第11話(斉藤恵実が見たもの)
父を訴える。
普通の人はそんなことは無いだろう。
でも私の場合、そうなってしまった。見てしまった。知ってしまった。
あんなことをして平気でいる父が怖い。憎い。
だから私は訴える。そして勝つ!
―大野弁護士事務所
私はそこに電話をかけた。
―プルルルルルル。プルルルルルル。―
「はい。大野弁護士事務所です。」
「斉藤恵実といいます。父を訴えたいんです!」
「はい。まずは事務所に来てください。そして、話を聞きましょう。」
「はい。ではいったん、切ります。」
「お待ちしてます。」
―ガチャ。―
こうして今、大野弁護士事務所に来ている。
―キィ。―
私は中に入った。
「お邪魔します。」
「…斉藤さん?」若い女の人だった。……戸辺さんに似てる。迫力が…。出来る女って感じだ。
「はい。斉藤恵実です。」
「座って。事情を聞かせてください。」私は言われるがまま、ソファに腰掛けた。
「はい。私は新人のジャーナリストです。新人はデッカイネタを手に入れない限り、記事は載せてくれません。で、この頃、大阪府の選挙が行われるじゃないですか?私の父、斉藤隆二も出るんです。で、そのことについて記事を書こうと思い、取材は初めてだし、親にするのも恥ずかしいと思い、1日の生活を拝見する。といった形で尾行をしてたら、『選挙の票を本当より多めにしろ。』と言う父を見てしまいました。それがどうゆう意味か聞こうと思ったら、暴行されました。おまけに記事を書いて雑誌に載ったのを見て、父は私の会社に電話をかけてきました。それを本当なのに、『デタラメを書いてくれたな。訴えるぞ。』と言うし、そんなの間違ってると思い、父に暴行されたのと、選挙の票について訴えたいんです!証拠は、たくさんあります!」
「分かりました。がんばりましょう。」
「はい。これ証拠です!」私は、全ての証拠を入れた封筒を渡した。
「分かりました。しっかり見ておきます。また明日も来て下さい。」
「はい。」
どうか、勝ちますように。