プロローグ
ここに勤めて早10年。
いろんなことあったな〜。
『編集長』
ここに座るのは1日目か〜…。ジャーナリストは同僚も敵。外に出ても敵だらけだからな〜。
この先も苦労しそうだ。う〜ん。
でも昇進おめでとう!!自分!!
こんなことを思ってた私のところに昨日まで同じ立場だったこの敵だらけの世界のなかで唯一の親友、宇野 陽子がやってきて、
「うっわー!ほんとに編集長のところにいるっ!昨日まで私の隣でカチャカチャと来月の企画を打ってた人が!ね。戸辺編集長!」
「嫌みにしか聞こえない…。」
「まぁ一応嫌み。だって、上になったからってだけで「これ、こうですか〜?」とか玲に言いたーないもん!なんか…違和感が…。」
「私に「これ、こうですか〜?」とか言ってる自分を想像したら気持ち悪いと言いたいわけだ?」まぁ。自分もちょっと違和感があるんだけどね。
「うん。それだけ。だって私は別に上に行こーとか思ってないもん。だから玲が上に上がったことは、なんとも思わん。」
「そっか。」でしょうね。
「あ。で、今日バイトの子が来るのよ。1階のフロアで待たせてるの。昨日まで編集長だった大泉編集長に『バイトを会社までつれて来い!』って言われてたから。『連れて来たら、あとは戸辺がどうにかする!』って。なのでバイトをフロアから、ここまで案内するのは編集長の役目だから。では、いってらっしゃ〜い!」
「ハイハイ。」
―キィ。― 椅子から渋々立ち上がると私たちが働く4階の編集室を出た。
私の働く会社はビルで1階にはカフェやロビーなどあって、のびのびしている。アルバイトの方にとってはとってもいい空間だ。1階だけだが。あとの所は最上階以外ほぼうるさい。
エレベーターが、『1階です。』と言ったと同時に目の前の戸が開いたので出てそれらしき人を自慢の視力2.5で探した。約2秒であっさり見つかってしまった。
そのバイトはキョロキョロしていて『わー!』って周りの人などに自分が圧倒された感じの女性だった。私より10は若いだろう。本当に10ピッタリ違ってたら、あの子20ちょうどか…。若いね〜。
ん〜。自分ももう30。来年には31。…ってなんでこんなことを。
気を取り直した私はそのバイトっぽい子に話しかけた。
「宇野に連れてこられたバイトさん?」
「はい!これ履歴書です!」
そう言って履歴書を見せられた。
…椎名美羽。ふーん。短大出てんのか。
と名前と学歴をちょちょいと見て、
「じゃあ椎名さん。案内するから。」
と、言ってさっき乗ったエレベータに今度は2人で乗った。
『4階です』と、また戸が開いた。それと同時に電話の音。コピー機の音。
バイトさんは「なるほど!大手の出版社はこれほどまでに騒がしいのか!」と思ったことだろう。やっぱりちょっとびっくりしていた。私も10年前は同じように驚いた。
戸をあけて中に入った。彼女のこれから使うことになる昨日まで私が使っていたデスクのところに案内した。ここのデスクは昨日、私が約1時間かけて荷物を編集長の所に移動。整理。片付けをしたデスクなのだ。
「ここが今日からあなたのデスク。困ったことがあったら、となりの宇野に聞いて。」
「はい。分かりました。」
「よろしくね〜。」陽子…。あんたは相変わらず後輩には優しい。下は妹みたいで、かわいいのだろう。
心の中で思った。
「あの、」バイトが口を開いた。聞きながら陽子にバイトの履歴書を渡した。
「なに?」陽子はすかさず聞き返した。
「あの人、なんか避けられてるように見えるけど何でですか?」
バイトは、斉藤 恵実を指差して言った。
「あー。あの人はね。斉藤恵実って人で親に相当やばいことされて、その復讐に親の記事を書いて親を刑務所送りにしたらしいよ。ここじゃあ有名でみんな人間じゃないって言ってるの。」陽子の言ってることは噂だ。でも、その噂は嘘のこともあるし本当のこともある。私は、本当のことをすべて知っている。私は誰にも言ってないが、ってゆうか言えないが斉藤さんには共感できる部分は多々ある。
その斉藤さんの人生を変えたであろうことを私は知っている。
そう。あれは半年前のことだ。
では、人物設定を紹介します。
斉藤 恵実〔女・28才〕
主人公。プロローグはちょっとしか出てないです。
戸辺 玲〔女・30才〕
編集長に昇進した普通のジャーナリスト。視力2.5。
宇野 陽子〔女・30才〕
玲の唯一の親友。後輩にはわかりやすいぐらい、優しい。
大泉 洋介〔男・48〕
前の編集長。自分が今まで作っていた人気雑誌の編集長の座を部下の玲に譲った。
その後、ほかの雑誌の編集長についたらしい。
椎名美羽〔女・21才〕
短大卒業。社会人1年生。バイト。玲が、編集長になった1日目に来たバイト。
って感じです。
これは、フィクションです!(一応)