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第6話(斉藤恵実が見たもの)

戸辺さんの言うには私の父は詐欺をしているらしい。今日の朝、外のカフェで話を聞いて私は思わず戸辺さんを置いてきてしまった。

心配してないかな?いくら戸辺さんでもするよね?いくら冷血人間でもするよね?


でも、そんなことより詐欺が本当だったら、私どうしたらいいんだろう。


「ただいま。」

午後11時やっと父は帰ってきた。玄関に私は走った。聞けばすべてが分かる。

「お父さん。選挙どうしても当選したいの?」

「ああ。知事になりたいね。だから立候補してるんだ。」

「それは、たとえ詐欺みたいな事しても?」

「…どうゆう意味だ?」

「お父さんはそんなことしないよね?選挙の票、詐欺するなんて。」

「知っているのか?お父さんが、どんなことをしても大阪府知事になるつもりでいる事を。」

「本当なの?!だったら今すぐやめて!」

私は、叫んで父を掴んで揺すった。

「知ってるんだな?」

その声その表情、もう父の面影は無かった。

「私は、どんなことをしてもトップに立つんだ!」

異様な声で私に言った。妖怪のような声で。恐怖感で声が出なくなりそうだ。

「…でも…そんなの…本当のトップじゃないよ!」

一頻の声で私は言った。

「いいか?結果がすべてなんだよ。表がすべてなんだよ。裏で例えどんな事をやっていても、表でバレてなきゃいいんだよ。」

「そんなの、もう人間じゃないみたいじゃない。お父さん今、悪魔みたいだよ?」

「うるさい!」

―パン!―

頬が痛い。ヒリヒリする。

「間違ってる!斉藤隆二のやり方は!間違ってる!」

泣きなから、でも私は必死に言った。

―ダン!―

足が痛い。

―ゲシッ。―

おなかが痛い。背中が痛い。

でも、もう悲鳴を出す力も無い。


目覚めたらキッチンに居た。周りは血だらけだった。でも、それほど重症ではなかった。

痣が相当ある。虐待だ。

私は痣が見えないように化粧をし、服を着替え、いつもどおり出勤した。


外は、いつもと変わらない。それを感じてものすごく、ほっとした。


でも、父はもう、父ではない。

(斉藤恵実が見たもの)と言うのは恵実目線と言うことです。

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