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始まりは呻き声で

 ――何も見えない。

 ――何も聞こえない。


 ここは何処? 暗いし狭い。

 手を伸ばすと何か固いものに当たった。

 ん? 閉じ込められてる?

 いや、なんでやねん。


 ………待てよ、この臭いは嗅いだことがあるぞ。

 これは土の臭いだ!

 ………え? 私なんで土に埋まってるの?


 とりあえずここから出なきゃ。

 削れたりしないかなぁ。


――ズルッズルッ。


 手を動かす度に気分が悪くなるような音が自分の指先から鳴る。


 うっわ、私の指も削れてるじゃん。

 けど痛みは無い。痛覚が無くなってる? 

 不思議と何も感じない。


 とりあえず目の前の土は少しずつ削れてる感じがする。

 比例して私の指も削れるけど。

 これ大丈夫? 外に出た時に私の指先残ってる?


 とにかくどの方向か分からないから完全に運任せで掘りすすめる。

 とにかく手を動かして掘る。

 ドンドン掘るナウ。


 ヤバい……もうどれだけの時間が経ったか分からない。


 ―――ヒューヒュー。


 ん!? 風の音だ!

 やっと地上に出れる!

 ヒャッホーイ! ラストスパートで張り切っちゃうぞ!



 いやぁ、運動した後のそよ風って気持ち良いよね。

 あ、どうも。やっと外に出る事が出来ました。


 というか夜なんですけど、めっちゃ暗くて結局ここが何処だか分からないんですけど。


 動こうとしてみても体が重いし。

 何かをしようとしても力が出にくい。

 歩こうとしても片方の足を引きずる事になってしまう。


「……ァ……ウァ゛………ァ゛ア?」


 うっわ! 気持ち悪!

 何今の私の声?

 完全に呻き声じゃん!

 アンデッドみたいな声出てましたやん!

 …………ちょっと待って、アンデッドみたいな?


 いやいや、そうと決めつけるには早いですぜ私。

 確かに呻き声しか出せないし、体はアホみたいに重いし、体は脆いし、痛覚は無いけど……………。


 …………うん。オーケーオーケー。

 一旦落ち着きましょう。

 そうそう、まだあれ(・・)だと決まった訳じゃないんだから。


 呻き声なのは、めっちゃ酷い風邪なんだ。

 体が重いのは、まだ二日酔いが回復してないんだ。

 体が脆いのは、土が固かったからだ。

 痛覚が無いのは、無我夢中だったからだ。


 ―――うん、多分そうだ。いや、そうに違いない。

 さすが私、頭の回転が早い。

 天才だからね仕方が無いね。


 お、気がついたら周囲の風景が見えるようになってきた。

 目がやっと慣れてきたのか? 

 遅いぞ私の目。もっと早く順応しなきゃダメだぞ。


 というかここはホントに何処なんですか。

 一面全部瓦礫の山じゃないですかヤダー。


 ………歩いたら絶対に転ぶよね。

 そ~、と行ったら大丈夫かな?

 私は忍者だ、私は忍者……あ、ヤベッ! 言ってるそばからコケた!


 ―――ボキッ。


 …………え?

 ………今、折れたよね?

 思いっきり私の骨折れましたよね?

 マジかいくら何でも脆すぎるだろ私の体。

 いや、当たりどころが悪かっただけかも知れないな。………うん、決め付けは良くない。

 だけど、本当に痛覚無くて良かった。



 結局何度も転びながら建物を探しましたよ、そしてなんとか見つけましたよ。

 何度も転びながらね!

 なんで転ぶ度に骨が折れるんだよ! どこの虚弱体質じゃボケェ!

 痛覚無くても音がヤバいんだよ音が!

 ボキッ! ってなんだよ、エグ過ぎるだろ。食事中の人も居るかもなんだぞ自重しろ!

 

 何はともあれ建物を見つけれたのは幸いだった。

 と言っても建物はボロボロで日除けにしか使えないけどね。



 よし、そろそろ状況確認しよう。


 Q1 

 私は何?


 A

 ルーナです(キラッ☆)

 ………はい。ふざけるのやめます。

 まず自分の腕を確認しましょう。

 うん、素敵な灰色ですね――って気持ち悪いわぁ!

 なんで灰色やねん! 完全にヤバい状態じゃんかこれ!


 自慢のナイスバディなバスト&ウエスト&ヒップもとても悲しい事になってる。

 というか胸を見てるだけで辛くなってくるんですけど………バインバインの胸が枯れて垂れ下がっているんですけど。


 まぁ、ここまで来たら受け入れるしかないよね。




 どうやら私はアンデッドになってしまったらしい。




 ―――いや、マジか。


 はい、無理矢理にでも気を取り直して次の質問に行きましょう。


 Q2

 ここは何処?


 A

 多分、ギルバリン。


 なんでかって? 少し遠いところにギルバリンの観光スポットの塔が見えるから。

 それに元の体からアンデッドとして復活したんだから、私が死んだ場所からというのも分かる。


 なんか探偵っぽくて私カッコいい。

 え? 別にカッコ良くない?

 あ、そうですか。はーい黙りまーす。


 Q3

 ステータスは?


 A

 知らん。


 まずステータスを調べるには『鑑定』ってスキル取らなきゃだからなぁ。

 そういやスキルポイントってどのくらいあるんだろ。………あ、スキルポイントっていうのはスキルを覚えるときに必要な経験値みたいなものね。


 人によって生まれた時にスキルポイントの多さは違いが出てくるし、敵を倒してレベルアップするとスキルポイントが貰える。

 ちなみに私が生まれた時はニ万あった。


 ……とりあえず念じてみるか。


【現在取得しているスキルポイントは200です】


 少ねぇ! 思ってたより少なすぎてビビった!

 これじゃあ鑑定と何か一つしか取れないじゃん。


 ……おっと、挨拶が遅れた。天の声さんチッスチッス。お久しぶりっす、相変わらず抑揚の無い声っすね。


 天の声というのは、人々には世界の声やら神の声と呼ばれている………結局は謎の声。

 なんかレベルアップした時とか、称号を貰った時に聞こえる。

 簡単に言えばナビゲーター的な存在?


 そんなのどうでもいいか、それより鑑定を早く取りたい。


【スキルポイントを100消費して『鑑定』を取得しますか? はい/いいえ】


 もちろんイエス。


【『鑑定Lv1』を取得しました】


 ………あー、そうだった。スキルレベルとかあるんだったわ。

 鑑定はレベル5が最大だっけ? 上げ直すのダルいわぁ。

 とにかく、ステータスの確認は出来るから見てみよう。


『アンデッド Lv1 名前:ルーナ


 ステータス

  HP:17/74

  MP:12/12』

 

 やっぱりアンデッドだったのね。まぁ、予感はしてたからもういいよ。

 ………それよりも私いつの間にか死にそうなんですけど。

 痛覚は無いけどダメージは受けるってか? ざけんなこの野郎!



 まだステータスの表記は少ないけど、スキルレベルを上げてけば更に詳しく見れるから今は我慢我慢。


 さて、残りスキルポイントは100と。

 何を取ろうか、やっぱり魔法適正?

 ……けどなぁ魔法はMP低いから使っても枯渇しちゃうよね。

 うん、元魔女として悲しいけど却下。


 ……お、身体能力上昇とか良いんじゃね?

 最大レベル10ってところが面倒だけど。少しでも移動は楽にしたい。


【スキルポイントを100消費して『身体能力上昇』を取得しますか? はい/いいえ】


 これっていちいち応えるの面倒だよね。

 はい。


【『身体能力上昇Lv1』を取得しました】


 んー? 若干軽くなったかな?

 まだ確かな変化は感じられたいけど、このスキルなら体を動かしてればすぐにスキルレベル上がるでしょ。

 


―――クゥウウウ。


 なんかお腹鳴った。

 そういえば何も食べてないなぁ。

 そう思ったら凄い空腹感が出てきたんですけど………。


 アンデッド、空腹で死にそうになる。

 あ、元々死んでるんだった。

 こんな夜中に何更新してんだよと自分でツッコみたい


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