第4話(斉藤恵実が見たもの)
私、ジャーナリストになってもう1年経つのだが、ようやくウチの社のトップ雑誌の編集部に移動になった斉藤です。
最近は、戸辺さんが私の指導係になって何にイラだってるのか分かんないけど怖いです。
で今日は1日尾行です。父の尾行です。やっぱり身近な人が安心なんだけど、でも父に『取材させてください。』と言う度胸は私には無かったので1日尾行をすることにした。
今は午前9時。普通に選挙カーで『斉藤隆二です。』と演説って言うの?
それをしていた。私はタクシーで後を追った。写真は15、6枚撮った。
午後2時。それが終わるとカフェに入っていった。私もバレないように入った。
何か会話をしていた。
私は盗聴器を、近くを通る際に父たちが座っている近くにあった観葉植物に分からぬよう、忍ばせた。
「でさー。奥野さん、このお金で選挙の票をチョイチョイとイジッテくれない?」
そう言って父は黒い旅行カバンを机の上に上げチャックをジーと少しだけ開けて奥野と言う人に中身を見せた。私は中身を見ることにして遠くの席から、ちょっとだけ体をずらし見てみた。
「…!」
大声を出してはいけないと思い息を飲み込んだ。
私が見たのは、たぶん1000万はある札束だった。
なんであんなものが?!
あちらでは奥野さんが物を確認して、
「こっちだって、命がけでやってるんだから。バレたら間違いなく俺たちサツ行きなんですから。そんな簡単に言わないでくださいよ。」
「やってくれないか?」
「やりますよ。」
そういって奥野と言う人は黒いバックを手にとってカフェから出て行った。
それを見送った父もカフェから出て行った。
なんなんだろ?選挙の票をイジル?サツ?意味が分かんない?そもそも、その言葉の意味が分からないと。後戸辺さんに聞こう。
そう思い、尾行のため、私もカフェを後にした。
追加人物設定。
奥野 一志(オクノ ヒトシ)
恵実の父と、会話していた怪しい人。
恵実の父とどんな関係があるのか、分からない。