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第11話
「え?」
小さな研究室、パソコンが3台に小学校の理科室のような質素な作業台。壁に積まれたがらくた。
「だから君の研究しているTAは宇宙空間での作業も可能なのかね?」
まるで動じることなく同じセリフをはく背広の男。
「えーと、理論上は‥‥可能です」
唖然としながらも、ようやくそれだけを口にした。
「わかった。明日には正式な辞令がくるだろう、引っ越しの準備をしておきなさい」
北畠が聞き返そうとするが、無視して背広の男はいなくなった。
ホワイトボードにかかれているTA190の駆動系構築における失敗。TA192における失敗などと一緒に、現在制作中のTA210の設計図がある。
そしてその制作目的は「多目的高汎用性自動作業機械」と意味不明だった。




