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 荷台に載せたダイオウガイも大きかったがそれよりも遙かに大きい橋を進み門をくぐる。その途中で警備兵のような人達に止められたのでホシモリは辺りの景色を眺める。


 橋の下のには運河を思わせる様な大きな川が緩やかに流れ人や物を運んでいるのか小さな船が何隻も確認でき更に深い所には水竜も確認できた。


「船を運ぶぐらいだから兵器としても使えるか」


 水底にいる水竜を眺めててそう呟くとベルナも同じ様に眺めてから話し始めた。


「竜種じたいがとても強力な魔獣でその中でも水竜は賢く人に懐くのでこの国では昔から人と供にいるようですよ。王立都市は周りを河で囲まれていますが兵として訓練された水竜、兵竜が辺りを泳いでいますので並の魔獣では近づく事も不可能です」


「なるほどな……体とかでかいが何食ってるんだろうな?」


「周りを流れる河は生き物がとても豊富で食べ物には困らないとの事ですよ。魔力を含んだ食べ物を食べれば栄養は足りると学校で習いました」


 色々とあるんだなーとホシモリが感心していると警備兵達のチェックが終わった様でバトルホース達が動き始める。


 外壁の中はホシモリが想像しているよりも遙かに広く街の中に魔導車が走ったりバトルホースよ遙かに大きく力強そうな象の様な生き物が人を運んだりレムザスを引いたりしてた。


 そして空を見上げると軽自動車ほどの大きさの鳥が背中に人を乗せ物を運んだり人を運んだりし建物の屋根にはその鳥が休憩できる様な場所がいくつも目に付いた。


 建物の高さも城塞都市よりも高くマンションやアパートの様に一つの建物に何人もの人が住んでいるような作りだった。


「凄い都市だな……この辺りは住居区か?人が多いと思うんだが……」


「商業区です。あの崖のうえに見えるのが王立都市の王城なのですがあそこに通じる道は人通りも多いので道の近くはほぼ商業区になり、この辺りは門に近く旅の人も多いので宿や飲食店が多いので人も多いのです」


 色々な星に生き色々な街や都市を見てきたホシモリだったがこの王立都市の町並みは似てい物を見た事がなかったので心を弾ませた。


 そして街中をどんどんと進んで行き人通りが少し減り始めると、変わりによく手入れのされた道路や金持ちが住んでそうな建物が建ち並ぶ地区へと入っていた。


 その地区は裕福な者達が住む地域の様で城塞都市の様に治安を守る様に小型と中型のレムザスが街を見回り子供達がその後を追いかけていた。


 トルキャット商会の本宅はそんな富豪達が住む場所から少し離れ工業地区に近い場所にあるらしくそちらへと向かっていく。


 また少し町並みが変わり始めたと思われた頃に数体のレムザスに守られた門と言うよりはフェンスに近い扉が見た。


 そのフェンスを守っていたレムザスがこちらを確認するとゆっくりとフェンスを引いた。


「ホシモリさんここが私の家です」とベルナが教えてくれだだっ広い滑走路の様な庭の奥に確かに大きな建物が見えた。


「あっちのデカいのが屋敷か?」


「そうです。あそこに住んでいます。レムザスの動きを見たりするのでこの辺りはとても広いんですよ」


 ベルナとそんあ話をして広い庭? を見ているとシモンがやって来た。


「ホシモリさん。私は商人達とダイオウガイを倉庫の方に運びますのでベルナ達と本宅の方に行っていてもらえますか?」


「分かった。相棒は?」


「はいそれは大丈夫です。本宅の方にもレムザス様の倉庫はありますし、息子にその倉庫の一つを開けて置くように手紙で伝えておきましたので大丈夫です」


「俺の方は急ぐ用事は無いからシモンさんの方が終わってからゆっくりと話をしよう」


 前に伝えていたようにシモンの祖父でありホシモリの戦友のランバルト大尉が残したプラネットのパーツを見せてもらい譲ってもらう交渉をする必要があった事はシモンも分かっていたので分かりましたと頷き、シルバにシモン達を本宅へ案内するように伝え部屋を出て行った。


 豪邸という言葉がとても良く似合う建物近くに大きな倉庫がいくつもの並びその前でホシモリ達を乗せたバトルホースが止まった。


 シルバが先におりホシモリ、ベルナと続くと一人の青年と何人もの使用人が待っており、その青年がベルナに飛びついた。

「妹よ!大丈夫だったか!お兄ちゃんはとても心配したぞ!」


「にっ!兄さん!私はだっ大丈夫ですから!」


 涙と鼻水を垂らすベルナに抱きつく青年を見ながらホシモリはシルバに質問する。


「妹って言ってから……シモンさんの息子さんか?」


「はい。次期当主のライグ・トルキャット様です」


 ひとしきり兄妹で戯れ涙と鼻水でベルナの服を汚した後にシルバの隣にいる大男に気付いた様で姿勢を正して向き合った。


「初めまして。ツグヒト・ホシモリさんですね。妹を助けて頂いた事などを手紙で聞いています。本当にありがとうございました」


 ライグが手を差しだしてきたのでホシモリが握ると両手で握り返し大きく頭を下げた後にもう一度、妹を助けた事への礼を言った。


 少しその場で話をした後にライグが前を歩きホシモリをシモンから頼まれていた倉庫の方へ向かいベルナは服が鼻水等で汚れたので着替えにいくと使用人達と本宅へと向かった。


「ホシモリさん。ここが父から頼まれていた倉庫です。ここならとても広く工具もそろっていますのでどんなタイプのレムザスでも整備できると思いますので好きにお使い下さい」


 その倉庫は城塞都市の倉庫よりは小さかったがレムザス一機を丁寧に整備する様な作りになっており様々な工具や設備が備えつけてあった。


 シモンが大愚に何処まで話しているかは分からなかったが使用人達の前でイクシオーネに話させる訳にも行かないので荷台で待機するイクシオーネにレムザスに指示を出すように話しかけその倉庫へと入ってもらった。


「いい場所だな。ありがとう」


「いえいえ。では私はバトルホースやキャリーカーを他の倉庫に運びますので……シルバ。後は任せまますよ」


 かしこまりました。とシルバが頭を下げるとライグは自分でバトルホースやレムザスに指示をだし何処かへ運んで行った。


 その光景を見守り辺りに人がいなくなったのとホシモリとシルバが確認してから倉庫の中に入り待機する相棒に話しかける。


「お疲れ。異常はないか?」


「はい。問題ありません」


「それは良かった。それでシルバさん。シモンさんは息子さんに何処まで話してあるんだ?」


「はい。それはホシモリさんが決める事と言っていたのでベルナ様を助けた事とランバルト様のお知り合いと言う事を伝えてあります。後はレムザスの資格を取る為に王立都市に来た傭兵と伝えてあります」


「了解。さてとこれからどうするかな。街に出て家やら仕事を探さないと駄目だが……当分は働か無くても食っていけるが……」


「その事を含めてしばらくはトルキャット商会でお住みください。工業区域は空いている土地も多いですから建てるにしろ家を買うにしろ選択肢はとても多いです」


 運河での移動中にシルバから魔法の事を習ったり常識や物の価値について学んでいたのである程度はこの世界の常識の様な物はホシモリは分かる様になっていた。


 王立都市についたばかりでどんな街かも分からなかったので、今日はシルバの言葉に甘えトルキャット商会で休息しつつ情報収集をする事になった。


 移動中にシャワーは浴びていたが、こちらでもいつでも入浴できますよとシルバが教えてくれたのでホシモリは一人で入るには広すぎる浴場を借りて体の疲れををいやした。


 風呂からあがるといつもの様に服は魔法で綺麗にされていたのでそれを身につけて出るとベルナが待っており屋敷の中を案内してくれた。


「しっかし広い屋敷だな。城塞都市でも広いと思っていたが……ここは更に広いよな」


「私はここで生まれて育ったので……でも少し広すぎる気もします。食事の時や急いでいる時は移動時間を考えないと駄目なので」


 他愛ない話をしながら屋敷の中を歩いていると前からベルナによく似た女性が使用人を引き連れてやって来た。


 母親か? とホシモリが考えているとベルナがお母様と言ったので謎がすぐに解けた。


「お母様!工業都市にいたのでは?」


「娘と夫が帰って来ると言うのに仕事など後でいいのですよ。本当に無事でよかった」


 そう言って目に涙を溜めながらベルナを抱きしめる。


 しばらくの間そのひとときを楽しんだ母は息子と同じ様にホシモリに向き合って頭を下げた。


「貴方がホシモリさんですね。私の名前はトリシュ。トルキャットと言います夫のシモンから話を聞いています。娘を助けて頂き本当にありがとうございました」


「どういたしまして。あの頃は言葉も分からなかったが……助けて良かったと本当に思うよ」


「そうですか。自慢の子供達なので本当にありがとうございます」


 トリシュはまだホシモリと話がしたい様子だったのでホシモリとベルナを誘い中庭でお茶を楽しむ事になった。


 中庭に着く頃にはいつの間にかシルバが何処かにいっており他の使用人達が茶菓子やお茶を用意しホシモリを席に座らせた。


 トリシュとベルナの母と娘の関係はとても良好の様でその様子を何も言わずに眺めているといつの間にか何処かへ言っていたシルバがそこそこの量の本を抱え戻って来た。


 少しテーブルの上を片付けて資料と思われる物を置くとトリシュがホシモリに向き合い話しかける。


「夫から聞いていたのでホシモリさんが必要であろうと思われる物を集めておきました。こちらがこの都市の地図になります。王立都市は一千万を越える大都市です」


 凄いなと感心しながらその本をパラパラとめくっていくとかなり細かな地図のようで様々な事が書き込まれていた。


「夫が言うにはホシモリはそれぐらい細かな情報の方が良いと思うとの事でしたのでその地図を用意さいました」


「短い付き合いだが流石はシモンさんだな……」


「これから長い付き合いになりそうですね。そしてこちらがレムザスの試験を受けるという事なので必要書類を集めておきました。と言っても身元確認はできないのでトルキャット商会の傭兵と言う事でバレない程度に嘘を書いてあるので確認してください」


 礼を言って受け取った書類を確認するとランバルト・トルキャットより様々な傭兵としての訓練を受けた等と様々な嘘が書かれており最後にはそれを証明する、シモン・トルキャットのサインと何か判子の様な物が押されていた。


「この判子みたいなのは?」


「それは覚えておいて頂きたいのですが。その判子が押されていると例え嘘であってもそれを国が認めたと言う事になり本当の事になりますのでそこに書かれていることは全て本当になります」


「まじか……お金けっこうかかったんじゃないのか?」


 そう言ってまじまじとその印鑑を眺めるホシモリが面白かった様で上品に笑いながらトリシュは答える。


「それが一番かかりましたね。ですが娘の命に比べれば安いですし糞の様な貴族を捕まえあれだけ大きなダイオウガイを倒した事に比べると大した事はありませんね。……まぁでもミスリルハンターをやめるとは思いませんでしたけど」


「シモンさんに話を聞くとハンターやる意味なさそうだったからな」


「大丈夫ですよ。もうホシモリさんはトルキャット商会の傭兵という形で私達に雇われていると言う事になっているので問題ありません。もし他の方々から仕事を受ける場合は傭兵組合にいって実力を証明しないと駄目ですが……貴方なら簡単だと思います」


「ホシモリさんは凄く強いんですよ!私達が寝ている間にシルバーランスウルフを沢山倒していましたし!」


 母の前で力強く拳を握り説明する娘にトリシュは優しく頭を撫でてから話を続ける。


「それからホシモリさん。レムザスの試験は年に二回ほどあり、あと二ヶ月と少しで試験ですが……今回は受けますか?次回しますか?」


「後回しにしてもいいことないしな言葉を覚える勉強にもなるしその二ヶ月後の試験を受けてみようと思う。どの程度の試験かどうかもわかるしな」


「分かりました。夫から聞いていると思いますが……よほどの時は教会にいってお祈りするといいでしょう。こちらが提出書類になります。申し込みになりますが当日にいって少し多く払えば当日でも問題無いのでお好きにどうぞ」


 礼をいってその書類を受け取ると試験用の勉強をするた為の本も用意してくれていたので何度も礼を言いながらそれを受け取った。


 そしてそれから長い時間、この都市の事などをトリシュに教えてもらっていると日も落ち始めた頃にシモンとライグのも自分達の仕事が片づいた用で戻って来た。


 一家団欒の夕食にホシモリも強制参加させられとても煌びやかで楽しい食事を皆で楽しみ夜もふけていった。そして陽が昇りホシモリとイクシオーネは厳重に鍵がかけられ何体ものレムザスに守られた倉庫にシモンとシルバに案内される。

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