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 倉庫に入りシモンが水晶のような物を操作すると地下室へ入る扉が現れた。


「厳重だな……」


「レムザスとプラネットは全く違いますが兵装に関しては応用が利く物がとても多いので何かの拍子にプラネットのパーツを盗まれると大変な事になりますからとても厳重にしています」


「シモンさんはその辺がしっかりしてるよな。所構わず兵器を売りまくって儲けを出す死の商人とかもいるだろうに」


「トルキャット商会は健全な商会ですからねー。と言っても祖父のランバルトが残した物を売ったりしてるのでまともな商会とは言えないかもしれません……娘も誘拐されましたしね」


「その辺はどうなんだろうな?基本的に金持ちは恨まれるから仕方ないが……人に憎まれる様な人じゃ思うけどな。シモンさんもライグ君もベルナちゃんもな。トリシュさんは絶対にやり手だからノーコメントだ」


「妻はまぁ……私より凄い商人ですから若い時は何度やり合った事か……ここだけの話ですがトルキャット商会を何度か潰されそうになりましたからね」


「そんな感じはするわな……余所の家庭の事だから俺は知らんが」


 シモンがその巨大な扉を開くとイクシオーネでも余裕で入られる部屋があり、シルバに誰も近づかせないように頼み奥へと入る。


 そしてシモンがクレーンを操作して大きな長いコンテナをいくつか引き出すとそこには昆虫の標本の様に綺麗に並べられたプラネットのパーツが大量にあった。


 ただそのほとんどが目で見ても分かる程に破損していた。


「けっこう傷んでるな……使えそうなのもあるが……」


「はい。かなりの損傷が見受けられます。シモン・トルキャット。触っても大丈夫でしょうか?」


「どうぞ。約束ですからイクシオーネさんに使えそうなパーツがあれば持っていてもらって大丈夫です。


「バッテリーユニットの接続部はどこだ?下手なパズルより探すのが難しいな……」


「はい。ほぼ同型といえどここまでバラバラだとスキャンするのにも時間がかかります……危険な物もありますからね」


「ランバルトの野郎……信管ぐらい抜いとけよ!」


「それ危ないものだったんですね……祖父がバラしていたのを見ていたので私が最近、組み上げました」


 とニコニコしながら得意そうに言っていたのでイクシオーネは無言でそれをバラしホシモリはダイオウガイに攻撃した物よりも強力な兵器と教えるとシモンの顔がみるみる内に青くなった。


 ランバルト大尉のせいでは無かったのでその事を謝りパーツを探しの続きを始め、イクシオーネも爆弾の信管を抜き危険性が無くなったのでパーツを探し始める。


 損傷が激しいボディを調べると砕けたプラネットの人格コアが発見されたのでそれを丁寧に取り出しイクシオーネに見せる。


「損傷が激しいので人格は残っていないと思われます」


「この辺りに修理した形跡はあるからランバルト大尉は直そうとはしていたんだな……」


「あの……ホシモリさんそれは?」


「人間で言う心だったり脳みたいなパーツだな。相棒もこのパーツで人格が作られここに記憶が残るんだ」


「もしかしたらデータが残っているかも知れません。相棒。少し貸してください。エネルギーを流してみます」


 ホシモリは頷きイクシオーネの手に人格コアを乗せエネルギーを流すが本当に大破しているようでウンともスンとも言うことは無かった。


「まぁ人で言うなら死人を生き返らせる様な物だからしかたないか」と言ってホシモリは死者を弔う様に手を合わせ元の場所に戻した。


「コックピットは周辺はほぼ部品が吹き飛んでるな……よく生きてたよな」


「実は私も相棒も死んでいてここは現実に近い精神世界という可能性も存在します」


「そういうのって突き詰めたら現実と変わらんから本人が現実と思ったらそれで良くないか?」


「……確かに。それもそうですね」


 ランバルト大尉のプラネットとイクシオーネは型番がほとんど同じだと言う事もありコックピット周辺をくまなく調べると目的のパーツがようやく顔を出す。


 そしてホシモリがそのパーツを手に取るが嬉しそうな顔をせずに眉間に皺がよる。


「せっかく見つけたと思ったのに……何でここだけパーツが違うんだよ!相棒、合いそうか?」


「そのままでは無理です。ほぼ同型と私のデータにもありますが……まさか接続部に変えてあるとは思いませんでした」


 ホシモリとイクシオーネが肩を落としたのでシモンが尋ねるとホシモリが欲しかったパーツだがイクシオーネの型番には適合しない形だという事を教えた。


「そっそれは……残念です」


「合う様に加工すると言ってもかなりの精密部品だからすぐには無理か……」


「はい。コアモジュールを設置後に電子制御などを行わないと無理です」


「その辺りは仕方ないか……それさえやってしまえば使えるからパーツが残っていた事に感謝だな……じゃあ、シモンさん悪いがこの辺りのパーツをもらうがいいか?」


「はい。約束ですから好きにお持ちください。それと少々お待ちください」


 シモンはまたクレーンを操作し始め新たなコンテナを動かしホシモリ達の近くに置いた。


 その中には少し破損していたがどう見ても兵器にしか見えない物が入っていた。


「祖父のランバルトが生前に残していた兵器と思われる物ですが……どう見てもレムザス用ではありません。プラネット用に思えますがどうですか?レムザスでは動かせもしないので……」


 その兵器は弾は無かったがガトリング砲にとてもよく似た物でイクシオーネが手に取りエネルギーを流し込むと砲身が回り始めると同時に冷却装置が作動し辺りの温度を急激に冷やした。


「おおっ!レムザスにも似た様な兵器はありますがやはりプラネット用でしたか」と興奮気味話すシモンにイクシオーネが答える。


「口径30mm - 6銃身。プラネット用に開発され、後に陸軍にも使用された毎分九千発を放つ、通称、グレイハンドとよばれるレールガトリングキャノンと言う種類の兵器です。恐ろしい数の弾薬を消費するので拠点を防衛する私の様なプラネットが弾を補充しながら使うものです。プラネットのエネルギーを電力に変換しレールガンとして弾を撃ち出すので薬莢や火薬といっや物は必要ありません」


「また良くこんな兵器が残ってたな。……違うか使ってたなの間違いだな」


 ホシモリとイクシオーネの話にピンとこないシモンはとりあえず凄い兵器と言うのだけは分かった様でもし必要なら差し上げますのでお使い下さいといいホシモリにグレイハウンドを譲った。


「……その武器に弾があって相棒の修理が終わったら一日あればこの都市が瓦礫の山になるな」


「いえ。相棒が私に搭乗すれば半日あればできます」


「絶対にやめてくださいね!……というか先ほどから凄い寒いのですが?」


「はい。この兵器の恐るべき所はその冷却機能にありこの様に閉ざされた空間で使うと並の生物なら簡単に凍死させる事が可能です」


「イクシオーネさん!今すぐ切ってください」


 渡す人物を間違えたとかなり思ったがいってしまった物は仕方ないと諦めているとホシモリがプラネットのパーツの中から何かを発見したようで瓦礫の中から引きあげた。


「シモンさん。追加でこれももらっていいか?」


「はい。それが何か分かりませんが大丈夫ですよ。ですけどそれは?」


「プラネットのエンジンユニットって言うパーツで人間で言う所の心臓だな。……少し壊れているが融合炉まではいってないから直せば使える。相棒のエンジンユニットが逝った時の保険にな」


「大丈夫です。プラネットの心臓部であるエンジンユニットは生半可事では壊れません。そのエンジンユニットは修理後に拠点に設置し発電機として使用しましょう。ワープポッドのコアモジュールもかなりのエネルギーを使いますので」


「了解。ショルダーランチャーのミサイルぶっ放して電磁スモークグレネード使ったから貝ぐらいじゃ元は取れないと思ってたが……接続ユニット、グレイハウンド、エンジンユニットでお釣りがくるな」


「はい。使い捨て兵器とそうではない物では価値が違い過ぎます。シモン・トルキャット。今日は良い取引を本当にありがとうございました」


 こちらこそありがとうございました。とシモンは笑いながら言い他にもいるパーツが無いかを尋ねるが流石のホシモリも全部もらう訳にもいかないので大丈夫だと断った。


 シモンも分かりました。と言ってからまたクレーンを操作してプラネットのパーツが入ったコンテナを丁寧に元の場所へと戻していった。


 その光景を眺めながらイクシオーネはホシモリに通信を入れる。


『修理すれば兵器として使える物も沢山ありましたね』


『ああ。だけどそこまで難しくないオーバーテクノロジーだからな。この星の人が自分達でプラネット解析してどういう物か分かるまで置いておく方がいいと思う。帰る時に戦争の引き金になりそうな物を残したら駄目だろ』


『はい。使い方さえ間違わなければ便利な物多いですが……戦闘も便利になりますからね』


『まぁ……危険な物って痛みを伴わないと分からないから難しいけどな』


『はい。人間は毛が少なくて少し賢いゴリラですからね』


 その台詞に後にイクシオーネがホシモリの方を見たとか見ないとかで少し言い争いになりそうだったがシモンがタイミング良く片付け終えたので争いは起こらずに施錠を施しシルバが待つ場所へと戻った。


 お帰りなさいませと頭を下げ目的の物は見つかりましたか? とシルバが尋ねたのでシモンに譲ってもらった物を見せるとシルバも少し嬉しそうにしていた。


 その手に入れた物を入れるコンテナを用意してくれていたのでホシモリとイクシオーネは礼を言ってからそのコンテナを借り手に入れた物を丁寧に入れていく。


 全てを入れ終わると待機していた中型のレムザス達が持ち上げてイクシオーネが待機する倉庫の方へと向かったのでホシモリ達もその倉庫へと向かった。


 倉庫に着くとイクシオーネは待機モードに入り、シルバはシモンとホシモリの為にテーブル等を用意し飲み物などの準備を始める。


 そして少しゆっくりした後にシモンはホシモリにこれからの事を尋ねる。


「ホシモリさんは。これからどうするおつもりですか?目的の王立都市に着きましたし、次の目的のレムザスの試験は二ヶ月と少し先ですし」


 シモンの質問にホシモリは腕を組んで大まかになだ数年先の事までを考え纏めから伝える。


「住む所だな。王立都市か魔導工業都市にするかは決めて無いから時間を見て魔導工業都市にいかないとな……で、試験が受かったら相棒を自分のレムザスとして堂々と連れていけるからそれから色々と狩りに行って金を貯めつつ研究開発だな。十年で元の星まで帰られれば万々歳って感じだな」


「なるほど……でしたら拠点とするのは王立都市が良いですよ。やはり人が多いと言うのもありますし、物やお金が動くので何にしても手に入り安いですからね」


「それはあるが……何か作ったりするなら魔導工業都市の方が良いとも思う言った事は無いがレムザスとか魔道具を作ったりする所なんだろ?」


「はい。そうですが……資格さえあれば王立都市でもレムザスの製作等はできるので問題ありません。あといくら魔導工業都市でレムザスが作られているとはいえ使われるのは基本的に王立都市ですし新型のお披露目も王立都市なので私は王立都市をオススメします」


 シモンがやたらと王立都市を押してくるのでホシモリが少し呆れながらその事を尋ねる。


 理由はとても簡単なものでホシモリろイクシオーネの力をできるだけトルキャット商会で独占したいとの事だった。


「そんな正直に言わんでも……というか魔導工業都市にも商会の店舗があるんだからどっちでも一緒なんじゃね?」


「こっちが本店ですからね。それにやはり向こうは武装にしても魔道具にしてもレムザスにしても本職が多いのでイクシオーネさんを見て新しく何かを開発されるのがとても怖いので」


「それはあるわな……実際、シモンさんには俺も相棒もこの星出身じゃないって分かってるから……何をするにしてもやりやすいのは確かだな」


「後、王都から魔導工業都市までは馬車で一日あれば着くのでホシモリさん達ならすぐに着くと思うので無理にあちらで住む必要は無いと思うんですよ」


「それで?後は何があるんだ?」


 その質問に少しギクッとした後にシモンは体を縮こまらせてかたしばらくの間は護衛と言う形で娘を学校まで送り迎え頼みたいとの事だった。


「あのな……平和な街って皆が言ってるからシルバさんでもいいだろ。実際に強いんだし」


「シルバは私の護衛なので駄目です……ずっとという訳では無いんですがあの貴族が処刑されしばらく落ち着くまでという感じですね。私の方も虹色真珠の事がありますので問題が起きると思いますので……」


 ホシモリが腕を組んで考えていると意外な所から助け船が来た。


「相棒。私の意見ですが……受けても良いと思います」


「その心は?」


「はい。まず第一にトルキャット商会とのパイプを太くしても何も問題はありません。次に相棒は家が欲しいと前から言っているので何かしら紹介してもらえると思います。そしてやはり相棒が言っていた様に私達の事を知っている人がいると言うのは本当に重要な事です」


 相棒やシモンの意見を尊重しながら少し時間をもらいホシモリは考え始めた。


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