ!」
鑑定スキルとは何なのだろうか。二人の言っている意味はわからないが、水晶より測定精度がよいらしい。
ラキュースは、一瞬意識が飛んでいるみたいだったがが何とか立て直した。
まあ、なんともなくてよかったよ。
しかし、今の測定結果でラキュースは二人が幹部だということを確信したらしい。
緊張がこっちにも伝わってくる。
「あなた方は幹部の方でいらっしゃいましたか...。まさか直々に我が学園
に足を運んでくださるとは..。お会いできて光栄です。
先ほどの私の態度の件、深くお詫び申し上げます。」
やはりラキュースは、俺たちを疑っていたらしい。
まあ、幼児が少女たちに連れられて学園に入ると言っているんだ。
そんなおかしい話はないだろう。
許してやることにするか...。
二人も素直にラキュースが謝ってくれたからなのか気にしていないらしい。
「そんなことどうでもいいわ。早く、オムニ様の魔力測定をしましょ。」
「誰にでもそのような感情を抱くときもあるでしょう。オムニ様は寛容な方です。
許してくださいます。」
エミリーは、案外冷静なんだな。
ミリアと喧嘩しているときと俺と近くにいるとき以外は。
逆にミリアは怒りっぽいのか寛容なのかよくわからない。
まあ、激怒して暴れまわらなくてよかったけどなにが火種になるかわからなくて怖い。
気を取り直して、次は俺が魔力測定をする番だ。
まだ魔法を使ったことがないから、どうしたら魔力を注入できるかわからないがとりあえず
やってみる。
二人の魔力注入を真似てみる。
水晶を触ってみると不思議と手になじんでくる。
イメージではあるが体内に魔力を巡らせ、圧縮して一気に放出する。
こんな感じだろうか?
だが、さっきまでの二人とは違う。高音を響きわたらせながらも水晶の色は変わらない。
ん?変化がないな..。さらに強めてみようかな。
すると水晶に変化が現れた。
キュイィィィィィーーーーンバシュン!!
しかし結果は思わしくなかった。
本来、色が変わると聞いていたのに水晶は色が変わる前に消滅してしまったのだ。
「どうやら測定失敗みたいですね。なぜ壊れたのかはわかりませんが、色が変わるまえに壊れてしまったら魔力測定はできませんね。どうしましょうか。」
その後、何回も試したが水晶は色を変えることなくすぐに壊れるだけだった。
「本当にぼろいわね。この水晶。私がオムちゃんを鑑定してあげるから水晶での魔力測定は諦めましょ。それでいいよね理事長?」
鑑定?さっき言っていた鑑定スキルとかいうやつか。
ミリアの説明いわく、この世界には魔法の他にスキルというものも存在しているらしい。
魔法との違いとしては、魔力を消費するか否かだ。
あとは魔法と同じ要領で使用者の実力でスキルの性能も変化していく。
スキルは、基本的に魔力を消費しないですむ性能を持っているらしい。
この二人はスキルの一つである鑑定スキルを持ち合わせているのだった。
鑑定スキルは魔力量だけでなくスキルや種族など様々なステータスが分かるらしい。
それなら最初からそれ使っとけばいいじゃん!とか思ったがラキュースが話を進めてしまったから仕方ない。
それに鑑定スキルは使用者によって見ることができる範囲も変わってくるため、評価幅の同じ水晶を利用することになっているという決まりがあるということだった。
ただ、今回は俺が水晶で測定できない状況のため、特別にスキルでの魔力測定が適応されたのだ。
そんなわけでミリアが鑑定をしてくれることになった。
「いくわよー!オムちゃん。魔力鑑定!」
するとどこからか声が聞こえてくる。
<魔力の鑑定を始めます。>
<ただいま、個体名オムニを鑑定しています,,,,,.。>
・
・
・
・
<鑑定終了しました。ステータスを表示します。>
--------------------------------------------------
個体名 オムニ
種族 ******
魔力量 ******
スキル ******
称号 ****** ******
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いや、マジか。全然参考にならない....。
これって本当にあっているのか?*****というのも気になるところだ。
「おかしいな~。何か強い力がわたしの魔力鑑定を邪魔してくるみたい。
原因は分からないけど情報はこれだけ見たい。」
どうやらミリアいわくあきらめるしかないらしい。
称号というのも初めて見たらしくどのような役割をしているのかわからないらしい。
なんてこった。自分の実力が分からないほど不安なものはない。
俺は、この魔界で生き残れるのだろうか。
結局外からの鑑定は阻害されているため自身で鑑定スキルを使用するしか方法もないのだと。
最終的に俺は能力不明のため一番下のクラスに配属された。まあ、仕方ないだろうこればっかりは。
俺も落ち込んでいたがミリアとエミリーもかなり落ち込んでいた。
俺が想定していたより、弱いかもしれないという可能性が出てきたからだ。
今日、予定していた学園見学もラキュースが精神的に疲れてしまったらしく、今日は中止となり、明日から突然授業参加という形になった。
面談も終わり、俺たちは城へと帰ることにした。
「オムちゃん!落ち込まないで。私はオムちゃんがどんなに弱くても愛しているから。」
「私もですよ。オムニ様。私たち一同、オムニ様の味方です。落ち込むことありません。」
二人ともありがとう。
まあ、落ち込んでいたのは二人のほうだったけど、知らないうちに気を使わせてしまったみたいだ。
俺は、この二人の期待に応えるためにも頑張らなければいけない。
まだ俺の魔界生活は始まったばかりだ。
落ち込むのはまだ早い、明日から頑張ればよい。
挫折なんて前世ではしょっちゅうしていたんだ。
気にすることないさ。
この時、俺は想像もしていなかった。
学園での生活がどのようなものかを。
オムニが少し挫折してしまいましたが、これだけは言っておきます。
異世界最強系です。
文章を読み直してみると誤字脱字がかなりひどかったりするときがあるので編集しなおすことも多々あります。
そこはご理解の上でお読みになってください。
次回の話もお楽しみに。
応援よろしくお願いします。