【ちょっどだけの後日談】エフトたちのひととき
ちょっとだけの後日談
「だから、ここの文字は、「僕は君だけを愛する。君だけの王子様だよ」じゃと何度も言っておるじゃろうが!」
「な、なるほど。しかし、この本、何度このセリフが出てくるんですか?」
「うーんと、まだ30ページほどだから、あと最低でも100回は出てくるのじゃ!」
「そ、そうなんですね」
僕は、今何をしているかというと、文字を勉強を兼ねて、イーファ様と一緒に本を読んでいます。
なぜかイーファ様のベッドの上で、イーファ様を僕の膝に乗せて。
「どうしたのじゃ? 早く次のところを読むのだ」
「は、はい!」
なぜ僕が、イーファ様のベッドで、本を読んでいるのかというと、
「何を言っておる。妾はいつもベッドで本を呼んでおる。それは不変のことなのじゃ」
と言われ、ではなぜ僕の膝にイーファ様を乗せてかを聞くと、
「そ、そうした方が、二人で読みやすいからじゃ! 決してやましいことなどないのじゃ!」
と一蹴され、恐れ多すぎるのでお断りすると、
「なっ!? 妾と本を読むのがそんなに嫌なのか!」
と怒られ、自分で文字は勉強することを話すと、
「わ、妾の騎士が文字を読めぬなど、妾に恥を欠かせるつもりか! エフトは一日でも早く文字を読めるようにならなくてはならないのじゃ!」
と言われたため、毎回恐れ多いのですが、何回もやっているとそれが自然なことに思えてきてしまうのが不思議なことです。
「イーファ。エフトさん。お茶が入りましたよ」
そんなことを考えていると、マリー様がいつものように良いタイミングでお茶を入れてきてくださいました。
「はい。ありがとうございます。イーファ様。冷めないうちにいただきましょう」
「むぅ。……仕方ない」
イーファ様はしぶしぶといったご様子で、僕の膝から降りて下さいました。
僕がベッドから立ち上がると、いつもより長い時間イーファ様を膝に乗せていたせいか、足が痺れてよろけてしまいました。
「わっ!」
「あらあら」
よろけた僕をまるでそれがわかっていたかのようにマリー様が側に立ち、支えて下さいました。
「す、すみません。すぐに退きますので」
「私は、別にしばらくこのままでもいいんですよ♪ 殿方を支えるのも淑女の嗜みですもの♪」
「それはちょっと意味が違うような気がしますが……」
足が痺れて軽く震えながら立っている僕の両脇に、マリー様はその華奢な両手を入れて体を密着させるように支えて下さっています。
「何を抱き合ってるのじゃ!」
「あらあらイーファったらヤキモチですか?」
「違うのじゃ! そ、その……もう! いいから離れるのじゃ!」
「しょうが無いですね。……――!」
マリー様が何かを思いついたかのように、何か悪さをするんじゃないかと思うほど無邪気で可愛らしい笑みを浮かべられると、
「あ、あーれー力が~」
と言って、そのまま後ろに倒れそうになられたので、僕はとっさにマリー様の頭がぶつからないように右手でマリー様の頭を抱え、僕に潰されないように左手を床につきました。
そして、見ようによっては、マリー様を床で抱きかかえてような格好になってしまいました。
いや、そうなってしまいました。
「ま、まぁエフトさんったら、大胆なんだから///」
「え、えっと……」
「あー! あー! 何をやっておるのじゃ! ズルいのじゃマリー!」
「あら、そんなことを言うなら、いつも変な難癖つけて、エフトさんにスリスリしてるのは、どこの誰かしら?」
「む、ムキィー! もう怒ったのじゃ! 妾もそれをするのじゃ!」
「いいじゃないですか! いつも自分だけ良い思いして!」
「それとこれとは関係ないのじゃ!」
「いいえ関係あります! たまには譲ってください!」
「マリーとはいえ、譲れない物もあるのじゃ!」
「あらあらエフトさんを物扱いなんてヒドイ子ね」
「揚げ足をとるな-!」
「お、お二人とも落ち着いてください」
「「エフト(さん)は、黙っててるのじゃ(ください)!」」
「…………はい」
そんな感じで、僕は毎日楽しく過ごしています。
約束どおり後日談は投稿したぜ
ちょっとキャラ崩壊してるかもだけど、パロディだと思って許してね
ではまた
|彡サッ