第6話
突然のニュースだった。
アメリカが中東油田基地占領という聞き飽きたニュース映像を遮り、軌道エレベーターの建設が決定というニュースが飛び込んできた。
与党の独断といえる強行採決で宇宙開拓事業に関する法律が定まったのが去年。異例とも言える早さだった。
すでに国内で多額の税金を投与して準備が進められていた軌道エレベーター計画。唐突に中断され、唐突に入札が始まったその結果、ヤマト工機の1社のみで制作と言うことになった。
ニュースキャスターが総理大臣にマイクを突きつけ。
「入札前からヤマト工機に内定していたと言うのは本当ですか?!」
「すでに参入していた企業が不適切企業として全社はずされた理由は?!」
「宇宙開発だからと国益も企業も無視した今回の法律の意味はなんですか!」
「もしかしたらこのために強引に企業を入れ替えるためだけの法律だったんじゃないんですか?!」
多数のマイクと質問と怒りと視線を突きつけられ、うざったそうに無言で進む総理。
後日の記者発表に出された資料はむちゃくちゃで、戦争と言うニュースをさしおき、政府の強引なやり方や矛盾した制度、消えた税金を糾弾するニュースで日本中があふれていた。
まず大島宇宙センターから打ち上げるロケット数243台。
これは軌道エレベーターを衛星軌道側から建設しなければならないためである。
だがもっともネックになるのは静止衛星側に大量の技術者を常駐させなければいけないことだった。