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努力しすぎて最強になった青年の物語  作者: 早瀬六七
青年とお姫様
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【第5話】王国騎士生活初日、青年は給仕と出会う。

 僕の名前はエフト。ついに僕の王国騎士としての生活が始まります!

 恐れ多くも国王陛下からアーキレイス王国第4王女イーファ=マギニルニアン=ラーキレイス様の専属騎士という大役を仰せつかりました。


 僕は朝一番に城に行きました。

 まず、僕は自分が寝泊まりをする寄宿舎に向かいました。

 昨日謁見の間を退出後に、配属命令や寄宿舎の自分の部屋の場所や過ごし方が書かれた書類一式を頂きましたが、僕は文字の読み書きがろくに出来ないので、昨日は家に帰ってから兄に読んでもらいました。

 しかし、不慣れな場所のせいか迷ってしまい、先輩の騎士様たちにお聞きしながら、城の敷地内を歩きまわりました。、

 先輩の騎士様たちは、皆さん見ず知らずの新米の僕に丁寧に寄宿舎の場所をお教えてくれて、すごく親切にして下さいましたが、何故か誰も目は合わせて頂けませんでした。

 きっと、僕が同じ目線に合せられるまでは目を合せないぞという、つまり、早く成長しろという王国騎士団流の先輩方からの激励なのでしょう。頑張ります!


 なんとか寄宿舎の自分の部屋まで辿り着いた僕は、家から持ってきた荷物を早速広げて、整理を始めます。

 もっとも、僕はあまり私物を持っていないので、着替えと洗面道具ぐらいしかありませんが。

 部屋は石の板が敷かれ、その上にベッドや衣装棚などの家具があり、壁は石の壁に木の板で閉められている小窓があるだけです。

 ですが、家の自室よりも広いので、このような良い部屋を頂き、ありがたく思いました。


 昨日、兄に読んでもらった配属命令の書類に書かれていた内容によると、自室で待機して、イーファ姫様の給仕(メイド)をされている人が、案内に来て下さるそうです。

 しかし、いつ頃来られるかというのは、書かれてませんでした。

 ……そうですね。

 取り敢えずはいつ来られてもいいように制服に着替えましょう。

 僕は衣装棚を開けてみると、書類に書かれていたように真新しい制服が用意されてました。


 制服は、上下とも白色で、肩口から胴にかけて太い青色の線とその両端に黄色の線が胴まで伸びており、左胸には王国の紋章のワッペンが縫い付けられており、右肩には騎士団の紋章のワッペンが縫い付けられていました。

 僕は制服を出して、手に持って広げました。

 すごくカッコイイです!

 僕は今日からこの制服を着ることが嬉しくて仕方ありません。

 嬉しさのあまり、制服を持ちながらクルクルと回ってしまいました。


 制服に着替えた僕は給仕の人を待ちます。

 しかし、しばらく待ちましたが一向にいらっしゃりません。

 何もしないのも時間が勿体ないので、僕は部屋の掃除をすることにしました。

 僕は家から持ってきた三角巾を頭と口に付けて、窓を開けます。

 窓から右手に井戸が見えたので、部屋の隅にあった木製のバケツを手に持ち、水を汲みに行きました。

 それから水を汲み終えて、まずは拭き掃除から始めます。

 定期的にどなたかが掃除をされているのか分かりませんが、あまり埃は溜まっていなかったので、壁や床にある目立つ汚れを拭き取っていきます。


 それから少し経って、トントンと控えめに部屋の入口の扉を叩く音がしました。

 僕は「はい」と短く返事をしました。


「い、いらっしゃるのは、え、エフト様でしょうか?」

「はい。そうです。今開けますね」

「は、ひゃい!」


 僕は手を止めて、掃除道具を床に置いて、扉を開けました。

 そこには、白と黒を基調とした給仕服を着た僕と同じ身長ぐらいの『青ざめた顔』をした女性が立っておられました。

 その女性は両手を控えめに重ねるように、手を腰の高さで前に組んでおりました。

 そして、その人はキョトンとした表情をされた後、何かを思い出されたかのように、慌てて僕の方にお辞儀をされました。


「た、大変お待たせ致しました! まさか、こんなに早くおいでになるとは思いませんでして、遅くなりました! わ、私はイーファ=マギニルニアン=ラーキレイス様付きの給仕をしております『マリー』と申します。」


 僕はその姿を見て、慌てて僕もお辞儀を返しました。


「いえ! こちらこそ、早く来すぎてしまい、マリー様を急がせてしまいましたようで、申し訳ございませんでした!」


 僕は頭を下げて、そしてそのまま頭を上げると、マリー様は目をパッチリと開けて、何回も瞬きをしています。

 僕は自分におかしいところがあったのかと思い、聞きました。


「あ、すみません。何か失礼なところがありましたでしょうか? 僕は平民出で、礼儀などがあまり分からないもので、失礼なところがありましたら直しますので、おっしゃって下さい」

「あ、いえ。お話に聞いていた方とイメージが違いまして……」


 ん? ……あ、なるほど。

 イーファ姫様の専属騎士になるほどの王国騎士が、まさか今年成人(15)を迎えたばかりの若造とはお思いにならなかったのでしょう。無理もありません。普通の人ならばお怒りになるでしょう。

 僕はまた頭を下げながら言いました。


「申し訳ございません! 今年王国騎士になったばかりの新米が、恐れ多くも国王陛下よりイーファ様の専属騎士にさせて頂くという分不相応な大役を仰せつかりましたことを気にされているのですね。しかし、未熟者ではありますが、精一杯ご期待に沿えるよう努めますので、お許し下さい!」

「え? あ、いえ、決してそういうわけでは……。えっと、あの、エフト様? どうかお顔をあげて下さい」

「ありがとうございます。あ! 大変失礼致しました! 第123期ラーキレイス王国騎士団団員、国王陛下よりイーファ=マギニルニアン=ラーキレイス様の専属騎士に任命して頂きましたエフトと申します。名乗るのが遅くなってしまい失礼致しました」


 僕がそう言うと、マリー様は首をかしげられて、僕とその後ろに見える部屋を見比べられておっしゃりました。


「あ、あの。部屋のお掃除をされていたのですか?」

「はい。これからお世話になる部屋なんで綺麗にしようと思いまして。あ! 申し訳ございません! このような姿で出てしまい」


 僕は急いで頭と口元に着けていた三角巾を外して頭を下げました。

 口元を隠すなどという、イーファ姫様の給仕をされているような人に対して大変な無礼を働いてしまい、僕は恥ずかしい気持ちになりました。

 

「はあ、そうでしたか。いえ、お気になさらなくて大丈夫ですよ。私のような者にご丁寧にありがとうございます。……あ、本日のことはお聞きしていらっしゃいますか?」

「はい! も、申し訳ございません! 直ぐに準備致しますので、少々お待ちください!」

「え、ええ。大丈夫ですよ」

「ありがとうございます!」


 マリー様はなんとお優しい人でしょうか。

 本来ならば、いつでも姫様の元に向かえるように準備して待っていなくては行けなかったのに、気を緩めて掃除を始めてしまった僕にこのようなお言葉をかけてくださるなんて。

 僕は急いで服装を正して部屋を出ました。


「お待たせしました」

「はい。ではこちらになります」


 そう言って、マリー様は歩き始めました。

 僕もすぐにその後ろを追います。

 歩き始めてすぐに、マリー様は歩みを緩めて、僕のすぐ左後ろまで下がられました。

 それを見て、僕も歩みを緩めてマリー様より後ろに下がりました。

 マリー様は何やら怪訝そうな顔をされて、また、すぐ僕の左後ろまで下がられました。

 それを見て、僕もまたマリー様より後ろに下がりました。

 すると、マリー様はその場で止まられて、こちらを振り返りました。


「あの……?」

「はいなんでしょうかマリー様?」

「なぜ、私の『後ろに下がられる』のですか?」

「??? 僕は新参者ですので、先輩で在られるマリー様より『前を歩く』なんて無礼かと思いまして」

「??? 私は『給仕』ですよ?」

「??? はい。『存じ上げて』おりますが」

「…………」

「…………」


 ……………………


 どうしましょう。会話が止まってしまいました。

 僕は何だか落ち着かなくなってしまい、あたふたと何か言わなければと思い、何か会話になるようなものがないかを目で探し、口をパクパクしました。

 すると、「ふふっ」と言う声がマリー様から聞こえてきました。


「ふふふ。あ、すみません。何だか『可笑しく』なってしまって」

「す、すみません! 何か『可怪しい』ところがありましたでしょうか!?」


 僕は慌てて、自分の顔を触ったり、体に可怪しいところがないかを探しました。

 その様子を見られてか、マリー様は口元を右手で隠されてクスクスと小さく可愛らしく笑いになられました。

 ああ、やっぱりどこか僕に『可怪しい』ところがあるのだと思い、僕は今度は背中を見るように頭を回したり、靴の裏を見たりしました。


「大丈夫ですよエフト様。どこも『可怪しい』ところはありませんよ」

「え!? そ、そうですか? なら良いのですが」

「ええ。ではエフト様。姫様の所に参りましょう」

「あ、はい。それとマリー様。どうぞ僕のことは『エフト』とお呼びください。『様』なんてつけられてしまいますと、恐縮してしまいます」


 僕がそう言うと、マリー様は少し考えてられてから、優しい素敵な笑顔を浮かべられておっしゃりました。


「そういうことでしたらわかりました。これからは『エフトさん』と呼ばせていただきますね。それにエフトさんも、私のことを『マリー』と呼び捨てにしてくれて良いんですよ?」

「いえ、僕の気が落ち着きませんので」

「あら、それは残念です。でも、私は男性に後ろを歩かれるより、『横に並んで』歩いていただいたほうが嬉しいので、そうして頂けますか?」

「マリー様がそうおっしゃられるならば、はい」


 僕がそう返事をすると、マリー様は笑顔を浮かべられました。


「さあ、姫様が待っておられます。参りましょう?」

「はい! よろしくお願い致します!」


 そうして、僕はマリー様と並んで歩き始めました。

 僕らはそのまま、他愛の無い会話をして、イーファ様の所に向かいました。

只今猛省中です。


突然すみません。

多くの方から「タイトルと小説の内容が一致しない」というご感想を頂きました。

その事で、混乱をされた方々、また、頂いたご感想への返信で、わけわからんちんの事を書いてしまい、不快に思われた方々に、この場を借りて深く謝罪致します。

申し訳ございませんでした。

タイトルについては現在改題の方向で努めておりますが、改善案なども頂いたのですが、まだ、「コレだ!」というタイトルが思い浮かばないので、しばらくお待ち頂ければ幸いです。


では、話変わって。

今回は少し短めのお話となりましたが、この後の話が少し長くなるんじゃないかとまだ書いていませんが思いましたので、短く区切りをつけて投稿させて頂きました。

最近の本編では、エフトのはっちゃけぶりがあまり出てきませんが、すぐにまた出てきますので、それまでお待ち頂ければ嬉しいです。

また今回の話も楽しんで頂けたのならば私は幸せです^^


追伸

日間ランキングが1位って……。

本当にありがとうございます!

多くの方に読んでいただいて、私は幸せ者です!

では、また次回^^

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