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潮騒
初めて出会った時からは少し、時間が経った頃。
いつも通りの浜辺。
少女はその長い睫毛を伏せて男に話しかける。
「ねえねえ、ぼうしさん。」
「どうしました?」
「ぼうしさんにとっての幸せってなんなの?どうして私を幸せにしてくれるの?」
「………どうしてそんなことを?」
「なんとなく……気になっただけ。」
「……貴女が知る必要など無いのですよ。」
「…そう、なのね……。」
あたりは沈黙に包まれる。
気まずいような、けして、良い雰囲気とは思えない。
「……人魚姫にとっての幸せとはなんですか?」
「えっ?」
男は少女を見つめた。
少女とは対照的なその薔薇のように赤い瞳。
「わたしの幸せはね。」
「愛する人とずっと一緒にいられること。それだけでいいの。」
「そう……ですか。」
「どうしたの、ぼうしさん?」
男は少し考え込んだようだった。
「……なんでもありませんよ。貴女の幸せわたしがきっと叶えてみせましよう。」
「そう…。」
今夜の波音はいつもより騒がしいように聞こえた。




