東の国の魔女
私は魔女を探すことにした。
探し訪ねて十数年、ついに見つけることができた。
遥か遠く東の国にその魔女はいた。
「君の願いはなぁに?」
想像していたような魔女とは似ても似つかないその魔女は、少年のような姿をしていた。
不思議な雰囲気の彼の目は全てを知っているかのようだった。
わたしの願い
「…彼女を、幸せにして欲しい。」
「そう、人魚姫の物語の結末改変…か。」
そう言うと、彼は沢山の本棚の中から一冊の本を取り出した。
ぱらぱらとめくり、ページを破った。
「ハッピーエンドに変えることは可能だ。…しかし、僕が全て行ってしまうのではこの話はとてもつまらないものになってしまうだろう。だから、」
羽ペンを持ち、書き込む。
「君がやるんだ。」
「わたしが?」
「そう、君が彼女を幸せにする。そうすればこの物語はハッピーエンドを迎えることができる。」
「わたしが…幸せにする。」
「そうだ、良いものをあげるよ。」
きらきらとした星のような粒が入った小瓶を渡された。
「それは金平糖だよ。甘くて美味しいんだ、僕の好物。」
それじゃあ頑張ってね。
そんな声が聞こえ、目の前が真っ暗になる。
次に目を覚ましたときに見えたものは、あの懐かしい浜辺だった。