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少し、昔の話をしようか
昔々、とある国の王子がいた。
ある月の美しい晩のこと、王子は船から落ちてしまった。
不意にだったのか、家来も誰も彼を助けることが出来なかった。
いや、助けなかったのか。
しかし、それを一人の人魚が助けた。
二人は恋に落ちた。
二人は愛し合っていた。
しかし、王子は人魚の愛を受け入れることはできなかった。
隣国の王女との政略結婚が決まっていた。
彼は守らなければならないものがあった。
だから彼女を一番にすることは出来ない。
そう言い訳をしていたのだ。
気づけば彼女はいなくなってしまった。
国中どこを探しても見つからない。
私は何度も何度もあの海に向かった。
そうしたら、彼女が出てきてくれる気がして。
ある夜、月が綺麗な夜、私はまた海に行った。
そこには一人、人魚がいた。
泣いていた。
私を見て、その人魚は怒りをあらわにした、しかしそれを抑え語り出した。
人に恋した哀れな人魚姫の話。
彼女は、人魚姫は泡になって死んでしまった。
私のせいで、幸せになれなかった。
今更悔いてももう遅い。
しかし、人魚はもう一つ教えてくれた。
どんな願いでも叶えてくれる魔女の話を。
私は、決めた。