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SS1 日常と異常

ショートストーリーです。

 朝は苦手だ。


 ベッドの暖かさと眠気が体を動かすことを邪魔する。出来ることならこのまま二度寝を決行してしまいたい。


 昔からベッドには離れられなくなる呪いでも掛かっているのではないのかと思っている。


光弥(こうや)ー、早く起きなさーい」

「………んぁーい」


 気合で起きて眠気を無理矢理吹き飛ばし、学校に行く準備をする。


 毎日通っている通学路を歩いて、出会うクラスメイトに挨拶をする。

 仲がいい友人と他愛ない話をしながら1歩、また1歩と学校に向かって歩く。


 自宅を出て二十分。ようやく目的の学校が見えてきた。


 いつもよりゆっくりと歩いていたので時間ギリギリになってしまった。チラホラと走って正門を通る生徒が見える。

 俺と友人も、その生徒達と同じように小走りで門を通る。


「ほら、急げ。チャイムなっちまうぞ」


「サーセン!」


 走らない程度に急いで廊下ですれ違う先生に挨拶をしながら教室に向かう。


滝田(たきた)おはよー」


「あぁ、おはよう」


「滝田くん、おはよう。昨日頼んでおいた資料出来た?」


「ちゃんと出来てるよ。はい、これ」


「わぁ! ありがとう!」


「どういたしまして」


 クラスメイトと軽い会話をしながら自分の席に座る。窓側の後ろの席で、窓から見た風景は何度見てもリラックス出来る。


 ただ、唯一の問題は授業中に風景を見ていると眠くなってしまう。そうなると睡魔との戦いなので辛い。

 もっとも、ほとんどの確率で負けてしまうのだが。


「ホームルーム始めるぞー、さっさと席に付けお前ら」


 ――キーンコンカンコーン。


 チャイムが鳴り担任の大林先生が扉を開けて入ってくる。


「えー、今日の連絡だが―――」


 今日も一日勉強をして、放課後には部活動で運動をして汗を流し、疲れた体で帰宅する。

 夕飯を食べて風呂で疲れを癒やして、寝る前の勉強をしてから布団に入る。


 そして、朝起きて学校に行く。

 そんな日常を毎日繰り返す――はずだった。



「おい! 何だあれ!」


 一人が外を見て騒ぎ出した。

 それにつられて次々に外を見始める。そして、全員が目を見開いて驚愕していた。


 何事だと思い、外を見ると信じられない出来事が起きていた。


「………天使?」


 なんの比喩でもない。


 眩い光を降らしながら一人の少女が白い羽を羽ばたかせ、ゆっくりと空中を漂っていた。


「………なんだよ……これ」


 起きている事の意味がわからず言葉を漏らす。

 それはこの場にいる全員が思っていることなのだろう。


『――喜びなさい』


 話し声というよりは直接脳内に響くように声が響く。思わず頭を抱えるが痛みは無い。

 それは美しく凛とした声色だったが感情が一切篭っていない冷えきった声だ。


『我らが主が無価値であるはずの貴様らをお望みだ』


 主? お望み? どういうことだ?


『選ばれたことに感謝をし、主の良き駒として死ぬまで働くがいい』


 光が更に強まる。

 辺りはすでに白で塗り尽くされて手元しか見えないほどになっている。


『全ては主の思うままに』


 全てが白で塗りつぶされた時、意識は消え失せた。


 その日、学校にいた総勢約八百人の職員と生徒が忽然と姿を消し、連日ニュースで報道され原因不明の現象として世界を賑わせた。



      ◆◇◆



『誘惑に負けないで』


――誰だ?


『いつかきっと君達を助けてみせるから』


――助ける? 一体何からだ?


『だから、それまで耐えて』


――お前は誰なんだ?


『………力が無い僕を許してくれ』

 次から5話ずつ投稿したらショートストーリーを書くことにします。

 本当は5話の時からあげたかったのですが、うっかりで投稿するのを忘れてました(笑)

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