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第3話 修行は命がけ

グレイは、右手は右肩、左手は左腰から抜けるよう斜めになった双剣を背負っている。


そしてたまに魔法も使う。


髪の色は灰色で日にあたると銀色に近く、顔はつり目ではあるが人間の中では格好良いと言われる顔立ちだ。


グレイが何の為に旅をしているのか、何を考えているのかカルには見当もつかない。


ただ1つだけ分かることは強者だということ。


どんなモンスターが立ちふさがろうとも、双剣であっという間に殺してしまう。


走ればカルよりも早く、崖であろうとも物ともせず登っていく。


最初の1ヵ月はグレイに付いていくのがやっとだった。



旅の最中、グレイはカルにひたすら話しかけた。


「なんだお前。汚れてるだけだと思ったら、洗っても灰色のままじゃねーか。ハハ、俺と一緒だな」


「これはアスタという食えない果実だ。ほら、匂いを覚えろ。これ食ったら麻痺して動けなくなるからな」


「カル見てみろよ~。すっげーいい天気だぞ」


「今日はこの辺で寝るか。カル、枝集めてこい。あ、乾いてるやつな」


「ブラッドベアの肉うめ~な~。っておいテメェ!俺の分まで食うんじゃねぇ!!」


カルに言葉を教える為でもあったのだろう。


もともとカーバンクルというものは賢く、中には魔法が使えるものもいるくらいだ。


3ヵ月が経つ頃には、カルはグレイが何を言っているのかを理解できるようになっていた。


出会った当初痩せこけていたカルは、その頃には二回りも大きく、足腰も強くなった。



半年が経つ頃、グレイは突然カルに向かってニカッと笑い宣言した。


「今日から、弱小カル君の為に修行を開始しまーす!!」


「キュ?」


そうして、グレイはカルの修行と称しては無茶振りをし始めた。


寝ている最中に毒虫をばらまく。


崖から突き落とす。


モンスターを怒らせてはカルに押し付ける。


食事に毒を盛る。


洒落にならないことをグレイは楽しそうにやるからたちが悪い。


しかし、カルも黙って受けているわけではない。


毒虫をばらまかれた日は、グレイのバッグに毒蛇を仕込んだ。


崖から突き落とされれば、回り込んで崖の頂上まで行き、大きな岩をグレイに向けて落とした。


モンスターを押し付けられたら、さらに大きなモンスターを連れて来てグレイに押し付けた。


食事に毒を盛られたら、グレイに向かって吐いた。



色々繰り返してるうちに、カルは丈夫な体になり、毒に対して耐性もついた。


寝ている最中でも、少しでも物音がすれば目が覚めるようになった。


モンスターの気配に敏感になり、より鼻が利くようになった。


グレイが本当に修行の為にやっていたのかは謎だが、確かに効果はあったのかもしれない。


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