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第8話
地上からは見ることの出来ない、隅々まで埋め尽くされた星のスープ。
恐ろしく巨大で美しい海色の惑星。
そこに小さな点が浮かんでいる。
だが近づけばその点は圧倒的な質量を持った鉄の塊であることが知れる。宇宙のスケールが大きすぎてわからなかっただけだ。
軌道衛星軌道に浮かぶ巨大な鉄の塊こそ、軌道エレベーターであった。
そこから上下に伸びるカーボンナノチューブ。
その表面を往復する蜘蛛型のロボット達。
ひたすらに静寂な世界。
輝く太陽。
まぶしい月。
モニターだけに明かりがともっていた。
月基地は深夜のオフィスのように静かだった。
モニターには同じ文字が並んでいた。
『命令完了。待機中。命令待ち状態』
それだけだった。
ただ蒼い地球を見上げて待ち続けるTA999だった。