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無恋上等。  作者:
1/2

お付き合い始めました。

夕日が私達しかいない教室を照らしている。

「僕と付き合って下さい」

そいつは無表情でそう言った

それが私と彼とのファーストコンタクトだった。




意味を理解出来なかった。

今まで何の接点も無かった彼――八雲は、告白した後も照れるワケでもなくやはり無表情で返事を待っている。

八雲はクラスで一番賢くてイケメン。眼鏡を掛けていて、背は私と同じ位だし百八十はあるだろう。とにかくモテまくる。でも私の中の第一印象は“何考えてるかよく分からんメガネ”でしかなかった。

「野宮、返事は?」

「え、ああ」

返事も何も、私はお前の事を何一つ知らんぞ。

「……私と八雲は、今まで喋った事あったか?」

「無いな」

即答かよ。

「可愛げの無い大女だけど」

「どうでも良い」

「何で付き合ってくれとか言ったんだ」

「恋をしてみたかった」

「よし分かった、お前はバカなんだな」

「この間の模試で総合一位を取った」

「マジか。じゃなくて、学力的な意味じゃないから。お前モテるんだから、告白された時にオーケーすれば早いだろ」

「僕に興味無い野宮じゃなきゃ意味が無い」

「一度恋愛って言葉を辞書で調べてこい」

「じゃあさっきの言葉を訂正する。野宮の心が知りたい」

私は言い返そうとしたけど、完全に呆れて言葉が出てこなかった。

でも彼の表情は無表情というより真剣味を帯びていて、そこに冗談の欠片も無かった事が窺える。

八雲は続けた。

「大体の人間は見ただけで何考えてるか分かるのに、野宮だけがどうしても分からないんだ。だから、野宮が何を思ってるのか知りたい」

「ふぅん、随分と刺激的な告白だ」

「もちろんタダでとは言わないし、期限も付けよう。これはゲーム、賭け。卒業までの九ヶ月の間で自分が相手を好きになったら負け、負けたら勝った方の命令を何でも聞く。恋愛事を混ぜた方が面白いだろ?」

いや、知らんがな。でもまぁ、


「イイよ。暇潰しにはなるから」


この日から晴れて私は八雲と付き合う事になりました。

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