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最大の敵は空腹ですか?

 少しグロいかもです。

 腹減った。

 それはいい、生き物(?)として当然の事だ。

 三大欲求って言われてるくらいだしね。


 問題はそこじゃないんだ。じゃあ何が問題だって?

 良い質問だ。

 では、今私はどこに居るのか思い出していただこう。


 いつの間にか滅んだギルバリンの朽ち果てた建物だよ!

 見渡しても瓦礫しかねぇ!


 まぁ、簡潔に言うとね。

 ―――生き物がいねぇえええええ!!


 これはあれか、私に獲物を探し回れって言ってるのか?

 ………この体で?

 ハッハッハッ、ご冗談を…………マジなんですね。


 よぉし、やってやるよ。ルーナちゃんは頑張れば出来る子って事を教えてやるよ!

 世界一のYDK目指しちゃうもんね!

 …………の前にHPが全回復するまで休憩しましょ。うん、休憩大事。超大事。



 〜三十分後〜


 あっさりとHPが回復しちゃった私はギルバリンの西側にある森で、獲物を探して歩いている真っ最中です。


 結構な距離を歩いているけど、一切体の疲れは感じない。精神的な疲れはあるけどね。

 アンデッドの体は色々な感覚が無くなっているのか?

 痛みも感じない疲れも無い……あれぇ? アンデッドって結構良い体質かも?


【熟練度が一定値に到達しました。『身体能力上昇Lv1』が『身体能力上昇Lv2』になりました】


 おっと、ここで良いお知らせ。

 うーん、若干だけど体が軽くなった気がする。

 この調子でガンガン行っちゃおう!


―――ガサッ。


 ……なんか後ろから音するんですけど。

 ………いやいや。まさかね、居たとしてもウサギとかそういう小動物でしょ?


 向くよ?

 後ろ振り向いちゃうよ?


 よし、落ち着け私。ここは深呼吸してから一気に振り向いたほうが良い。


 ………せーの!


「―――グルルルル」


 わお、狼がいる。めっちゃ威嚇されてるんですけど。

 …………待てよ? ただの野生のワンちゃんって可能性もあるぞ。そう考えたら愛らしく見えてくるような………。

 ちょいとステータス拝見しますねぇ。



『ウルフLv2


 ステータス

 HP:55

 MP:2』



【熟練度が一定値に到達しました。『鑑定Lv1』が『鑑定Lv2』になりました】


 ―――うるせぇ天の声! 今はそれどころじゃねぇだろ空気読めバカチンが!


 …………はい、大人しく現実を見ます。

 小動物でもワンちゃんでもなく、狼さんでした。

 全ッ然、愛らしくねぇよド畜生!

 しかもレベル2かよ。勝てねぇよ!


 ここは戦略的撤退だな。

 あばよぉ、とっつぁーん。



      ◆◇◆



 …………うん。こうなる事は予想出来てたさ。私だって馬鹿じゃないんだ。


 今の私の状態気になります?

 しょうが無いなぁ、特別に教えてあげるよ。私は優しいからね。


 はい、アンデッドが狼から逃げられるはずも無く、地に伏せられて押さえつけられています。

 ………もっと、優しく………して///


 ―――って、ふざけとる場合か!

 ヘルプ! 誰かヘルプ!


 エマージェンシー、エマージェンシー!

 狼君の重さに耐えられずに私の体がボキボキというヤバい音をたててます!


 イヤァアア! 目の前の狼が私を食べようと口を開けはじめたんですけど!?

 ――って、唾液臭ッ! オェエエエ! いや、待て! アンデッドに嗅覚はない。これはただ想像して臭く感じるだけだ! 落ち着け私!


 ここで狼なんかに負けてたまるかぁ!

 お前はとりあえず邪魔な足を退けろぉおお!


「ギャイン!」


 両手で前足を退けようと思い切り掴んだら、狼は悲鳴をあげて距離を取る


 ………ん? 意外と痛かったの? 私の握力結構ある感じ?

 狼が離れて凄い警戒してくるんですけど。

 ………ってあれ? あいつの前足どうしたん?


 よく見ると前足の毛皮が無くなって肉の部分が見えている。表面が爛れてボトボトと肉が落ちはじめている。

 最初に対峙した時は無かったはずなのだが。

 …………その疑問の答えは天の声が教えてくれた。


【スキル『腐敗Lv1』を習得しました】


 ………へぇ、腐敗とな。ほうほう、なるほど。


 ―――ニヤリ。


 狼は目の前の敵が異常だと野生の勘で察したらしく、後ろを向いて逃げ出す。だけど前足に上手く力が入らないのか動きは鈍い。


 待てやコラァあああ!


【熟練度が一定値に達成しました。『身体能力上昇Lv2』が『身体能力上昇Lv3』になりました】


 ナイスタイミング天の声!

 おっしゃあ、通常の時ぐらいに体が軽い!

 ははっ、逃がさねぇぞ犬っころ!



 スタミナがある狼と疲れるという事を知らないアンデッド。狼の前足は腐敗していて速度を出せない。

 それが鬼ごっこをした結果なんて誰にでもわかる。


 ――それでは、ご覧いただこう。


 はーい。どうも現場のルーナです。

 只今、ワンちゃんを熱烈に抱いてる真っ最中でございます。

 見てください、このワンちゃん大人しくて良い子なんですよ。

 どんなに乱暴に撫でても皮膚が腐っていくだけで何も文句を言わないし、ピクリとも動かないんですよ。

 こんなワンちゃん我が家にも欲しいですね!


 ――――サイコパス!


 自分でツッコミしちゃったよ!

 いや、怖いわ。私怖いわ!


 うっわ、よく見たら狼グロいし。

 皮膚は全部溶けて無くなってるし、眼球なんてポロンって垂れてる。

 あと地味に獣臭と腐った匂いがしてる。


 え? これ食べるの? 腹壊さないか凄い心配なんですけど………。


―――キュルルルル。


 あ、美味しそうに見えてきた。



      ◆◇◆



 ルーナちゃんの一分クッキングー。


 テレレッテテテテンッ、テレレッテテテテン。テレレッテテテテテテテ、テーンテンテン(謎のBGM)


 今日の具材は狼ちゃんでーす。(パチパチ)


 まずは食べる時に邪魔になる皮を剥ぎましょう〜。

 皮は腐って溶けているので、この工程はカットします。


 次に眼球を切り取ります。

 これも腐って垂れてるだけなので、躊躇無く引っこ抜きましょう。

 ブチブチッて音が気持ち悪いですね〜。


 ――はい! これで全工程が終了です。後は食べるだけ、簡単ですね!

 ……え? 焼かないのかって?

 ノンノン、そんな面倒な事するわけ無いじゃんか。

 というか火をつけたらアンデッドな私が死んじゃいまーす。


 …………では、実食!

 うん、引き締まった肉の歯応えが良くて美味ですな。

 これを焼いたらどれだけ美味しいんだろう………いや、止めとこう。


【経験値が一定値に到達しました。アンデッドLv1がLv2になりました】


【熟練度が一定値に到達しました。『身体能力上昇Lv3』が『身体能力上昇Lv4』になりました】


【熟練度が一定値に到達しました。『腐敗Lv1』が『腐敗Lv2』になりました】


【スキルポイントを50獲得しました】


 ―――モグモグ、ゴックン。

 ん? レベルアップした?


 ………へぇ~、モグモ―――ブフォ!

 レベルが上がった!?

 うぉい、マジすか重大な事じゃないすか! 危うくスルーするところだった………あぶねえ。

 それに、食べるのに夢中で全然聞いてなかったけど、なんか色々上がってるっぽい?


 そういえばワンちゃんと戦っている時にも、空気読まずに鑑定のレベルが上がっていた気が。

 何が変わったのかステータスを見てみるか。



『アンデッド Lv2 名前:ルーナ


 ステータス

  HP:80/80

  MP:15/15


  筋力:53

  魔力:40

  物理耐性:5

  魔法耐性:12

  敏捷:34』



 おお、色々追加されてる。

 分かってたことだけど物理耐性低すぎるだろ。………にしても耐性5は無いわぁ。

 うーん、その他のステータス値は微妙だな。

 まぁ、まだ私のレベルは2だし期待は出来ないか、地道に上げて行こう! オー!


 ―――モグモグ。

 とりあえず肉うめぇ。

 パンを片手に更新更新♪


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