表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/46

41


 ルチェット・ルエットがトルキャット商会に護衛と言う形で雇われる様になってから数日が経ち、ホシモリ達とシモンとトルキャット商会の人を集めリチェットの家からプラネットのパーツ運び出し魔導車の荷台に積み込んでいた。


 気分的に手伝うのが嫌だったホシモリはイクシオーネと話をしレムザスの試験に向けて勉強をしつつ運び込まれるプラネットのパーツを眺めていた。


「ほー。最新型プラネットのアンタレスか……あいつはSRCの中でもエースか?」


「はい。その可能性は非常に高いです。相棒と一対一で戦いその腕を切り落とせる程の戦闘能力です。その反応速度、判断力はプラネットの操縦にも適応されますので間違い無いでしょう」


「プラネットの方はランバルト大尉のと同じでほとんど修復不可能っぽいな」


 面白く無さそうに運び込まれるプラネットを眺めているホシモリにイクシオーネは質問する。


「ロチェット・ロエットがトルキャット商会に来たのが気に入りませんか?」


「うん?……まーな。と言うかランバルト大尉との約束があるからこの星にいる間はできるだけ力になってやろうとは思っているが……SRCの戦闘能力を考えると中々に厳しいと思ってな」


「はい。止めを刺すのであれば前回戦った時が確実でしたが雇い主に止められたとあれば仕方ありません」


「帝国とは長い時間戦ってたし敵は倒さないと仲間が死ぬから今まででも確実に殺して来たから変な感じなんだよな」


「相棒はシモン・トルキャットに警告はしました。その上でシモン・トルキャットは自身や身内が危険にさらされるのを考慮してロチェット・ロエットを仲間に引き入れたので必要以上の心配は不要と思われます」


「それもそうか。自分で選んだ答えなら失敗しても納得はするわな。誰もそうしろとは言ってないんだし」


「全員が全員そうでは無いのが人間の面白い所です。シルバ・トルキャットがこちらにやって来たので気になっているなら質問するのが良いでしょう」


 イクシオーネがモノアイカメラを動かしその方向をみるとホシモリも釣られてそちらを見る。するとイクシオーネが言った様にシルバがこちらに向かって来ていたので少し話をした後に二人で話していた事をシルバにも伝える。


 その話を聞いてシルバは長い時間を考えた後にホシモリ達に自分の答えを伝える。


「理由はいくつもありますが……やはりトルキャット商会、ライグ様やベルナ様をお守りする事が一番の理由かと。ホシモリさんと互角に戦える様な方ですから傭兵としては何も問題はありませんからね」


「確かにクソ強いわな」


「それにホシモリさんが戦場で戦っていた以上の時間を旦那様は商人として戦って来ましたので人を見る目はホシモリさんより上でですよ。そうでなくてはなりませんからね」


「それもそうか……シモンさんの戦場はここだもんな。新兵が熟練兵の心配をするのもおかしな話だしな」


「はい。それにもしも時はホシモリさんが助けてくれると私も旦那様も思っていますので」


「ランバルト大尉に助けてもらった恩もあるから……まぁ手が届く範囲だけだぞ」


 ありがとうホシモリさんとシルバが頭を下げるとイクシオーネが話を纏める。


「女心とバナナの色は変わりやすいと言うことわざがあるぐらいなのでロチェット・ロエットが仲間とは言いませんが敵対しなくなったと思うぐらいで良いと思います」


「そんなことわざ今初めて聞いたわ!まぁ……こっちから敵対する必要もないし放っておくか」


 家が完成するまではホシモリはトルキャット商会にのでその間にロチェット・ロエットがどういう人物かを見極め敵対しないのであればそれで良し、するのであれば排除すれば良いと考え考えを切り替え試験に向けての勉強を始める。


 そしてシモン達もロチェットが借りていた物件の片付けが終わりホシモリの所にやって来た。


「ホシモリさんお待たせしました。無事に片付け終わりましたので我が家の倉庫の方に向かいましょう」


 了解と言って立ち上がるとシモンの近くにロチェットもおり何故かメイド服を着ておりホシモリに感想を尋ねた。


「どうだ。ホシゴリ似合っているだろ」


 その態度にイラッとしたのか数分前の事を忘れたのかホシモリは偽りなく短い言葉で本音を告げる。


「キモッ!」


 その一言に時間が止まった後にロチェットから雪原を思わせるような冷気があふれ始め、シモンが慌ただしくホシモリに意見する。


「いやいやいやいや!良く似合っているではありませんか!ロチェットさんが美人なのもありますが、十人いれば十人とも振り返るほど良く似合っていますよ!」


 シモンが言う様にロチェットにメイド服はとてもよく似合っていたがホシモリの目がおかしいのかは分からなかったがしつこく似合っていない言った。


 そして機械のくせに割と余計なことを言うイクシオーネが追加で言わなくて良い事を言う。


「極端な例えですがゴリラがメイド服を着ても人になる訳では無くメイド服を着たゴリラになるだけです。ロチェット・ロエットがゴリラと言う訳ではありませんが」


「相棒はチラチラこっち見るの止めような?でもまぁ言いたい事はよく分かる。何というか……肉食獣を無理矢理ペットにした様な感じはするな。似合っていれば良いが……絶望的にキモい」


 元々気の長い方でも無かったロチェットは何かが切れる音がした後にシルバでは反応できない速度でホシモリの顔面に右手ストレートを叩き込む。


 ホシモリの鼻が変な方向に曲がったが殴られた本人は特に気にもせずにロチェットの後ろに一瞬で周り込み、そのまま細い腰を抱え込み持ち上げる。


 そして勢いを加速させ力を込めて誰が見ても惚れ惚れする様なバックドロップを叩き込んだ。


 その威力は凄まじく近くにいたシモン達が揺れを感じ地面が軽く凹んだがロチェットは服についた埃をはたきながらゆっくりと立ち上がる。


 ホシモリも変な方向に曲がった鼻を左手で無理矢理元に戻し鼻に詰まった血をフン!フン!と飛ばし指を鳴らした。


「お前は……死んだ方がいいと思う」


「奇遇だな。俺も心からそう思うは」


 二人の殺し合いが始まったのでイクシオーネはシモンとシルバが巻き込まれない様に指示を指示を出し先にトルキャット商会へと帰らせた。


 多少のガス抜きは必要だとイクシオーネは考えた。


 ただ止めるタイミングは少し間違えた様で二件の建物が倒壊した。


 そしてやって来た警備兵に二人はこっぴどく怒られ壊れた物や倒壊した建物を弁償という形で決着がつき何とか事なきを得る。


 ホシモリ達が警備兵から解放されたのは遅い時間だったので次の日にイクシオーネが待機する倉庫の隣のの倉庫にロチェット用の倉庫が割り当てられそこに、ホシモリ、イクシオーネ、シモン、ロチェットの四人が集まり、ロチェットのプラネットのパーツを見ていた。


「強襲用プラネットのアンタレスか……ガッチガチの新型だな。戦場でも数機しか見た事ないは」


「私はエースパイロット。人格コアと電源ユニットは繋いであったから数日前までは会話できてたけど……今はできない。直せるか見て欲しい」


「いらんと言いたい所だが……帝国の機密情報とか欲しいからな……で?命令の最終決定権はお前が持ってるのか?帝国が持ってたら意味ないから放置するぞ」


「私が持ってるから大丈夫」


 嘘だったらその時は破壊するかと考え、ホシモリはバラバラのパーツから必要な物だけを取り出しロチェットのプラネットの人格コアにケーブル等を繋いでいく。


「とりあえず話せる様にだけするぞ。と言うかここまで壊れてるとプラネットとしては直せないからな」


「分かった」


「ほー。新型のエンジンユニットって小型の連結式なんだな。相棒。悪いがこっちのバッテリーにエネルギーを充電してくれ。再起動するエネルギーも残ってねーわ」


「了解しました」


 ホシモリからバッテリーを受け取りイクシオーネは手のひらにそれを乗せて充電させ、その間にもホシモリは人格コアにケーブルを繋いでいく。


 その手際の良さにロチェットは感心しシモンはレムザスと構造が全く違うので頭を悩ませた。


「せっかくですしレムザスに流用できればと考えていましたが……構造が全く違いますね」


「トルキャット商会が作ってるレムザスだったら関節部とか似てるが……レムザスとプラネットは形が人に似てるだけで全く違う物だからしゃーない」


「充電が終わりました」


「了解。こっちも終わったから繋いで電源入れるからもしもの時はハンドイオン砲で破壊してくれ」


 イクシオーネが頷きロチェットが文句を言いシモンがハラハラとしながら見守るなかホシモリは人格コアに最後のケーブルを繋ぐ。


 人体に血液が流れる様にイクシオーネが充電したンバッテリーからエネルギーが様々なパーツに流れていく。


 接続したカメラがホシモリ達を判断する様に動きロチェットの前で止まる。


 そして音声スピーカーからイクシオーネとは違い女性の声を元にした様な機械音声が流れる。

「おはようございます。ロチェット。九日と三時間二十五分ぶりですがお加減はいかがですか?」


「良いとは言いがたい。けど良くはなりそうな感じはする」


「そうですか。それは良い事ですね。私が待機モードに移行している間の状況説明をお願いします」


 ホシモリやイクシオーネとシモンにカメラの焦点を合わせ聞いたのでどう説明するか考えた後に戦った事などを自身のプラネットに伝えた。


 アンタレスは黙って自身のパイロットであるロチェット・ロエットの話を聞いた。


 全ての話を聞き終わりアンタレスがホシモリに間違いが無いかを尋ねるとホシモリは頷いた。


「分かりました。パイロットであるロチェット・ロエットのデータを教える事はできませんがそれ以外なら私が知っている事は全て渡しましょう」


 その素直な反応にホシモリは少し驚きながら質問する。


「まぁ基本的にプラネットは素直だから良いんだが……お前は新型で強襲部隊にいた様なエースだろ?いいのか?」


「問題ありません。緊急時の最終的な決定権はパイロットのロチェットが持っています。この惑星からでは帝国からの通信等は届かない為です。それにロチェットはこの星で生きて行く事を決めましたので私はその生活が少しでも快適になる様に手伝うだけです」


「なるほどな。俺は頑張って帰るから帰られる様にデータもらうぞ」


「分かりました。ですが完全な形での修復は不可能ですがある程度の戦力となれるほどの修復と改装を私は希望します。貴方のデータは帝国側でも残っていますので貴方なら可能だと判断しますのでどうぞよろしくお願いします」


 そう言ってから自身の人格コアからサイコロの様な四角い物を排出しイクシオーネにそれを取るように頼む。


 言われた様にイクシオーネはそれを手に取りウィルス等が無いかを確認してから中のデータを読み込んでいった。


「どうだ?相棒。変なウィルスとか入ってないか?」


「問題ありません。冗談でこのプラネットを乗っ取ったとかやってみようかと考えましたが、かなりの高確率でロチェット・ロエットの死が見えましたので止めました」


「お前はそういう余計な事は絶対にするなよ!それで?使えそうなデータってあるか?」


「はい。アンタレスの詳細な設計図等がありますので彼女を修理するのには役立ちます。何処で手に入れたかは知りませんが前線基地の見取り図等もあります。データの量が膨大なので残りはゆっくりと見ていけば良いと思われます」


「了解。SRCはともかくアンタレスは信用できそうだな」


 ホシモリの余計な一言にロチェットの眉間には皺が集まったがアンタレスはホシモリに丁寧に礼をいった。


 イクシオーネは持っていた記憶媒介を返却しホシモリは簡単にだがアンタレス自分達がこの星に来てからの事を伝えた。


「そういう訳でもうすぐ試験が近いからお前を直すのはまだまだかかるがいいか?」


「速いにこした事はありませんが貴方が帰還するまでで問題ありません。今はまたロチェットと話せる様になっただけで十分です」


「分かった。まぁ後は自分のパーツだから見れば分かると思うが……プラネットとしては直すのは不可能だぞ。人格コアやエンジンユニットを乗せてレムザスとして組み上げる形になるからな」


「はい。問題ありません。むしろそちらの方が好都合です。貴方が早期に帰った場合ロチェットではプラネット、レムザス供に整備ができません。レムザスであるならトルキャット商会で整備が可能ですので」


 ホシモリとアンタレスの話を聞いていたシモンが少し疑問に思った事をホシモリに質問する。


「プラネットの事はホシモリさんが詳しいのは分かりますがレムザスの事も分かるのですか?」


「暇があったら勉強してるから知識だけだけどな。実際はやってみないと分からないがプラネットよりは簡単だから組めるだけならいけると思う」


「ホシモリさん……凄いですね」


「一回もやった事はないから偉そうな事は言えないけどな」


 ロチェットは少し難しい顔をしていたがアンタレスやシモンはホシモリに尊敬の念を送っていると長い時間その場所で話していたようでシルバば呼びに来たので、アンタレスの事も後日という形になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ