第13話
編集長、2日目。
只今、『芸能ポスト』の編集部は、原稿提出ラッシュだ!
みんな、締め切り!締め切り!と焦っている。私は編集長感想のコーナーをせっせと書き、
売り上げ計算、その他、印鑑押しで大忙しだ。でも、平社員のみんなに比べたら、企画を持たなくていい我社の『芸能ポスト』編集長は楽だ。
「出来ました。」
企画の原稿を提出された。斉藤恵実だった。
完璧だ!
「はい。OK。」
私は印鑑を押した。
「あのさ、斉藤さん。話したいんだけど、今、時間ある?」
「はい。」
「じゃあ行こう。」
私たちは会社のカフェでコーヒーを頼んだ。
「話って何ですか?」
「単刀直入に言う!なんで、そこまで変わった?」
「なにがです?」
「性格。風貌。仕事のランク。すべて。」
「仕事のランクが上がったら、利益が下がりますか?」そうじゃない!口も巧くなってる!
「いや。むしろ上がるけど、そうじゃなくて!変わったよ。いい意味じゃない。悪いほうに変わった気がする。」
「仕事にランクは上がった。すること全て完璧。情報を私に持たせたら、決して流出しない。良い方に変わった。私はそう思います。」
「そうじゃない。仕事面では良い方に変わった。でも、個性がなくなった。以前の優しい感じの斉藤が消えてる。仕事が全てじゃないわよ。ロボットじゃないんだから、感情を持ちなさい。」
「…このほうが楽なんです。心閉ざして、他人の心に入らず、自分の心にも誰も入れない。それが、私にとって楽なんです。」
「…そんなの、独りぼっちなだけじゃん。」
「独りぼっちの方が、傷つかない。得るものもないけど、失うものもない。それがいいんです。」
「でも、逆を言ってごらん?失うものもあるけど、得るものもある。」
「失うものが大きすぎました。父の裏切りがあって、暴力、父に勝利した。大きすぎます。」
「…行こう!」
私は、斉藤の手を引っぱった。
「どこに行くのですか?」
「いいからついて来なさい!」
このときの私の行動は、斉藤の心にプラスになるのか、マイナスになるのか、分かんない。
でも、聞かせたい。あの、真実を。
このごろ、ろくに更新できてなくてスイマセン!