第10話
斉藤隆二の悪行が書かれた雑誌が発売されて3日。まぁ、書かれたじゃなくて、書いた。だよな。
もうそろそろ、反応が出る頃だろうと思い、ニュースを見ることにした。
―ピッ。―みのもんたが出てきた。と思ったら、アナウンサーだった。
『12月1日木曜日です。』分かってます。
『斉藤隆二議員が、詐欺をしているとの疑惑が浮上しています。文楽社の『芸能ポスト』によると、斉藤議員は、第3者に票の方を本当より多めにしておいてくれ。と頼んだらしく、第3者はそれを承諾したとのことです。未だ本当かどうかは分かってませんが、どうですか?みのさん。』やった!
―ピッ。―
「斉藤。出てたよ!文楽社の『芸能ポスト』って!」
「知ってます〜!凄いですよね〜!」
―プルルルルルル。プルルルルルル。プルルルルルル。―
私のところに電話だ。私は怪しまずに出た。
「はい。文楽社、芸能ポスト編集部の戸辺です。」
「アンタか!デタラメ書いたのは!」ものすごい迫力だ。と、思ったと同時にボイスレコーダーの電源を入れた。録音中と。
「あの、どちらでしょう?」
「斉藤隆二だ。戸辺 怜というのは君か?斉藤 恵実とは誰だね?出しなさい!」こりゃ、チャンスだ!
「名前に覚えはありませんか?あなたの娘さんですよ?」
「私の娘はそんな裏切ることはしない!」
「あなたは娘さんに暴行をしたのにですか?よく言えたものですね?」
「………とにかく…その斉藤という者に電話を代わりなさい。」
「少々お待ちください。」
私は斉藤に声をかけた。
「斉藤。斉藤議員から電話。代われって。横で聞いてたでしょ?言えるなら言って。自分が娘だ、暴行を受けた、詐欺の現場を見たこと。これを明白に言って。ボイスレコーダーに録音してるから。どうする?出る?」
「出ます!戸辺さん、お願いがあります。父を訴えること、出来ますか?私、あんなの許せません!」
「バッチシ出来る。」
「じゃあ、出ます!」
「よし!」
「もしもし。代わりました。斉藤恵実です。」
「斉藤隆二だ。今すぐ訂正しろ!どこの誰だか知らんが!今すぐ訂正しろ!」
「…。娘に、どこの誰だか知らん。ってなによ?少なくても、声と顔と名前は知ってるでしょ?親なんだから。暴力まで振るったんだから、覚えあるでしょ?痣がいっぱい。痛かった〜!その、暴力振るった理由は、私が奥野って人に協力してもらって、お父さんは選挙の票を本当より多目の結果にしろ!って言ったらしいね。表に出てなかったらいいんだよね?でも、もう出ちゃったよ?」
「…。」
「返事にお困りのようで。では、切ります。」
―ガチャ。―
―ピッ。―
「録音完了。法律事務所の名刺ー…。あった!はい。」私は斉藤に弁護士の名刺を渡した。
「かけるんですか?」
「もちろん。証拠あるっていいなよ。決定的な証拠はあるって。暴行受けたこと。詐欺してるということ。両方、訴えられるよ。でも、ここからは私は助けられない。裁判は、訴える側と訴えられる者とその弁護士の問題だから。そこに電話かけて、この証拠を全部出しな。」
「はい。ありがとうございました。」
「この件はね。」
こうして、斉藤恵実は斉藤隆二を訴えることにした。