第十一話 新年パーティー②
セシルさんとの会話が終わった後、シオンさん達と合流した。
「国王陛下と何を話されていたのですか?」
「ん?シオンさんをよろしくって」
もちろん、それだけではないが。
「あの人は・・・。何を言っているでしょうか?私を嫌っているユウさんにそんな事を頼むなんて」
シオンさんはため息を吐きながら言った。気になるワードが・・・。
「あの?シオンさん?セシルさーー国王陛下もそう言ってたんだけど、どうして俺がシオンさんを嫌っているなんて話が出てくるんですか?」
「え?ユウさんは私のこと嫌いでしょう?」
「?嫌いじゃないですよ?むしろ、好きですよ?」
数少ない同年代の友人ですからね。
「ふぇ!?」
シオンさんが驚いたのと同時に顔が真っ赤になった。・・・何か間違った?
他の三人が「あ〜あ」みたいな顔をしてこっちを見ている。
あれ?
「あの。大丈夫ですか?」
「は、はい。大丈夫でしゅ!!」
噛んだ。
「あらあら〜。これなら心配する必要は無かったわね〜」
どちら様?
「お、お母様!?」
お母様か〜へえ、そうなんだってお母様!?若すぎない!?見た目、シオンさんを少し美しさを加えたレベルだぞ!?
「初めまして、幻桜ユウさん。私はグランディア王国の王妃ティリア・フォン・グランディアよ」
「こちらこそ初めまして。幻桜ユウです。ユウと呼んでください」
「ど、どうしてここに?」
「だって、あの人が私を置いて先にユウくんに会いに行くんだもの。ずるいじゃない?」
「ずるいって・・・」
王妃様がそれで良いのか?
「良いのよ♪あと、ティリアって呼んでくれて良いのよ?」
心読まれた。初対面にも読まれるなんてどんだけ顔に出てるのだろうか?
「出てるのよね〜」
「出てますね」
「出てるね〜」
「出てるよ」
ルシとウルさんまで!?
「「「「「魔王様と神王様!?」」」」」
「やっほ〜。楽しんでる?」
「現在、ルシとウルさんが来たことにより、僕以外、緊張状態だよ」
「ありゃりゃ。ごめんね」
失敗しちゃった、みたいな感じで謝るルシ。
「全く、だから後にしようって言ったんですよ」
「む〜。ウルだって早くユウくんに会いたかったでしょ?」
「うっ。まぁ、そうだけど」
「そうなんですか?何か僕に用があったんですか?」
「「は〜」」
二人して、同時にため息を吐いた。ん?何か変な事言った?
「ユウくんって、頭良いし、妙に察しが良いのになんでこんなに鈍感なの?」
「女性をたらし込む才能は一級なのにな」
「罪づくりだねえ」
?小声で話しているから、聞き取れない。なんとなく貶されてる気がする。
「まぁ、ともかく。ユウくんに聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「ん?何?」
みんなが俺の方を見て、口をパクパクさせている。お魚さん?
「ユウくんって、自分が威圧感を受けてないって事自覚してる?」
「ああ、してるよ?」
「えっ?してるの!?」
「あ、ああ」
メリアから聞いたからな。
「そ、その理由って分かってる?」
「ああ、メリア曰く、この刀によるものだそうだ」
そう言って、メリアからもらった刀を出した。・・・名前をつけた方がいいかな。
「えっと、この刀は?」
「メリアから護身用に貰った」
「メ、メリア〜。そういうのはきちんと説明して欲しかったな〜。ずっと気になってたのに〜」
どうやら、ルシは知らなかったようだ。とりあえず、メリアから聞いた事をそのまま伝えた。
「なるほどね〜。納得がいったよ。とりあえず、後で、メリアはシメる」
「流石は創造神様だ。私たちごときには想像もつかないようなものも瞬時に創りだすのだから」
「あ、そうだ。この刀に名前を付けようと思うんだけど、何がいいかな?」
「お〜、名前か〜。いいかもね。そうだな〜。黒くて、ユウくんの刀だから、『黒桜』とかどうかな?」
「お〜。まともだ!」
「ユウくんは私の事何だと思ってるのかな?」
「え?可愛くて頼りになる人」
「えっ?あっ、うん。ありがとう」
「?どういたしまして?」
急にお礼なんてどうしたんだろう?というよりこっちがお礼を言いたいぐらいなのだが。
(近々、もう一本刀をーーそうですね、『白幻』をあげます)
こっちはこっちでなんかしようとしてるし。
「そういえば、この刀、私の加護を感じるんだけど、どうして?」
(これに関しては私の口から言うのは野暮ですね)
どういうこっちゃい。
「じゃあ、私も加護を与えたら、変化出るかな?」
「へ?」
「『誓約』の祝福を」
ルシの祝福を受けた時と同じように暖かい感じがする。
「うわっ。本当に影響が出てるよ。ウルの加護が感じる」
「そうなのか?」
全然よく分からない。
「うん。どういう仕組みなんだろうね。創ったのはメリアだけど、ユウくんによって変化してるから、私でも分からないかな」
「ルシが分からないということは、創造神様以外は誰も分からないな」
「へ〜。ルシって凄いんだな」
「えへへ〜。まぁね〜」
普段は穏やかだが、できる魔王様らしい。
「そろそろ固まってる人達をどうにかするべきじゃない?」
ウルさんがそう言って、俺はシオンさん達を見ると、まさに口が塞がらない状態だった。いやいや、王妃様はともかく皆は事情知ってるでしょ?
「ユ、ユユユユユユウさん!!??なんで、そんな魔王様と神王様と親しげに!!??」
「ユが6つ多いですね」
うん。質問に答えるべきなんだろうけど、気になったから、言っちゃった。テヘッ。・・・・・・キモいな。
「そんなのはどうでもいいんです!!質問に答えてください!!」
「と、言われても。・・・・・・なんとなくですかね?」
「なんとなく!?なんとなくでそんな風になるわけないでしょう!!」
お〜。おっしゃる通りで。いやでもね。僕も分からないんだ。なんでなんだろうね。
新年のパーティーはまだまだ終わらない
・・・・・・気がする
???「なんか、どうなんでしょうね?これ」
???「これとは?」
???「いや〜。前話で伏線が張られたかと思ったら、ここで回収するってどうなんでしょうね。結局、ルシさん達の勘違いでしたし」
???「?勘違いじゃないですよ?」
???「え?」
???「刀もそうだけど、ユウくんは本当に『何か』が無いんだよ」
???「・・・・・・それって教えてくれないんですか?」
???「ここで言ったら、読者にも伝わるじゃない。まぁ、分かる人は分かると思うけど。ユウくんもちゃんと自覚してたし」
???「え?そうなんですか?」
???「うん」
???「ちょっと過去を見てきますね」
???「行ってらっしゃい」
???「・・・・・・止めないんですか?」
???「なんで?」
???「過去視なんてしたら、ユウちゃんの『あれ』も分かっちゃうと思うのですが」
???「大丈夫よ」
???「どうして、言い切れるんですか?」
???「だって、この作品でハッピーエンド以外起こるわけないじゃない。作者がそう願っているんだから」
???「それ言っちゃいますか〜」