夢への第一歩
ブラジルに住んでいた頃、僕の夢はサッカー選手になることだった。小さい頃、あの試合を見て以来、ずっと選手になりたいと思っていた。
10歳の時、僕はブラジル最大のダービーマッチ、緑と赤黒の試合を見たんだ。
試合は互角で、両チームはブラジル最大のリーグ、ブラジルリーグのタイトルを争っていた。緑のチームは赤黒のチームより1ポイント差で、引き分けでも赤黒が優勝する最終節だった。だから両チームは、この最後の試合で、同じくらい激しく、献身的に、そして情熱的に戦っていた。両チームともゴールを狙い、スコアは1対1だった。
アディショナルタイムで、残り数秒。赤黒のサポーターは少し怯えながらも、祝杯を挙げたがっていた。緑のチームは最後の攻撃を仕掛けるため、エリアに近づいた。カウンターアタック(カウンターアタックとは素早い攻撃のことで、相手が守備を固める前、あるいは守備を固める時間がないうちに仕掛ける攻撃だ)の後、赤黒の守備は手薄になっていた。その時、緑のフォワード、ロベルトがボールを奪った。ディフェンダーのカルロスが言った。
「ここから先は通さない、ロベルト!」
彼はボールを奪おうとしたが、ロベルトは美しいフェイントでかわし、エリア外からシュートを放った。
ドン!
ガツン!
ボールはゴールの隅に吸い込まれ、キーパーは届かなかった。
ゴール!!!!
圧倒的に多かった赤黒のサポーターは静まり返り、緑のサポーターが歓喜に沸いた。
そして、審判が試合終了の笛を吹いた。
ピーッ!
緑のチームは、相手のスタジアムで少数だった自分たちのサポーターと共に、タイトルを祝い始めた。
僕は緑の少数サポーターの中にいた。5歳の頃から緑のサポーターだった僕は、自分のチームがブラジルリーグのタイトルを獲得するのを見て、感動したんだ。
その日以来、僕はサッカー選手になりたい、そしていつかブラジルリーグでプレーしたいと決心した。
僕の名前はリカルド・ロベルト。僕はたくさん練習して、いつかジュニアチームでプレーしようと決めた。
僕は巻き毛の黒人で、痩せていた。
僕はひたすら練習を始めた。
毎日、学校で友達とサッカーをして、上手くなってブラジルのチームのテストを受けようとした。テストを受けるには16歳にならなければならなかった。
僕は本当に一生懸命練習した。
「パスくれ!」
リカルドが言った。
ボールを受けてゴールを決めた。
「素晴らしいゴールだ、リカルド!」
友達が僕に言った。
そして僕はジュニアチームでプレーするために6年間練習した。
ついにテストの日が来た。僕は16歳になっていた。
テストの準備をしていた。父が僕をテストに連れて行ってくれた。その週に5つのチームのテストを受けることになっていた。
最初のチームは緑のチームだった。
ドリブル、敏捷性、フィジカル、パス、シュートなど、テストを始めた。
テストはうまくいったが、フィジカルの部分では細すぎてダメだった。だから不合格になった。
悲しかったけど、それでも顔を上げた。他のチームのテストもあったからだ。
それから他のテストでは、別の理由で批判された。才能がないと言われたんだ。
僕はとても悲しくなって泣き出し、父に尋ねた。
「パパ、サッカーを諦めるべきなのかな?ただの幻想だったのかな?」
「いや、息子よ。
お前ならできる。
私はお前を信じている。
神を信じなさい。彼がお前を助けてくれる。
何事にも時がある。」
父は僕に祈るように言った。僕は祈っていると答えたが、父はもっと祈って、聖霊に導かれて正しい道に進めるように神に願うように言った。
日曜日、僕たちはミサに行った。ミサで僕は神に祈った。
「主よ、私がチームに選ばれ、夢が実現できるよう祝福してください。ジュニアチームのテストに合格できますように。もしあなたの御心ならば、プロのサッカー選手になりたいです。いつかあなたにお任せします、主イエスよ!」
祈ってミサに出た後、僕たちが家に帰る途中、一人の紳士が家の前に止まっていた。
母が誰かと尋ねると、父は知らないと言った。
父は僕たちを守り、もし危険な人物だったらと身構え、近づいて尋ねた。
「どなた様ですか?」
その紳士は簡単に答えた。
「すみません、お話ししたかったんです。私の名前はリュウです。」
父が僕に何を話したいのか尋ねた。
「私はサッカーのスカウトです。
テストでお宅の息子さんを見ていました。」
彼は僕がスタンドに座っていたこと、そして父が彼を通り過ぎたことを言った。
父はその日のことを思い出して、彼を家に入れるように言った。
彼は中に入ってきて、僕たちはお茶を出した。彼は言った。
「単刀直入に言います。先ほど申し上げたように、私はスカウトです。そしてお宅の息子さんの才能を見ました。それで彼を日本に連れて行きたいのです。彼の学校、東京ヒーローズに入学させて、インターハイで優勝させたいのです!」
父も僕も驚き、とても感動して震えた。
父は驚きと同時に少し不安を感じていて、何を話せばいいかわからなかった。
そこでリュウは、航空券とビザの費用を援助してくれると言った。
父はまだ不安そうだったが、僕は言った。
「パパ、怖がらないで。
これは神様からのしるしだよ。
今日ミサでお願いしたことだよ。
きっとうまくいくから!」
父は感動して言った。
「はい、お受けします!」
リュウは感謝し、ビザとパスポートの手続きを急ぐと言って帰っていった。
僕は泣き出し、床にひざまずいて神に心から感謝した。
「神様、この機会を与えてくださり、ありがとうございます。
私は最高のサッカー選手になるために全力を尽くします。
あなたが私のそばにいてくださるなら、たとえ困難でも、私は勝利できると信じています。」
数日後、僕たちはパスポートとビザを取得し、日本へ出発した。
到着したのは夜だった。ホテルへ向かう途中、僕は日本の美しさに感動した。特に、アニメ、漫画、ウェブトゥーン、ライトノベルなど、大好きなものがたくさんあったからだ。リュウは僕たちをホテルに連れて行ってくれた。
僕たちは休んで、翌日、朝食をとってからリュウが僕たちを東京ヒーローズ学園に連れて行ってくれた。
到着すると、その大きさに感動した。リュウは施設を全て案内してくれた。父も僕も感動した。
しばらくして、僕は気を取られて父とリュウとはぐれてしまった。突然、誰かとぶつかって地面に倒れた。その人も倒れた。
僕はすぐに立ち上がった。
その人に手を差し伸べようとした時、それが美しい女の子だと気づいた。彼女を見て、僕は緊張して恥ずかしくなった。
僕は謝った。
彼女は本当に美しかった。
その後、どうやって謝ろうか考えた。僕はポルトガル語で話しているのに、彼女は日本語を話すだろう。僕が彼女を美しいと呼んだことが彼女に理解されなくてよかった、と思った。
突然、声が聞こえた。
「どうもありがとうございます。
私こそごめんなさい、ぼーっとしていました。」
「な、なんだって!
僕の言葉がわかるのか?」
僕はとても驚いた。
彼女は答えた。
「はい、私はたくさんの言語を話します。
日本語の次に、ポルトガル語が一番話す言語です。」
僕はまだ驚いて、固まっていた。
心の中で僕は言った。
「彼女、僕が彼女を美しいって言ったの聞いたんだ。
なんて恥ずかしいんだ。」
彼女は微笑んで僕の名前を尋ねた。僕は震えながら言った。
「リ、リ、リカルド!」
「リカルドさん、初めまして。ユキです。
あなたもチームに入りますよ。」
僕は震えながら「はい」と答えると、彼女は「やった!」と答えた。
そして彼女は帰ろうとし、さようならを言って、こう言った。
「美しいって言ってくれて、どうもありがとう。
あなたもね。」
僕はさらに恥ずかしくなって震えた。
その時、両親が心配して、僕がどこにいたのか尋ねた。僕は謝った。
それから彼らは僕をグラウンドに連れて行ってくれた。そこでリュウは僕をキャプテンに紹介してくれた。
「カゲヤマ、この若者が私が話していた者です。」
そして彼が挨拶してくれて、僕も挨拶した。
リュウは、僕がブラジル人でも心配する必要はないと言った。多くの選手が僕の言葉を理解できるからだ。多くの若者がブラジルを愛しているので、僕たちはたくさん勉強したんだ。
そしてカゲヤマキャプテンが言った。
「ついてこい!」
「はい!」
僕は彼について行った。彼は僕に練習着に着替えるように言った。
僕は着替えた。そして彼は僕に一対一の勝負を挑み、もし僕が負けたらチームには入れないと言った。
僕は「えっ?」と言った。
なぜそんなことになるのかと思って驚いた。当然チームに入れると思っていたからだ。
彼は僕に、サッカー選手になりたいなら、自分を証明しなければならないと言った。
その時、イエス様が何も簡単ではないと言っていたことを思い出した。何か素晴らしいものを見せたいなら、大きな障害を乗り越えなければならないと。
だから僕は挑戦を受け入れた。
「先に2点取った方が勝ちだ」とカゲヤマが言った。
そして僕たちは始まった。僕はボールを持って攻め上がった。何度かドリブルを試したが、彼のマークが上手いとわかった。
だから僕はボールをキープして、なんとか突破しようと試みた。
考えているうちに、彼にボールを奪われた。
「簡単すぎだ!」
「くそっ、やられた。」
そして彼は僕のゴールに向かって走り出した。僕はマークしようとした。
僕たちは肩を並べてプレーしていたが、僕は負けた。
僕は地面に倒れて、彼がゴールを決めた。
「信じられない、ゴールされた。」
彼が僕に近づいてきて言った。
「君は弱い。考えすぎて、ボディバランスが悪い。
君はサッカーには向いていない。」
僕は固まってしまい、心の中で言った。
「僕はサッカーに向いてないのか?ダメなのか?
まさか、僕が下手だなんて。」
僕は父を見た。父の目に僕への信頼があった。
「僕はサッカーに向いてないなんて、そんなことない。
そうじゃないことを証明してやる。
体が強くなくても、僕はサッカー選手になれると信じている。
世界で一番の選手に。
僕を信じなかったみんなに、僕に才能があることを証明してやる。
両親のため、何よりも神様が僕の才能を知っている。
だから僕は君に勝つと知っている。
インターハイで優勝して、世界で一番の選手になるんだ!」
カゲヤマは真剣な表情になった。
彼からライオンのようなオーラを感じ取った。
僕はボールを拾って走り出した。
「かかってこい!」
カゲヤマが言った。
そして僕は全力で彼に向かっていった。
彼に近づいた時、ボールを持ってルーレットを仕掛けた。(ルーレットとは、選手がボールを片側に送り、反対側に走り、そしてボールを再び取るプレーのことだ。)
「なんだ、ルーレットを仕掛けてきた!」
ボールを拾うと、僕は異様なスピードでゴールに向かって走り出した。
「何だ、このスピードは!」
そして僕はシュートの準備をした。
「僕は夢を諦めない。最高の選手になるんだ。
僕を拒絶したみんなに、僕が最高になれることを証明してやる!」
パン!(ボールを蹴る音)
ドスン!(ゴール音)
僕はとても嬉しかった。
「やった!同点だ。」
そして僕はまだ終わっていない、もう1点取らなければならないと言った。
カゲヤマは感銘を受けた。
「この子は磨かれるべき宝物だ。
気に入った。」
彼は心の中で言った。
僕は「さあ、まだ終わってないぞ!」と言った。
突然、ピッチの脇から声がした。
「もう終わってるわ!」
女性の声だった。前に見たことがある。
そちらを見ると、例のぶつかった女の子、ユキだった。
「彼女がここで何をしているんだ?」
「こんにちは、ユキコーチ!」
僕はまたしても驚いた。
「な、なんだって!彼女がコーチだって?!」
「こんにちは、リカルドさん。
あなたがチームに加わってくれて嬉しいわ。」
僕はまだ終わっていないと言った。
彼女は、もう終わっていると答えた。
彼女とカゲヤマキャプテンがもう決めたことだと。ね、カゲヤマさん?!
「はい!
コーチ。
チームへようこそ、リカルド。
テストは合格だ。」
第1章 終わり