第十四話 願わくば君に幸せが訪れますように 【???視点】
僕はある日思ったのだ。
今までは皆にやってもらってたから、今回は自分がやってみようと。
皆は言った。
「君がやる必要はない」と。
「君の役目はここではない」と。
でもやってみたい。そう伝えると。
皆は顔を見合わせて、一斉にため息を吐いた。
「仕方がないか」と。
「君の願いならば」と。
ありがとう。そう言って、僕は準備を進めた。
準備と言っても、やることはただ一つ。
『創造』だけ。
僕の恋人は僕に尋ねてきた。
「なぜ?」と。
僕は答えた。
「『実感』したい」と。
僕の姉は僕に尋ねてきた。
「望みは?」と
僕は答える。
「『幸福』を」と。
僕の妹は僕に尋ねる。
「誰のために?」と。
決まっている。
「『僕』のために」と。
「さて、準備は整った。僕は君の観察をし続けよう。僕は君で。君は僕だ。僕らが求めるのは昔から、そして、未来もずっと変わらない」
『愛』を。
『純粋』を。
『心』を。
在りし日の僕のように。
「これは君の物語だ。だが、僕は君の不幸を望まない。僕が君に求めるのは幸福のみ。君の前にはハッピーエンドしかない」
僕は歌うように告げる。
分かりきった結末はつまらない。だが、自分は別だ。
「さあ、祝福しよう。新たな産声を上げた『僕』を!」
白銀の目には今この瞬間に生まれた『世界の特異点』に足る赤子の姿だった。
「ああ、願わくば君に幸せが訪れますように」