第十九話 再びフラグは立てられた
さて、俺は非常に困惑している。
何故かって? それはね。目の前に優雅にお茶を飲んでいる『愛が重いらしい』純潔の神王様がいらっしゃるからさ。
ちなみに今、ベルに店の奥の部屋に案内されて、そこでメタトロン様とベルとお茶を飲んでいるところである。
って誰に話しているんだ俺は。
それにしても、アスモからメタトロン様は愛が重いと言っていたけど、ここまでの様子を見ると、むしろ、お淑やかなイメージしか無いんだが。
今だって、まるで貴族のような振る舞いで微笑みながら、お茶を飲んでいる。
すると、俺の視線に気づいたのか、俺に話しかけてきた。
「ユウさん? 私のことをじっと見てどうしたのですか?」
「す、すみません。失礼しました」
俺が慌てて謝るとメタトロン様はクスリと笑って、
「別に構いませんよ。むしろもっと見てくれてもーーいえ、何でもありません」
「えっ?」
ん? 何か今、おかしい言葉聞こえて来た気がするぞ?・・・聞こえなかったことにしよう。俺の精神の安定のために。
ベルはメタトロン様の方を見て「うわぁ」みたいな顔をしている。一体どうしたんだ?
と、とりあえず、メタトロン様に一体何の用事があるのか聞かねば。
「え、えと、メタトロン様? 俺に何か用事があったんですか?」
「メティでいいですよ。様付けする必要はありませんし、ウリエルと同じように読んで頂ければ」
「は、はあ。では、メティさんと呼ぶことにします」
「はい」
何なんだろう? 上の人は(人ではないけど)やたらと様付けを拒むな〜。そういうものなのだろうか? まぁいいか。
「さて、質問に答えましょう。私の用事は貴方に会うことと確認ですね」
「確認ですか?」
一体何の確認だろうか? 俺はお茶を飲みながら、次の言葉を待っていると、
「ユウさんは創造神様とデートをする予定ですね?」
「ゴフッ!?」
盛大に吹き出した。
ゴホッゴホッ! 何ちゅう爆弾を落として来やがったこの方!? 完全に油断し切ってた!
「ああ、そんなに汚してしまって」
メティさんは軽く指を振ると、たちまち俺が吹き出したお茶が綺麗になくなった。
さすがは純潔の神王様である。
すると、メティさんは俺の頭を軽く撫でながら、
「貴方は創造神様と並んで非常に心が綺麗な方です。貴方を汚してしまう何かは私が取り除かなければなりませんから」
「は、はあ。ありがとうございます」
スルーだ。スルーしなければいけない。ちょっとはやばい片鱗を見た気がするけど、スルーしないと。し、質問に答えて、上手く回避しないと!
「え、えと、そうですね。日時は決めてませんが、メリアとデ、デートするつもりです」
「「ッッ!?」」
ガハッ! 別の意味でダメージ食らった! 仕方ないじゃん! そういう経験皆無なんですもん。デートとかそういう言葉がスラスラ出てくるわけないだろ! ああ〜、恥ずかしい。
ん? 何かメティさんが胸を押さえて震えている。ど、どうしたのだろうか?
あれ? ベルはこっちを向いていないから分かりづらいが、鼻を押さえて震えているように見える。
2人ともどうしたんだ?
「ものすごい破壊力ですね。もう少しで可愛さに落ちるところでした」
「その意見には概ね同感ですが、既に落ちている神が言うことですかねぇ」
な、なんだ? 2人が何言っているのか全然分からん。
っていうか、絶対2人って仲良いよね?ベルの人脈はどうなってるんだ?
ちなみにこの状況を見ている創造神と傲慢の魔王もユウの可愛さに悶絶している。
「と、とりあえず、ユウさんと創造神様のデートの際は我々神界の全神総出で警護に当たりますので予め、伝えておこうと思いました」
「ご、ご苦労様です」
何か申し訳ないという気持ちでいっぱいである。
「一応、これで用件は終わりましたが、そうですね、折角の機会ですし、祝福を与えましょう」
「は、はあ」
すると、俺の体がぽかぽか暖かさを感じた。・・・なんか慣れて来た。
というか、今のところ初めて会ったその時に祝福掛けてもらっている気がする。気のせいかな?
・・・まさか全員こんな調子とかないよね? 大丈夫だよね?(フラグ)
???「主人公はフラグを回収する運命にある」
???「もうすでにフラグをたくさん回収してますからね」
???「いや〜。主人公が主人公足る所以ですね」
純潔「そういう所も愛らしいのです」
???「うわっ、来たよ。愛が重い女神」
傲慢「えっ? 君がそれを言うのかい? 君が一番彼に献身的だと思うんだけど?」
???「それな」
???「そうね〜」
純潔「やったね! 貴方もこっち側よ!」
???「嫌に決まってんでしょ! 私の愛は真っ当です!」