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決着

様々な箇所を修正しました。

これからも新しくなった『不死』をよろしくお願いします。

 さっさとこの戦いを終わらせたいな。


 巨神との戦闘は思ったよりも長引いちゃってるし、禁忌魔法を維持するだけでMPの消費が馬鹿にならない。


 禁忌魔法は命を代償にしているから、正直立っているだけで辛い。

 足に力を入れてなきゃぶっ倒れそう。


「――ラァッ!」


 禁忌魔法は当たれば相手は必ず死ぬ。

 そう、当たれば。


「貴様ノソレハ危険ダガ……当タラナケレバ、ドウトイウ事ハ無イ」


「――チッ、大人しく当たってろ!」


 満身創痍の私の攻撃が当たると思った?

 私よりも圧倒的に速くて強いのに?


 現実は世知辛いねぇ。


 それでも諦めずに攻撃を止めない。


 他の魔法で足止めをしたいのけど、すでにMPはほとんど尽きている。


「……ツマラン」


「――グッ!」


 右手を伸ばした時に、巨神は横に避けて右腕を手刀で切り落とす。

 黒い球体を宿したまま、右腕はベチャッと地面に落ちる。


「アンナ威勢ヲ放ッテオイテ、コレデ終ワリカ?」


「……あぁ、終わりだな。私の――勝ちだ」


「ナンダト?」


 意味が分からない。なぁんて顔をしているな?

 唯一、巨神を討てるであろう攻撃手段を潰されて、何も出来ないはずの私が「自分の勝ち」だと言うことが。


「――断空・逆地」


 私と巨神を囲むように半透明なドームが広がっていく。

 これはラビ達に掛けていた『断空』の逆バージョン。

 つまり、私が意識して解くか、死亡するかしない限り内側から出ることは不可能ということ。


「コレ二何ノ意味ガアルト言ウノダ」


 これでは巨神が私を瞬殺すれば解くことができる。

 巨神が拳を握った時。


「――断空・纏」


 半透明な膜が私を守るように体にまとわり付く。

 これは超精密な『断空』で、効果時間は僅か一分しか無い。

 だけど、これでいい。

 これが私の必勝法。


「さぁ、終わりにしようか。――禁忌魔法・暴走」


 私の切り落とされた右腕。そこに纏わりついている黒い球体が、激しい動きで膨張していく。


「――貴様! ソウイウ事カ!」


 私が選んだ最後の切り札。それは道連れ。


 私は不死なので死んでも蘇る。

 だけど、巨神は違う。どんなに相手が強くても『禁忌魔法』は相手を必ず滅ぼす。


「キサマァアア!」


 外に逃げようとしても『断空・逆地』が邪魔をして逃げられない。

 私を殺して解除したくても『断空・纏』のせいで、全ての攻撃は通らない。


「無駄だって……流石の断空も禁忌魔法には勝てない。仲良く心中といこうか」


「オノレ! オノレオノレオノレェエエエエ!」


 激しい渦を巻き始めていた球体が膨らみ、直径三十mの球体に膨張して全てを飲み込む。


 ラビ達に被害が及ばないようにと配慮して位置調整された『禁忌魔法・暴走(バースト)』はクレーターを作って中に居た存在ごと消える。


 私と巨神だったものは黒い砂となって崩壊していく。



【死亡を確認しました。器の再構築を開始します】


『よく、自分の力で巨神(タイタン)を倒せたね』


『そんな君に僕からのプレゼントだ。……どうか気負い無く受け取って欲しい。そして出来るならば、僕と……いや、僕達と……』


【全称号が正常にインストールされました】


【器のアップデートを開始します】


神名(コードネーム)『死神』を器にインストールします】


【器のレベル概念が消失しました】


【器の生体概念が消失しました】


【…………インストール成功しました】


【器のアップデートが完了しました】


【器の再構築に成功しました】




        ◆◇◆




 静かすぎる。

 さっきまで壮絶と言える戦いがあったとは思えないほど、音が聞こえない。


 その名の通り死闘があった場所には、二つのシルエットが佇んでいた。


 ルーナさんと巨神。


 そのどちらも黒く染まっていて、それはやがて細かい砂粒となって崩れてしまう。


 その黒い砂は、風がないのに渦を巻いていって、再び黒い球体を形取っていた。

 そして、中心には白い少女の姿が。


「あれは……ルーナさん? いや、雰囲気が違う」


 ルーナさんが蘇る前兆だろうかと思ったけど、いつものルーナさんから発せられる暴力的な負のオーラが全く感じられない。


「いや、むしろ何も感じられねぇぞ。どうなってんだこりゃぁ」


 ガビルですら感じられた雰囲気が無いのはおかしいわよね。


 黒い球体内にただ寄っている少女は、もしかしたらルーナさんじゃないのかしら。


「おい、動いたぞ!」


 ずっと目を瞑っていた少女が動き出す。

 繭のようになっていた黒い球体を内側から破り、外に出た。


「あれは……誰?」


 その少女は十五歳前後の見た目をしていて、とても綺麗な顔をしていた。

 そして、少女の目を見た瞬間、鳥肌が全身にたった


 少女の目は何もなかった。

 眼球がない。という訳ではなくて――感情が読み取れない。


 全ての感情がなかった。

 喜怒哀楽というのがなくて、そこだけ黒で塗り潰したように真っ黒。

 長時間眺めていたら発狂してしまうんじゃないかというほどの不気味さを纏っていた。


「……………?」


 少女は状況を理解していない様子でキョロキョロと周囲を見渡している。首を振る度になびく白髪が美しい。


 そして少女は驚いたように自身の白髪をゆっくりと持ち上げ、恐る恐る下を向く。


 そして少女が何かを言おうと息を吸う。私達は謎の少女が何を言うのか身構える。


「――なんっじゃこりぁあああぁあああ!?」


「……あ、ルーナさんだわ、あれ」


「ルーナさんだな、あれは」


 いつものように叫んでいる少女を見て、ようやくあれはルーナさんだと確信できた。


 当のルーナ(仮)は状況が分からずに自分をボディチェックしていて「私のナイスバディがァアアア!」と絶叫しているけど。


「……ルーナさーん」


「あぁん!? 私は今忙しいんだ――ってラビかよ。……あぁ、降りられないのね、チョイとお待ちを」


 すぐさま理解したルーナさんは、足に力を入れていつも通り跳んで救出しようとしてくれるけど、普通の人がジャンプする程度の飛距離しか出ていない。


「どうしたのルーナさん?」


「………出ない」


「出ないって、何が?」


「いつもの力が出ないんだよ!」


「「………ぇええええ!?」」



        ◆◇◆




 ………………終わった。

 私の最強伝説の幕が終わった。


 結局、どれだけ頑張っても力は出なかった。


 それならと死霊術で飛べる眷属を召喚したんだけど、一体出すだけでMP切れになった。


 それでもなんとかラビ達を救出することが出来たんだけど、自分の体なのに意味が分からなかった。


 意味が分からなくても間違いなく弱体化したということは分かった。

 そんな私は絶望して地面に大の字になって倒れ込んでいます。


「……? …………ん?」


「どうしたラビさんやい」


 ラビが首を傾げているけど、何があったのだい?


 首だけを捻ってラビを見る。


「……いや、鑑定ではどうなってるのかなぁ、って思ったからルーナさんのステータスを見ようと思ったのよ。そしたら『声』がエラーって……」


「どういうことだってばよ……」


 エラーって何よ。

 そんなのなったことないぞ。


 どうやらガビルのステータスは普通に見れるっぽいね。

 だとしたら私が何らかの問題を抱えているのか。


 それって私が見たらどうなんだ?

 試しに見てみると……



『死神


 ステータス

  HP:測定不能

  MP:測定不能


  筋力:測定不能

  魔力:測定不能

   ・炎魔力:測定不能

   ・水魔力:測定不能

   ・風魔力:測定不能

   ・聖魔力:測定不能

   ・闇魔力:測定不能

  物理耐性:測定不能

   ・斬撃耐性:測定不能

   ・打撃耐性:測定不能

   ・刺突耐性:測定不能

  魔法耐性:測定不能

   ・炎耐性:測定不能

   ・水耐性:測定不能

   ・風耐性:測定不能

   ・聖耐性:測定不能

   ・闇耐性:測定不能

  敏捷:測定不能


 スキル

『痛覚無効』『疲労無効』『状態異常無効』『鑑定』『日光耐性』『恐怖耐性』『物理耐性』『斬撃耐性』『魔法耐性』『禁忌魔法』『先読』『腕力』『探知』『麻痺毒』『射撃補正』『猛毒』『毒強化』『状態常付与』『打撃耐性』『刺突耐性』『死滅』『魔法適正』『消費MP激減』『MP高速回復』『魔力操作』『魔力強化』『MP上昇』『全属性耐性』『死霊術』『全属性強化』『炎無効』『神速』『空間魔法』『空歩』『隠密』『幻惑魔法』『神足』『眷属強化』 』



「…………はい?」

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