弱くなっても頑張ります
ステータスは全部『測定不能』。
スキルはレベルという概念がなくなって、称号の欄が消えている。
いやいや、これはないわ。
なんで? とりあえずなんで?
これじゃ『鑑定』の意味がないじゃん。
ラビとガビルのステータスは異常ないの?
『シーフLv59 名前:ラビ
ステータス
HP:1250/1250
MP:230/230
筋力:230
魔力:160
物理耐性:260
・斬撃耐性:200
・打撃耐性:160
・刺突耐性:220
魔法耐性:150
・炎耐性:110
・水耐性:110
・風耐性:140
・聖耐性:120
・闇耐性:110
敏捷:870
スキル
『身体能力上昇Lv7』『敏捷Lv8』『探知Lv3』『短剣技Lv6』『束縛Lv3』『危険察知Lv5』『鑑定Lv5』 』
あ、大丈夫そうっすね。
はーい、私がおかしいってのがわかりましたー。
ありがとうございまーす←?
これはもうあれか?
自分で動いて数値を予想しろってか?
ばっきゃろう! 面倒くせぇなおい!
「――召喚・ウルフ」
「ガルルルッ……クゥ?」
地面から黒く染まった狼が出てきて、辺りを見渡す。
そして、何もいないのがわかったのか、首を傾げていた。
……うん、相変わらず一匹を召喚するだけで、結構な負荷が来るけど、『死霊術』は問題なく使える。
ってことは、スキルはちゃんと発動してるんだよな。
スキルっていうのは最大レベルまで上がれば、数字が消えて今の私みたいな表示になるけど…………まさか進化したことで全部そうなった?
そもそもこれは進化って呼べるのか?
むしろステータス的には退化している気がするんだけど、そこんとこどうなんですかね天の声さん?
【神化は成功しました。それにともなり、対象のステータスは初期の状態に戻りました】
【称号に関しては、全て正常にインストールされました。効果に影響はないのでご安心ください】
ほうほう、進化じゃなくて神化。それに影響して初期の状態に戻ったとな?
――私の一番最初の姿ってアンデッドやん!
なんで雑魚に戻ってんだよざけんな!
そして地味に細かい説明ありがと!
「る、ルーナさん? 大丈夫……ではなさそうだけど、一応大丈夫?」
大丈夫どころかパニックですけどぉ!?
……はあ、納得はできないけど、二人には説明しといたほうがいいかもね。
「二人共、今から説明するからよーく聞いてろよ」
神化したこと、ステータスが『測定不能』になっていたこと、全てのスキルレベルが最大になったこと、アンデッド並の弱さになってしまったこと。
私は隠さずに全て話した。
「…………なんとも信じがたい話ね」
「けど、それが現実なんだろ? だったら一からレベル上げするしかねぇよな」
ガビルの言う通りなんだよな。
別にまたレベル上げをするのは問題ない。
だけど、問題なのが時間だ。
ここを最初から攻略すれば少しは強くなれるだろうけど、それじゃあ邪龍討伐隊をぶっ殺すのに間にあわなくなっちゃう。
「ああ、もうっ!」
ここで迷ってても何も始まらないよね。
「…………進みますよ」
召喚した黒ウルフに跨る。
こいつなら足が速いから移動は問題ないと思う。
それに、ここの迷宮主を殺せば経験値を稼げる。
時間がない内に出来るだけ殺さなきゃならない。
だから進む。
「すまんが、二人は走ってくれ。今の私じゃ眷属を一体出すので精一杯なんだ」
「気にしないで、私達は全然疲れてないから」
「むしろここまで楽できたんだ。さっさと行こうぜ」
そうして私達は全速力で走り出した。
走って数十分。
私は嬉しい誤算を見つけた。
それは眷属のこと。
スキルが最大レベルになった。それは『死霊術』も例外じゃない。
……さて、おさらいをしよう。
スキルはレベルが上がるごとに効果が上昇する。
『死霊術』はレベルが上がる度に眷属が強化されて、召喚に必要なMPが減る。
以前の私は『死霊術Lv4』だった。
そう、迷宮の雑魚をフルボッコにできる強さなのに、レベルが4だった。
それが最大レベルになったことで、眷属がめちゃくちゃ強くなっていました。
具体的に言うと、ウルフが適当に引っかき攻撃をしただけで、迷宮の壁が深く抉れた。
ただ、速いだけの魔物だったウルフがだよ。どれだけ強くなってんだよビックリだわ!
結局、ウルフだけで十層の雑魚は殲滅できちゃった。
それでも問題はある。
攻撃できるのがウルフ一匹だから、倒して喰う。倒して喰う。を繰り返すと効率がめっちゃ悪い。
仕方ないから私も食べるのだけは手伝った。もちろん手で触ったら『死滅』で敵が黒砂になっちゃうから、犬みたいに喰らいついた。
ラビとガビルがいるのに四つん這いで喰ってたのは、単なる羞恥プレイだよね。
気のせいか二人の私を見る視線が優しかった。
――やめて! 私だってやりたくないんだよ! だからそんな目で見るのはやめてよぉ!(泣)
そんな風に十層を攻略しているうちに、眷属を一匹、また一匹と召喚し続けて、今は五十匹の軍隊ができている。
意外と成長が早くて助かった。
今なら同時召喚も十体くらいなら可能になっている。
このまま快進撃を続けてやるぜ!
……と思っていた時、それは見えてきた。
「見つけた…………最終層の扉!」
見るものを震え上がらせる装飾が施された巨大な扉。
多分、この扉の先に迷宮主がいる。
正直なところ、この強さで迷宮主を倒せるか不安だけど、私は不死。
何度でも蘇って絶対に迷宮主を――殺してやる。
…………すぅ……はぁ…………よし、行くか。
扉に手を当てて、前に力を入れる。
ギギギッという重くて軋む音をたてながら、扉はゆっくりと開かれる。
開かれた扉の先、そこには…………
「んんっ?」
土下座をした迷宮主がいた。
お久しぶりです。
ギャルゲーの制作がキリのいいところに来たので、不死のほうも更新再開します。
次の更新は25日の日曜日です。
これからも新しくなった不死をよろしくお願いします!
評価、感想等お待ちしております。




