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プロローグ

 プロローグ長いです


 大幅修正を行いましたが内容に変わりはありません。

 暗く深い通路から怪しい光を漏らす部屋がある。

 その中では怪しい女が、これまた怪しい実験をしている。


 その女は普通に見れば絶世の美女と呼べる姿をしており、髪は艶のある金髪、胸はボインボイン、身体のバランスも良い、まさにパーフェクトな存在。

 ………そう、私だ。


「………よし、後はこれを入れるだけで……」


 グツグツと煮込んだ試験管の液体に仕上げを投入する。


 ――ボカンッ!


「―――グエッ!」


 何を間違えたのか試験管が爆発して、私はカエルの悲鳴のような声をあげてしまった。

 液体は沸騰していたのでめっちゃ熱かった。

 ……ちくしょう軽く火傷してしもうた。


「我に癒やしを――ヒール」


 火傷した箇所がみるみるうちに回復していく。


 まったく……何が悪かったの。これで何回目? 多分三桁行ってるよねぇ。

 ……よし! 何度でもトライするぞ!

 私はめげない女なのよ! オーホッホッ!


「さてさてぇ? 次はこっちを入れてみようかなぁ―――グエッ!」


 次は先程よりも大きな爆発が起こった。めっちゃ熱いし痛いし最悪だった。


「ヒールじゃ、ボケェエエエエ!」


 ―――ファ○ク!



      ◆◇◆



 私が居る場所は、最高峰の軍事力を誇る魔導国家ギルバリンの王城、そこの地下だ。

 王様を脅迫してそこにある一部屋を借りて実験の毎日を繰り返している。


 少し前に王様から「毎日の爆発の音が怖いから止めてくれん?」と苦情が来たのだが、即座に「無理、ヤダ、ボケ」と言ってキッパリと断ってきた。


 ついでに一発――ファイアを弱火で放って、無駄に長い髭を焼いてやった。その時の王様の顔は、めっちゃ面白くて一日中笑い転げていた。


 私の実験には失敗が付きものなのだから、少しは我慢して欲しいよまったく。

 本当に王様はビビりすぎてつまらないわぁ。


 ………え? いつも失敗するのは私が馬鹿なだけだって?

 ぶっ○すぞ、このチキン野郎共。



 さて、なんで私はこんなに自由に行動出来てるのかというと………私が偉いからだ!

 今なら靴を舐めても良いのよ? ……やっぱりヤダ。気持ち悪すぎて世界壊しそう。


 だけど私が偉いのは本当よ?

 【世界最強の魔女】って全ての生物に恐れられているのは何を隠そう、私なのだから!


 舐めても良いのよ? あ、やっぱり(以下略




 そういう事で好き勝手やらせてもらってます。

 どーも魔女のルーナでぇーす(キラッ☆)


 おいそこ、BBA言った奴こっち来い。ぶっk(以下略


 というかなんでさっきから勝手に略されて(略


 ちょ、ま(略


「――テンペストぉおおおお!」


 謎の怒りに任せて無詠唱で上級魔法を発動してしまった。


「………あ、ヤバ!」


 気づいた時にはもう遅かった。

 全てを切り裂く暴風は、今まで集めてきた資料や実験道具を見事に全て細切れしてしまった。


「ノォオオオオ! 私の研究成果がぁああああ! 私の不死の薬がぁああああ!」


 あまりのショックに頭を抱えて床を転がる。


 オーマイガッ!

 マジでオーマイガッ!


「………師匠は何をやっているのですか? ………あぁ理解しました」


 扉が開く音がして一人の男が入ってくる。

 私の唯一の弟子――マルギンだ。


 マルギンは王城に住んでいるわけではなく、普通に家を持って暮らしている。それで時々、私が生きているか確認に来てくれている。


「あぁ、実はね―――」


「いえ、理解したって言いましたよね? 説明はいらないです」


「――るっせぇ! お前を怒りの捌け口にしたいだけなんだよ察しろよ!」


「師匠ひっでぇな! 少しは抑え……ちょっと待ってください、どこに行こうとしてるんですか!?」


 虚空に『転移』の魔法陣を作り出してる私の腕を抑えて止めやがる。

 あー、魔法陣消えちゃった。


「なんかムカつくから帝国滅ぼしてくるだけよ」


「やめろぉおおおおお!」




〜数分後〜


 何故か私は荒れた自室の中で正座をさせられていた。

 ……足が痺れてヤバくなってきた。今、ツンツンされたらビックリしてうっかり人を殺しそう。


「なんでイライラすると何かを壊そうとするのですか師匠は。というか帝国は本気で洒落になってないですから」


「別にいいじゃん。あそこの王様って昔から私をエロい目で見てくるんだよねぇ。まぁ、私がナイスバディだから仕方が無いんだけどさ。

 いつ殺してやろうかなと思ってたところにちょうど良いストレスが舞い込んできたのよ。これは帝国を壊せっていう天のお告げだわ、間違いない」


「間違いだらけです! 各地に謝りに行ってる俺の気持ちになってください!」


「後悔も反省もしていない。むしろもっとやってやる」


「―――ざけんな!」



      ◆◇◆



『気をつけて』


『奴が動き出した』


『誰も信用しちゃダメだよ』


『でなければ、もう時期に君は――――』



      ◆◇◆



 ――コンコンっ。


 んあ?

 ………夢か。一体何だったんだ?

 気をつける? それに奴って誰だよ。

 誰も信用しちゃいけないとか、いきなり言われても理解できないし………というか時期に私はどうなるんだよ。

 そこが気になるっての。


 ――コンコンコン。

 

 夢の事が気になるけど、誰か来ているし後でゆっくり考えよう。


「………あーい、開いてますよーっと」


「ルーナ様宛に手紙でございます」


「ほいほい、ご苦労様。ありがとうねぇ」


「それでは失礼いたします」


 なんと私宛に手紙ですって。ラブレターかな? まぁ、それだったら見た瞬間に燃やすけど………。


 宛先を見てみると、そこには『マルギン・バーン』と書かれていた。


「――ってマルギンかーい!」


 思わずツッコんでしまった。

 あいつめ、とうとうここに来るのも面倒になってきやがったな? マジでそうだったら目の前に転移してぶん殴ってやる。


 ……えーと、内容は?


『ルーナ様へ

 至急ご連絡したいことがございます。今日のお昼頃に我が家へお越しください

          マルギン・バーン』


 ………なにアイツ、いきなりかしこまっちゃって頭打ったのか?

 というか自分で来いし、なんだデートか? デートしてるから来れないってか?


 それだったら年齢=独身の私に喧嘩売ってるな。よし、買ってやろう。ぶっ○してやる。


 つーか今何時? 時計、時計っと………あれぇ? ニ本の針が真上を向いているぞぉ?

 

 うっわ! やばいやばいマルギンは時間にクソみたいに厳しいんだった。遅れたら昨日の比じゃないくらい怒られる。


 今までで最速を誇るくらい素早く魔法陣を描いてマルギンの家内に転移する。


 目を開けると、昼間だといっても眩しすぎる光に、私は思わず目元を隠してしまう。引きこもりにはツラい。


「おい、マルギン! ちょっと眩しすぎね? こちとら二日酔い状態なんだから優しくしろ…………あ?」


 ようやく目が慣れてきて、家内が眩しすぎる事に文句を言ってやろうと思い、目の前を睨みつける。

 だが、そこに居たのはマルギンではなく、銀髪の怖いくらい無表情な少女だった。


「なによ……これ」


 更に異常だったのは、目の前にいる少女とまったく同じ容姿の少女が、自分を囲っていることだ。


 ハハッ、まさか人造人間? それとも秘密裏に開発されていたクローンとか?

 ……何にしても悪趣味ね。


「お困りのようですねルーナ様」


 奥の階段から目的の人物がゆったりとした動作で降りてくる。


「てめぇマルギン。これはどういう事? 私を熱烈に囲んでくれているコイツらは誰よ」


「知る必要は無いですよ。貴女はここで死ぬんですから」


 ―――ブチッ!


 本気でムカついた!

 調子に乗った罰として半殺しにしてやる。弟子でなかったら殺していたところだけど、運が良かったと思いやがれ。


 それぞれ両手に魔法陣を描きながら少女を飛び越え、マルギンに向かって走り出す。その初速は歴戦の戦士でも到達出来ないほどになっている。


 それもそうだ、これが最強の魔女である私の戦い方なんだから。


 近接戦闘をしながらゼロ距離の魔法で確実に仕留める。

 私が本気を出した時にしか使わない戦法であり、これで負けた事は今までで1度も無い。

 ………なのだが。


 ―――ドス。


 痛い。それはここ数年間で体験していなかった感覚。


 じわじわと腹に熱い感覚が広がってくる。下には自分の血で出来た血だまりが広がっている。


 振り返ると少女が何処から出したのか大剣を投擲していた後だった。

 他の少女達も同じ大剣を虚空から生み出し、こちらに向けて無気力の殺気を放っている。


 なによこれ……クソ、まずは少女から―――。


「よそ見は悲しいですね」


「―――ガッ! ……クソ! ――ヒ――ッ!?」


 背後から灼熱の衝撃が飛んでくる。

 背後を向くと大剣が無数に飛んでくる。後少し遅かったら大剣に串刺しにされていた。


 なんとか全てを避けているが、数の暴力で徐々に押されてきた。

 体にはかすり傷が沢山付いており、血がダラダラと流れ出している。


「あぁもうウザったい! ――テンペスト!」


 暴風を周囲に作り出して、一時的に避難をする。これで少しは保つだろ――。


 ―――ドス。

 ………………………え?


 衝撃があった腹を見る。

 そこには一本目と同じく、飛来してきたニ本目の大剣が刺さっていた。


 ―――ドスドスドスドスドスドスドス!


 次の瞬間、足、手、腕、腹、胸に鋭い痛みが奔る。


 ―――アァアアアアア! 痛いいたいイタい痛い痛いイタい痛い痛い痛いイタイ痛い!


「無様ですね。言ったでしょう? 貴女には死んでもらうって………やれ」


『――かの者に罪を与えん、我の煉獄の焔は咎人を最後まで追い詰めるであろう。我は咎人に罪を与えん――ジャッジフレア』


「――――っ!」


 倒れても動けない私に少女達が両手をこちらに向けて未知の魔法を発動する。蒼い焔に触れた瞬間、これまでとは比べ物にならない苦痛が襲ってくる。

 

 熱い痛い熱い熱いイタい熱い熱い痛い熱いあつい熱い熱いアツい―――死ぬ?

 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤダ嫌だいやだ嫌だ嫌だ嫌だイヤだッ!


「……ヒュー…………ヒュー…………」


 声が出ない。肺が破れているのか、息はただ漏れるだけで空気が入ってこない。


「これでもまだ息があるとは驚きだな。……だが、それも終わりだ」


 追加で大剣が突き刺さるが、熱さに耐えている私には既に何が起こっても反応出来ない。

 腹には十本以上は刺さっているだろうか、まだ生きていられるのは無駄に耐久力があるおかげだろう。


 ………あぁ、もうダメだ。意識が………なんで………私は………まだ――――。


 もう意識は飛びかけている。それでも無意識に虚空に手を伸ばす。

 その手は新たな大剣にて地面に縫い付けられた。


「貴様は目立ち過ぎた。それこそ我が出なければならない程に……これは罪なのだ。

 ―――悔い改め、朽ち果てよ」


 ―――――……………………。



      ◆◇◆



 ここは何処?

 痛みが無くなっている?

 ……あぁそうか。


 ―――私は、死んだのか。


 思えば呆気無い最後で自分事だというのに笑えてしまう。

 唯一の弟子に罠に嵌められて殺される。なんて滑稽な話だろう。


 あぁ、まだやりたい事が沢山あるのに。

 こんな事になるならもっと高級な酒を飲んどくんだった。

 もっと美味しい物をたらふく食べとくんだった。

 冒険者って職で世界中をまた自由に旅したかった。

 王様に迷惑掛けてゴメンと謝っておきたかった。

 愛娘のフルともっと遊んでおくんだった。

 ………マルギンに、今まででありがとうって言いたかった。


 なのに、なんで………なぁ……マルギン。


 後悔するとやり残していたことが沢山出てくる。

 だけど、それは無理な話だ。私は死んでしまったのだから。


 ………ちくしょう。

 出来る事ならやり直ししたい。


『――願いを受諾しました。器の再構築を開始します』


 ―――え?


『魂の確認完了。体の確認――修復不可能。全能力の削除をし、新たな体を構築します』


 ―――ん?


『―――エラー。外部からの接触を確認。全能力の削除に失敗しました』


 ―――はい?


『う――わの――築に――ザザッ――敗し―――た――ザザッ………』


 ……あのー、いきなりノイズが聞こえ始めたんですけど。


『外――から――接――。

 ―――やっぱりこうなっちゃったか』


『君に力と真実を与えよう』


『だから――次は頑張って』

 まずは、この作品に目を通していただきありがとうございます。

 初めましての方は初めまして。前作も見てくださっている方はこんにちは。

 しらなみ でございます。


 突然ですが新作です(パチパチ)

 前作もあるので更新ペースは未定ですが、ちょくちょく更新していくので続けて読んでくれるとありがたいです。


 評価・感想等お待ちしております!

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