第7話
「ふざけるな! 予算を減らせだと?! ロケットを減らせだと?!」
三浦がばんばんと机を叩きつける。
会議室に沈黙が満ちる。
「そもそも公になってる予算ですら足りないと何度言ったんだ! 裏金処理はそちらの仕事だろう! 永田町を燃やし尽くしてでも金もってこい!」
うなだれる背広達。
「ああ! 予算を削ってやるとも! 全員軌道上に裸で送ってやる! クソ! ふざけるんじゃねぇ!」
鬼の形相でホワイトボードを蹴り飛ばす。
「三浦君‥‥もともと金を使いすぎなんだ‥‥、降りてる予算が計画段階で尽きてる事こそが問題なんだ。だが君の矢継ぎ早の追加請求ですでに破綻してるんだよ‥‥裏金と言っても限度がある。それどころかこれ以上の投資は回収できない。昔と違って国もメンツだけでは動かないんだ」
「そもそもこちらの当初の計画をことごとく変更させてるのはそっちだろう! 建設予定地が100mずれるだけでいくら予算が変わるのかわかってるのか?! それを3度も予定地を変更しやがって! 軌道衛星をずらして制止させるのがどれだけの事だと思ってやがる! 計算だけじゃない! 機器の技術レベルから見直すんだぞ! 電子チップ1つの開発費を知らない訳じゃないだろう!」
はぁはあと二酸化炭素をまき散らし、手近のテーブルをひっくり返す。パソコンが吹っ飛びモニターから煙があがる。それをさらに蹴り続けた。
「情勢が変わっているんだ! しかたないだろう!」
「うるせえ! だったら勝手にやってみろ! 俺がいないでできるならやってみろってんだ!」
怒鳴りながら出て行く三浦。
「三浦君‥‥! 落ち着きなさい! 冷静になってもう一度‥‥」
「うるせえ!!!!!」
落ち着かせようと前に立った背広の男をイスでぶん殴りその勢いでエレベータに消えた。
追った背広達はエレベータまえで立ちつくす。