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第22話
軌道エレベーターの地球側。
TA999は資材搬入用エレベーターではなく、人間輸送用のエレベーターの前にいた。
エレベーターとはいっても、上まで5日近くかかるので、普段はリビング的な設備と簡易宿泊施設が設置されている。もちろんこの日は全てはずされていたが。
派手な見送りだった。
真っ赤なカーペットが延々とひかれ、紙吹雪が舞う中、歩かされるTA999。
テープカットやらなにやらと、とにかく派手でうるさかった。
TA999は12のカメラをせわしなく動かしていた。
いずれ一方向に集まる。
北畠がマスコミをかきわけTA999に近づいてきた。
あらかじめ指定された位置にマスコミが移動してそのツーショットをひたすらにねらう。
似合わない背広を着た北畠は、マスコミのいろいろな質問にまるで子供のような回答をしていた。もっとも専門用語が時折混じっていて子供なのか大人なのか判別は難しかったが。
TA999がエレベーターに乗り込み、ドアが閉まる瞬間。北畠はぼそりと言った。
「もしかしたら月に行くかもしれない」




