表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

どうやら名前が決まったそうです

どうやら、私の名前はアンゼリカという名前に決まったらしい。

母は私をエリザベスという名前にしたいと言っていたが、正直その名前はないですお母さま。

名を与えられて3か月の時が経った。

普通の赤ちゃんとは違う私は、もうお座りと寝返りが出来ていた。

早すぎる成長に周りは、天才とか神童とか騒ぐが今は慣れてしまった。


「ほら、アンゼリカ!お兄様だよ!」

「あうー」


兄はどうやら私のことが大好きなみたいだ。

事あるごとに私に向かって喋りかけて、抱っこをする。


「アンゼリカは、可愛いな!」

「あう」


否定はしないよ。赤ちゃんだもん。

目の前にいる兄と私は5歳離れていると聞いた。あと、兄の名前はアルルと言うらしい。

赤ちゃんだけど、話とか風景とかで情報は掴める。


まず一つ。私の家はかなり豪邸。たぶん金持ちだ。

私を世話するたびに見た使用人の数。

母のドレスに、父の威厳さ。兄が来ている服も見るからに貴族が着そうな服だった。

あの天使が見せた世紀末のような世界だ。裕福なのはかなりラッキーだと思う。


「にしても、アンゼリカは泣かないなー?」

「あうー」

「お腹が空いていないかー?」

「あう」


元々小食なので、あまりお腹は減っていません。

一応返事はするが、伝わっているかはわからない。喋れないのは不便だ。


「まぁ、アンゼリカは腹減った時か、おしめの時にしか泣かないからな…大丈夫かっ!」

「あうっ!」


理解が速くて助かります。お兄様。


「そうだ!アンゼリカ!今日、俺さ魔法を教わったんだ!見せてあげる!」

「う?」


魔法だと。それはぜひ見たい。

そういえば、あの天使が言うには魔法は唱えてなんぼっと言っていたな。

…赤ちゃんである私に魔法は使えるのだろうか?


「よーし!いっくぞぉ!」

「うー!」


兄は、杖を出して魔法を唱える。


「汝に偽りの光を与えよ!【イルミネーション】!」


魔法が唱え終わると、ぽっ!っと可愛いらしい音が聞こえた。

それと同時に、小さな金の光がたくさん宙に舞うのが視界に入った。まるで、蛍のようだ。

赤ちゃんの小さな手でその光を掴もうとしたら、光は触れることはなく手を貫通していった。

触れない?どういうことだ?

不思議そうにしていると、兄が楽しそうに笑った。


「あはは、アンゼリカ。これは触れないよ。言っただろう?偽りの光だって」

「うう?」

「この魔法は、【幻影】魔法なんだ。相手に幻覚を見せる魔法」


あー!なるほど!だから、触れないんだ。

初めて魔法を見た興奮で、おもわず私は拍手をした。


「うー!」

「あはは、ありがとう。アンゼリカもいつか魔法を使えるようになったらいいな」


いつか?

兄の言葉に私は引っかかった。

魔法が使えるのに、年齢の上限がないのか?

だとすると、赤ちゃんの時でも魔法が使えるってことはあり得る。

私の頭の中で一つの可能性が出てきた。


『魔法を使えるのに年齢の制限はない』


魔法は唱えてなんぼだ。わからないことは早速実験しよう。

呪文の方はどうしよう。

喋れなければ何も始まらないのだが、心で唱えれば問題ない!…はず。

杖は…ないから、手で念じてみよう。


「どうした?アンゼリカ?」

「う!」


占い師のようなポーズをとり、心で呪文を唱えた。

兄の視線が痛いが、恥ずかしがったら負けだ。覚悟を決めた私は、心で魔法を唱える。


汝に偽りの光を与えよ!【イルミネーション】!


ボンッ!


魔法を唱えた瞬間、小さな爆発音が聞こえた。


「うわ!」

「う゛!」


兄はびっくりして後ずさり、対して私は魔法を唱えた衝撃で後ろに倒れて頭をぶつけた。

痛い。たん瘤が出来たかもしれん。

泣きはしないが、ビックリした。いや、泣くところかもしれないが。


「大丈夫か!アンゼリカ!」


兄は私を起こし、身体に怪我がないか確認する。


「頭に瘤が出来ているけど、大丈夫か?」

「う」


けど、あとで冷やしてください。

兄は使用人を呼んで、氷嚢を持ってくるように頼んだ。

それより、私の魔法?はどうなったのだろう。


前を向いて確認すると、白い光が一個だけ浮いており魔法はちゃんと出来ていた。


「…うそ、魔法が出ている!?」


先に驚いたのは、兄だった。

このふよふよ浮いている小さな白い光は、おそらく私が出した

魔法が出来たことによって私の仮説は正しいことが分かった。

兄は確認するように白い光に触れたが、光は手を貫通して触れることは出来なかった。


「この魔法、【イルミネーション】っ!アンゼリカ、お前魔法を使ったのか!?」

「あうー」


そうだよー。

と言ってもまだ光は一個だし、へなちゃこだけど。


「わはぁ!やっぱりアンゼリカは天才だ!」

「あー」


兄は嬉しそうに私を抱き上げ、頬にキスをした。

おおう。そんなに嬉しがることですかい?


「お父様と、お母様に伝えなきゃ!」


え?何それ聞いてないよ!?

ちょ、ちょっと待って!まだ心の準備が!

私の願いは虚しく。その日、父と母に魔法が使えることがバレた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ