第3話
「伝言預かってきました。」
斎藤はそう言って手紙カコを私に渡した。
私は中身をバサッ!と全部取り出すとカゴを斉藤に返した。
「元の場所に戻してきて。それと1日に朝10時ぐらいに1回、午後2時ぐらいに1回は絶対に回ったといた方がいいよ。文句言われるから。」
「はい。」
「じゃあ今日は会議とか無いから今から今月の企画を考える。うちの雑誌はニュースとか、そうゆう系を取り扱ってるからまず新聞を見る。」
そう言って、私は今朝の読売新聞を斉藤に1つ渡した。この新聞は会社の1階にある来客用の新聞なのだが誰も見ないので、掃除のおばちゃんに「これ、くれる?」と聞いたら「ああ。いいよー。」と言って簡単にくれる。
そんな感じで今日は斉藤の分と自分の分、計2つを貰ってきた。
「大阪府、知事選挙…。あ。これいいかも!…あー。でも、この日は関口未来と高坂竜也の婚約会見があるんだ!今月はこの2大ニュースだろうなー。ねぇ。斉藤、大阪府の知事選挙の記事、書いてみない?私、女優の関口未来の婚約会見行けるの私だけだから。書かなきゃなんないのよ。どうする?」
「んー。よく分かんないです。」斉藤はそう言った。
「大きいニュース取らないと元に戻されるし斉藤の今の指導係は私なの。あなたが業績を今、上げたって私にプラス利益はないけど、もし斉藤が今月の出さなかったりしたら私は、あのむさ苦しいおっさんに怒られるのよ。だから、それがイヤなら今月の大きいの一人で探しなさい。」
「無茶ですよ…。」
「私がなぜ、ここまで言うかというと、企画出すまでの締め切りまで、あと18日しかないの。この期間から、さほど大きくないニュースを取り上げ、企画にするのは文章を普通のより読者が引きつくようなのを書かなければならない。それは新人にとっては高度な技で、最低でも今までの経験上、編集長が『OK!』と言うまで新人の場合25日はかかる。要はもう時間がないのよ。」
「分かりました!やります。」
「でも何でいやそうにしたの?」
「これうちの親も出るんです。」
「あー。政治家さんだったんだ。それでも取材はするよ。新人が取材なしで企画なんて上げて提出しても相手にしてくれない。『なめてんのかー!』って、もう一回書くハメになる。」
「戸辺さんは2回出したことってあるんですか?」
「2回ね。1回目は新人時代、取材なしで書いて失敗。2回目は大きくないネタで失敗。」
「そうですか。」
「取材は1人だよ。だから自由に自由な時間にやっていいよ。取材が嫌なら尾行して1日の生活拝見とか。どっちでもカメラは使用。本人を写しとくんだよ。そしてこの場合、主要のあなたのお父さん、瀬戸 遼介どちらかの取材だね。まぁがんばれ。」
この時、小さなニュースを扱って、わざと元に戻されたほうが斉藤にとってはよかったのかもしれない。
その方がいい夢を永遠に見ることが可能だったかもしれないから。
純粋な斉藤のままだったと思うから。
瀬戸 遼介
大阪府、知事選挙に立候補した政治家。斉藤隆二の敵にあたる人物。