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突然の死闘

『アグルボアLv7

 

 ステータス

  HP:263/310

  MP:5/5


  筋力:237

  魔力:5

  物理耐性:98

  魔法耐性:50

  敏捷:96』



 本音を言っちゃうと無理でしょ。だってレベル7だよ。


 たかがレベル7だと思うだろうけど、この世界では意味合いが全く違う。

 最低ランクの魔物、スライムやゴブリン、私みたいなアンデッドのレベル上限はレベル5だ。


 レベル上限に達した魔物は『進化』する。そうなるとレベル上限も上がり、大幅に力も上がる。


 しかもこいつのステータス値からして第三形態だと思う。

 という事は、それだけの経験を積んでいるって事だから圧倒的にこちらの不利。


 だからって背を向けて逃げられる筈も無い。

 ………やるしかないか。


 生前のような戦闘態勢に入る。アグルボアも私の雰囲気が変わったのに気づき構える。


 ステータス値が圧倒的に負けてる?

 相手は進化している?


――ハンッ!


 心の中で笑い飛ばす。


 こちとら最強の魔女やってたんだ! 熊なんかに恐れてたら私の生き様に示しが付かない、たとえ無理だろうと諦められないんだよ!


【新たなスキル『恐怖耐性Lv1』を取得しました】



 先に仕掛けたのはアグルボアだ。

 巨体からは想像できない初速で大口を開けながら突っ込んでくる。


 それを跳んで避けるが、アグルボアは素早くターンして鉤爪で追撃してくる。

 ここまでの身のこなしは予想外で、左腕を犠牲にして胴への直撃は避けるが壁に叩きつけられる。


 ――ハハッ……強すぎだろ………。


 アグルボアのアギトはすぐそこまで来ている。

 体を右にずらしてほとんど動かせない左腕をアグルボアの口内に突っ込ませる。

 勢いのままに喉仏を握り掴む。


「――グァアア!?」


 痛いだろ?

 ……私の腐敗をなめんなよ。


 途端にアグルボアの様子が変化する。

 魔力を纏い始め、アグルボアの周囲に風が吹き始める。


 ………マジかよ、まだ本気を出してなかったとか、笑えない冗談だよ。



 まだ互いの距離は空いているのにも関わらず、アグルボアが腕を振るう。


―――え?


 視界が回る。

 何が起こったのか分からないまま視線を彷徨わせる。


―――あぁ……。


 見えてしまった。

 クルクルと回る視線の中にポツリと佇む人影。

 その肌は灰色で胸は垂れ下がっており、左腕と首から上が千切れて無くなっている―――私の体が。


 視界が……暗くなって……意識が―――。



【死亡を確認しました。器の再構築を開始します】


【新たな称号『黄泉還リ』を取得しました】


【新たなスキル『物理耐性Lv1』を取得しました】


【新たなスキル『斬撃耐性Lv1』を取得しました】


【新たなスキル『風属性耐性Lv1』を取得しました】


【新たなスキル『禁忌魔法Lv1』を取得しました】


【器の再構築に成功しました】



 意識を強制的に引っ張られる感覚がして思考がクリアになる。

 暗くなっていた視界が鮮明になる。


 何が起こった?

 ――そうだ、首……付いてる?


 アグルボアは……まぁ居るよね。

 あの野郎何が起こってるのか分からない顔してるけど、私のほうが状況について行けてないから、私がその顔したいくらいだわ。


 ……つってもあんな顔になるのも分かる。殺したと思った相手が生き返るなんて想像もしないだろうよ。


 だけど私はアンデッドなんだよなぁ、半信半疑だったけどホントに不死なんだね。

 生きてる時に研究してた不死がこんな形で達成出来るとか、今までの苦労は何だったんだよまったく。


 それに『黄泉還リ』って言ったっけ?

 まだ詳細は分からないけど、あれのおかげで色々なスキルを取得出来たっぽい。

 その中でも『物理耐性Lv1』は地味に嬉しい。だって元々の物理耐性は5だったし。


 さて、どのくらい上がったのかステータスを拝見。



『アンデッド Lv2 名前:ルーナ


 ステータス

  HP:160/160

  MP:30/30


  筋力:106

  魔力:80

  物理耐性:30

  魔法耐性:24

  敏捷:108』



 ……………アグルボア、ごめん。ホントごめん。………ちょっと……待ってくれるかな?

 せめて私の理解が追いつくまで待ってて………。

 

 まず一言言わせてもらいたい。

 なんかステータス上がってない?

 私は記憶が良い方だと思うから言っちゃうけど、元のステータス値の2倍上がってるよね。


 そう考えると『物理耐性Lv1』は耐性20上がったと分かるけど………いや、なんで他も上がってるし。


 いや、分かった。多分『黄泉還リ』が原因だわ。

 というよりそれしか考えられない。


 よぉし、把握した。

 ……把握したったらしたんだよ。


 さて、熊公。再戦と行こうか。

 確かに私は強くなった。だけど油断はしない。

 ステータス値はアグルボアの方がまだ高いし、あの風纏いもある。


 私の腐敗でアグルボアが死ぬか、アグルボアの攻撃で私が死ぬか、至ってシンプルでわかりやすい。

 ……あ、私は不死だから死なないけど雰囲気がぶち壊しだから、あえて考えないようにしたい。



 次は私から動く。

 アグルボアは爪で迎撃するが、動きを読んでギリギリでなんとか躱す。

 残り少ない髪の毛が舞う。ちくしょう女の命を殺りやがって。


【新たなスキル『先読』を取得しました】


 途端にアグルボアの動きが二重になる。

 これで熊の攻撃を避けやすくなる。


 走りながら避け、時にはバックステップで距離を取り徐々に距離を詰める。


【熟練度が一定値に到達しました。『身体能力上昇Lv5』が『身体能力上昇Lv6』になりました】


 手が届く寸前でアグルボアが首元を狙って噛み付いてくる。

 それを紙一重で身を翻しながらアグルボアに上からしがみつく。


「ガゥア! グァアアッ!」


 肉が腐る臭いが周囲に漂う。

 アグルボアは私を振りほどこうと暴れるが、ただ必死に耐える。


【新たなスキル『腕力Lv1』を取得しました】


 アグルボアが危機を察して更に暴れる。

 それを耐える。

 私を潰そうと自ら壁に激突するが痛覚が無い私には少しの圧迫感があるだけだ。



 暴れる力が弱まってくる。

 もう少しなのだが私にも限界が来ていた。

 腕の力が抜けてしまい、地面に落ちる。


 その隙を逃さず最後の力を振り絞り、風纏いを発動したアグルボアは腕を振りかざす。


 その動きはゆっくりに見えたが、比例して私の動きも遅い。


【禁忌魔法を発動します】


 無意識に右腕を前に突き出す。

 全魔力が吸い尽くされる感覚がして、強大な魔力が右手に収束して禍々しい黒の球体が出来上がる。


 アグルボアが球体に触れると同時に()()は起こった。


 アグルボアの動きがピタリと止まり、その身が黒く染まっていく。


 ――え? 何が起こっとるん?

 おばちゃんワケガワカラナイヨ。

 ……誰がおばちゃんやねん!


 ――って、うわぁ。熊が完全に黒くなっちゃったよ。

 ………動かないの?

 ちょっと触りますよぉ、いきなり動かないでね?


 チョン……チョ―――うぎゃぁああ!


 触ったら砂のように崩れて原型が無くなってしまう。



【経験値が一定値に到達しました。アンデッドLv2がLv3になりました】


【経験値が一定値に到達しました。アンデッドLv3がLv4になりました】


【経験値が一定値に到達しました。アンデッドLv4がLv5になりました】


【最大レベルに到達しました。『進化』が出来るようになりました。

 リビングデッド / スケルトン】


【熟練度が一定値に到達しました。『鑑定Lv2』が『鑑定Lv3』になりました】

【熟練度が一定値に到達しました。『腐敗Lv2』が『腐敗Lv3』になりました】


【スキルポイント150獲得しました】



 ………おっとぉ?

 ここで一応言っておきます。

 主人公は不死ですよ。


 黄泉還リで取得するスキルに魔法耐性Lv1を追加しました。


 この作品を読んでいただきありがとうございます。

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