1.気付いたらそこは…。
閲覧、ありがとうございます。
(眠い…。ものすごく眠い…。)
でも、寝るわけにはいかなかった。
だって…、“少女”が居たのは…。見覚えもない森の中だったから…。
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この日、少女…森乃 陽はいつもの時間に起き、いつものように片道1時間以上かけて通学する、いつも通りの日常を送っていた。
「今日も疲れたなぁ…。」
そして、そう言ってため息をこぼしてしまう程、彼女は疲れていた。
今日、だけではないが片道1時間以上かかる通学。
それは多少慣れてきたとはいえ、どちらかと言えばインドア派で、積極的に体を動かすよりもゲームの方が好きな彼女からすればなかなかハードな道のりだった。
「…あぁ、ゲームしたいー!」
そう、少女はついつい叫んでしまう。
だが、今の自分にはそんな余裕がないことは分かっている。
けれど最近、新作のVRMMORPGが出たのだ。しかも、生産職と戦闘職が両立出来るタイプのゲームで、組み合わせは自由。しかも、補助職まであり、心ゆくまでゲームの世界を堪能出来る仕様なのだ。
そんなゲームを、ゲーム好きな彼女が我慢出来るだろうか?否、出来るわけがなかった…。
「今日こそ!今日こそは…!
私はゲームをする!」
そうして、ゲームを我慢出来なかった少女は、明日は学校が休みだから。と心の中で言い訳をしてゲームの世界に旅立った。筈であった……。異変に、気付くまでは。
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見覚えのない森の中で彼女は思い出していた。”私はゲームを起動して、キャラメイクもして、戦闘職も選んで、ゲームをスタートさせた”筈だと。そう…、キャラメイクをしたのだ。
素の彼女は黒髪で肩につくくらいの長さで、黒目。
でも、今の彼女はミントグリーンの髪で腰に届くくらいの長さで、その瞳は蜂蜜を思わせる様な金色だった。だから彼女も、普通にゲームが始まったのだと思っていた。
自分が居る場所が、公式サイトに書いてあった場所や、友達から聞いていた場所とは全然違う場所だと気付くまでは…。
(眠い…。ものすっごく眠い…。)
でも寝るわけにはいかなかった。
相変わらず、彼女が居るのは、スタート地点では無いはずの森。
バグかとも思ったが、再度転移する兆しもなく、ログアウトしようにも出来なかった。
そして、1度死ねば中央都市で生き返るのだからそれも手かと思ったが、嫌な予感がした。
死のうとすると、死に対する恐怖がある。…それは普通、かもしれない。
でもゲームなら、そう、ただのゲームなら、ここまで怖く思うはずがないのだ。
「ここは、本当にゲーム……?」
そう少女は思ってしまった。
だが、そう思った所でどうしようもない。
どうしようもないのだが、彼女にとって幸いだったのは、ゲームのメニューのようなものが見えていることだった。
次話は、もうちょっと主人公が動いてくれるはず…。