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リッチ

 『リッチ』


 それは太古の昔に滅んだ大魔法使いや賢者がアンデッドとして蘇ったと言われている。


 だが、その時代の魔法は忌み嫌われており、魔法を扱うものは道具としてしか見られていなかった。


 道具として使えなくなった魔法使い達はすぐさまに見せしめとして処刑される。

 詠唱に必要な舌を封じ、手首は切り落とされ、時に斬首、火炙り、生き埋め等様々な刑が執行されていった。


 物としか見られず、最後には非道徳的な処刑執行で命を落とした者は憎しみ、恨み、憎悪、怨念をその身に取り込んで永遠に眠る。


 全ての負の感情が長年蓄積され、『魔物』としてアンデッドが発生する。

 そして魔法使いは『ワイト』として、上記のような大魔法使いや賢者は凶悪な怨念を身に刻み込んだ『リッチ』として蘇る。


 これらは『アンデッド系モンスター』として分類される。

 当然のごとく人間を憎んでおり、生者を感知した瞬間に襲い掛かってくる。


 下級モンスターに分類される『アンデッド』は動きも遅く日光、炎、聖属性魔法を放てば容易に撃退可能だ。


 だが、『ワイト』は強力な魔法を駆使して襲ってくるので、なるべく大人数で迎え撃つ事を推奨する。


 もしも『リッチ』を見たならば全てを投げ捨てて全力でその場から離れる事だ。

 間違えても迎え撃とうとは考えない事だ。……もしそうなった場合、国家戦力の全てを使い迎撃をする事だ。


 『リッチ』またの名を『極魔の不死者』。



 ――とまぁ、これが私が『リッチ』について知ってる情報かな。


 昔に相手がリッチって知らなくてタイマンしてた時もあったなぁ。

 ………いやぁ懐かしい。あの時は本気で死ぬかと思ったわ。

 あの時の最後の会話は、確かこうだった……



『フハハッ! このリッチである我を一人で倒す者が居るとはな。……この時代の魔女は面白い、敵ながら見事なり!』


「―――え!? あんたリッチだったの!?」


『………えぇ……』



 あぁ、そうだった。最後のリッチの顔は泣きそうだったな。

 今思うと本当に可哀想なことしたと思ってるよ。


 まぁ私もそれになれると……別に人類を恨んでないけど、そこんとこ大丈夫っすかね?


【問題ありません】


 なんか天の声さん親切っすね。

 ――ホントありがとうございます!


 じゃあ『リッチ』への進化お願い。



【『リッチ』への進化を開始します】


【進化に伴い、各スキルのレベルが上昇します】


【『日光耐性Lv3』が『日光耐性Lv4』になりました】


【『敏捷Lv4』が『敏捷Lv5になりました』】


【『聖属性耐性Lv2』が『聖属性耐性Lv3』になりました】


【『恐怖耐性Lv2』が『恐怖耐性Lv3』になりました】


【『物理耐性Lv2』が『物理耐性Lv3』になりました】


【『斬撃耐性Lv2』が『斬撃耐性Lv3』になりました】


【『魔法耐性Lv2』が『魔法耐性Lv3』になりました】


【『風属性耐性Lv2』が『風属性耐性Lv3』になりました】


【『禁忌魔法Lv2』が『禁忌魔法Lv3』になりました】


【『腕力Lv4』が『腕力Lv5』になりました】


【『射撃補正Lv4』が『射撃補正Lv5』になりました】


【『毒強化Lv3』が『毒強化Lv4』になりました】


【『状態異常付与Lv3』が『状態異常付与Lv4』になりました】


【『打撃耐性Lv1』が『打撃耐性Lv2』になりました】


【『刺突耐性Lv1』が『刺突耐性Lv2』になりました】


【『腐滅Lv1』が『腐滅Lv2』になりました】




【新たなスキル『全属性魔法適正』を取得しました】


【『消費MP激減』を取得しました】


【『MP高速回復』を取得しました。『MP自動回復Lv5』が結合されました】


【『魔力操作』を取得しました】


【『魔力強化Lv1』を取得しました】


【『MP上昇Lv1』を取得しました】


【『全属性耐性Lv1』を取得しました。『聖属性耐性Lv3』『風属性耐性Lv3』が結合されました】




【新たな称号『死霊術士』を取得しました】


【『魔の頂』を取得しました】


【新たなスキル『死霊術Lv1』を取得しました】




【ステータス値が上昇しました】


【スキルポイント400を獲得しました。現在のスキルポイントは850です】


【進化に成功しました。『リビングデッドLv10』が『リッチLv1』になりました】



      ◆◇◆



 起きた。

 ステータス見た。


 ワケガワカラナイヨ。


 いや、むしろ元私として考えてみろ。

 私のステータス値は全て一万前後だった。………うん! そう考えると弱く見えてきた!


 なんか色々なスキルを取得できたけど、『魔力操作』とか『死霊術』とか何それ?


『魔力操作:魔法を自由自在に操ることができるが消費MPは上がる』


『死霊術:術者が殺した者を『アンデッド系モンスター』として召喚し、眷属にできる。死者の魂に干渉して様々な現象を起こす事もできる。

 スキルレベルによって眷属召喚のMP消費量、強さが変化する』



 魔力操作は魔法の軌道とかを変えられるとかかな?

 本当にそうだったら結構使えるスキルになってくるな。


 死霊術は……使ってみないと分からないからコメントできないな。


 とりあえず魔法を強化するために『火属性強化』『水属性強化』『風属性強化』『聖属性強化』『闇属性強化』の五つを取りたい。


【スキルポイント250を消費して『火属性強化Lv1』『水属性強化Lv1』『風属性強化Lv1』『聖属性強化Lv1』『闇属性強化Lv1』を取得します】


【新たなスキル『全属性強化Lv1』を取得しました。『火属性・水属性・風属性・聖属性・闇属性強化Lv1』が結合されました】


【残りスキルポイントは600です】



 ………さてと、死霊術を使ってみたいけど第二層の雑魚とボスは倒しちゃったからなぁ。

 しゃあない、第三層の入り口を見つけるか。


 そもそもこの迷宮って何層まであんの? 大体の迷宮は五層までが一般的だけど、第一層のアグルボアの強さからして迷宮主は相当な強さだと推測できる。


 強大な力を持っている迷宮主ほど深くなるって言われているから、最悪十層あるって考えていいかな?


 ――いっそ地面を抉ってショートカットしてやろうか。

 だけど地面も見た感じ厚いだろうな。


――ファサ。


 顔の側から綺麗な金色の髪の毛が垂れてくる。


 ん? この金髪は誰の?


 恐る恐る頭を触ると、ほとんど髪が抜けていた頭の感触は無く、フサフサとした感触が手に伝わってくる。


 ――ん!?


 髪がある!

 ――って、肌色も白に変わってる!? 灰色じゃない――やったぜ!

 胸は!? ………少し小さくなったけどちゃんとある。


 ―――ヒャッハァ!!




 ………はい。落ち着きました。

 嬉しがるのは良いけど、新しい問題ができた。


 ……今の自分の格好が恥ずかしい。

 だって……大事な部分がギリギリ隠れている程度のボロボロな布しか纏ってないんだもん。


 私だって乙女(←ここ強調)なんだから、もし他人に裸も同然な格好を見られると………羞恥心でうっかり殺しそうになっちゃう。


 ――ここで、賢い私は新たな可能性を見出した。

 声帯も回復したんじゃね? ワンチャン喋れんじゃね? ………と。

 

 少し怖いけどゆっくりと喉を震わせる。


「………あ……お? ――おぉ!

 ―――しゃべれるぞぉおおおおお!!」


 まだ呂律が回ってないけど、これはめっちゃ嬉しいぞ!

 やったぜ! ようやく私の時代がキタコレ!


「―――おっしゃあ! てんしょんあがるぅううう!!」


 完全に有頂天とはこのことだったのだが………


―――ドドドドドッ――!


 何やらテンションが一気に下がる音が聞こえてくる気がするぞぉ?

 いやいや、そんなまさかね。だって第二層の敵は全滅した筈………


 目を凝らして音の方向を見ると、そこには第一層で鬼ごっこした懐かしきゴブリン軍団が一直線に突っ込んできていた。


「なんでおまえらここまできてんねん!」

 次回は第三層に行きます!


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